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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

折り紙男子と、切る、貼る、折るの絵本。【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.10.25

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


折り紙男子と、切る、貼る、折るの絵本。

日本の子どもの遊びで、ちぎり絵や切り絵がありますが、とりわけ外せないのは折り紙。

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でも、この日本独自の子どもの遊びも、近年は忘れられつつあるのかな、と思います。私が子どもだった頃は暇さえあれば、病院の待合室で、大人のおしゃべりを黙って待つ間、お友達が集まって何して遊ぶか悩んだ時、外遊びができない雨の日などは決まって、色とりどりの折り紙を広げて、何色にしようかと迷うところから始まり、楽しんでいた記憶があります。でも、今では子どものこうした暇な時間は、見渡す限りスマホ一色。でなければDS。さもなくばSwitch。要は、電子ゲームが折り紙。そんなふうに映るほどです。

これには環境が左右しているのでしょう。昔は、子どもの周りには常に折り紙があったと思います。手を伸ばせばすぐのところに。古新聞やチラシだって良かったのです。それを三角に折ってから切り、折り紙用の正方形にする作業もまた、楽しいものでした。でも今は全てがデジタル化しつつある中で、子どもたちも生活しています。どんなに手を伸ばしてもチラシにさえありつけないというところでしょう。

もしおうちで取り組ませようと思ったら少なからず意識が必要な気がします。子どもの手先が器用になるとか、脳に良いとか、知育に良いとか、そういった動機付けも必要かもしれません。そこで初めて、折り紙のあるリビングを、と親として思うのかもしれません。繰り返しになりますが、もう、お家にいて、どの子も自然にチラシに手が伸びる、という時代ではないですからね。

そうはいっても、ありがたいことに大概、保育園や幼稚園では、折り紙をする機会を設けてくれます。折り紙を子どもに絶対にやらせないといけないとも思いませんが、私は、息子が、最初のモンテッソーリ保育園でも、その後に通った認可保育園でも、折り紙を楽しんでいる姿みて、おうちのリビングにも折り紙を、と思った派です。リビングの子供用の小さな机の脇に、折り紙セットをケースに入れて置きました。そうすることによって、園から帰ると、即座にその机に向かい、1人で作業するときもあれば、私に一緒に折ろうと持ってくるときもあり、おうちでも折り紙に没頭する時間が持てました。

それでも小学校に上がり、お友達とゲーム遊びやドッチボールなどで遊ぶようになると、次第に折り紙の存在も薄れていったようです。それはそれで成長です。それでも、時々、思い出しては折ったりしています。

折り紙が女の子の遊びのイメージを抱いていた私は、息子の学年に折り紙男子なんていないだろうと思っていました。

それからしばらくして、友人の息子さんがFBに自作折り紙の作品をアップしているという情報が耳に入りました。そして、その息子さんに折り紙を教えてもらい、また「おりがみミュージアム」というところがあるとも教えてもらいました。行って見ると、経営しているのは男性たち。そして先日、友人に誘われて中高の文化祭に足を運ぶと、折り紙のコーナーがありました。息子は「お!折り紙か!懐かしい!」といって近寄り、素晴らしい技術に感動していましたが、ここでも制作者は男子ばかりです。そばで参観者用の折り紙をせっせと折っているのもまた、男の子たち。しかも小学生です。

なんだ、と私は拍子抜けしました。うちの子だけかと思ったら、折り紙男子は意外と多い。女の子だけではないのね。なんだか安心したような、特権を失ったような、でも嬉しいような、そんな色々な気持ちになって、私たちは家に帰りました。

帰るなり、息子はまた久しぶりに折り紙に取り組みました。出来上がったものは、ブリ。

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さて。そういうことがあったので、私は紹介できそうな折り紙の絵本がないものかと探してみました。ところがこれが案外少ない。折り紙の作り方絵本はたくさんありますが、絵本の表現方法として、折り紙で折った動物や植物が登場するような作品を私は見たことがありません。単にリサーチ不足かもしれませんが。

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そこで思い出したのが、『かみひこうき』(小林実:ぶん、林明子:え/福音館書店)です。かがく絵本で、紙飛行機の作り方や展開図も載っていますが、簡単なストーリーもあります。紙飛行機を折って、上手く飛ばなかった時のハウトゥも描かれています。紙飛行機で遊んだことがないお子さんはトライしたくなるでしょう。すでに遊んだことがあるお子さんなら、紹介されているハウトゥにチャレンジしたくなるでしょう。この絵本の子どもたちのように、あらゆる紙飛行機遊びを経験済みというお子さんなら、共感するでしょう。シンプルですが、本当にいい絵本だと思います。息子が、保育園のお友達たちと紙飛行機遊びに明け暮れた時期に、何度も読んだのを思い出しました。4歳から。

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折り紙の他に、ちぎり絵も子どもの遊びにありますね。お馴染み、せなせいこさんの作品は、ちぎり絵のコラージュです。特に和紙をちぎった時に淵にでる、あの、パヤパヤした質感が、柔らかくて温かみのある印象を与え、心が和みます。作品は星の数ほどありますが、今回は『ふうせんねこ』(せなせいこ:さく・え/福音館書店)。おこりんぼうさんのこねこがふくれっ面をしています。テンポよく、「おこってぷー、ふくれてぷー、おかしがほしいとぷー」とページが進み、いよいよお顔が風船のようにふくらんで、さあどうなるか。展開は見えますが、そんなこねこさんの様子に子どもは笑顔になります。日々、子どもがふくれっ面をした時、「おこってぷー」と言ってみると、きっと場が和むはず。

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最後に、切り絵。紙を切って形を作る。そういったことも子どもは楽しみます。圧巻の切り絵絵本『むしのあいうえお』(今森光彦:作/童心社)。「あめよふれ、あめんぼすいすい、あめのこども」、「いしがけちょう、はねをひらくと、ちずもよう」というように、あ、から、ん、までの1文字ずつを頭にした川柳と、繊細な切り絵で、さまざまな虫を紹介してゆきます。虫好きにはたまらない絵本となること間違いなしですが、この切り絵の巧みな技に、大人も唸ってしまいますよ。図書館で借りるだけでは楽しみきれない、購入価値ある一冊だと思います。4歳から。
子どもが、ゲーム操作の単純な動きだけでなく、指先を細かく動かせる作業ができるように、環境を整えたいと改めて思いました。

(Anne)

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。


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