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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

息子、初めてのパン作り。【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.11.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


息子、初めてのパン作り

PH1
息子がパン教室で作ったパン4つ。

高級食パンブームと言われていますが、私にとってパンは日常品。日常品は、高級である必要がないと思っているので、1000円もする食パンは買ったことがありません。パンの流行りはお構い無しで生活をしていますが、とはいえ、パンに興味がないわけではありません。

家のすぐそばにお気に入りのパン屋さんがあるのが当たり前という、フランスでの生活があったからか、むしろ、東京に住んでいても、近所を歩き回って、子供用のパンが美味しいところやバゲットが美味しいところなどを見つけて、行きつけにしています。もちろん買うのは、お札を出して買うようなセレブパンではなく、小銭でジャラジャラと買える普段着のパンです。

理想は徒歩3分以内にあるといいのですが、今住んでいるところに越してきた当初は、見渡せる範囲にバゲットを買えるお店がなく、我が家で食事会をするときには、来客の手土産にリクエストしていたほどでした。

ところが数年経った、ある時、ワンブロック先の空き店舗が工事中になりました。どんなお店が入るのかと気になってみていると、なんとパン屋さんのようです。美味しいといいな、バゲットがあるといいなと期待して、オープンを待ちました。

いざオープンしてバゲットがあると分かると早速食べて見ました。ものすごく好みの味でした。その時は本当に嬉しかった。それからというもの、私は来客にリクエストをしなくても良いようになったというわけです。

そのパン屋さんには、子どもが好きそうな、アンパンやカレーパン、メロンパンやチョココロネなども売っています。子どもがまだ小さかった頃は、こうしたおやつパンや食事パンはお出かけの際の必需品でしたが、小学生にもなると小腹が空いたからと言って泣きわめくこともないですし、そもそも3食きちんと食べるので、小腹も空かず、そういうわけで、大人のお腹を満たすパンしか買っていませんでした。

ところが、年齢が上がるに連れて、お稽古の時間も遅くなり、流石に帰宅時間が8時を回るようになると、家を出る前のおやつはしっかり目が良さそうだ、ということになり、またパン屋さんへ。今度は、息子のお腹を満たす何かを求めて行くようになりました。最初に買ったおやつパンは、ハムチーズパン。それを一口食べた息子は、その美味しさに感激し、それ以来、このパン屋さんが息子の大のお気に入りとなったのです。

そんなある日のこと。いつものようにパン屋さんに入ると、パン教室のチラシが置いてありました。よくみると、小学生向け、とあります。私は早速息子に「こんなのあるよ」と見せてみました。すると、返事は間髪をいれず「やってみたい」。実際にパンの工房に入れもするし、あのお兄さんの作る美味しいパンと同じものを、なんとこの自分が作れちゃうんだ、というところにワクワクしたようです。

当日は、張り切って出かけて行きました。迎えに行くと、満面の笑みで『楽しかった』と。

4個作って、家に持って帰りましたが、私には何一つくれなかったばかりか、味見さえもさせてもらえませんでした。こんなことは初めてです!赤ちゃんの時からずっと、自分が食べてる美味しいものは、必ず少なくとも一口は分けてくれていたのに…。

というわけで、私は、(2月にもご紹介した)お気に入りのパンの絵本を眺めて満足することにしました。『パンどうぞ』(彦坂有紀、もりといずみ:作/講談社)です。

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1ページずつ、馴染みのあるパンが登場する作品です。あんパン、ロールパン、クリームパン、カレーパン…。「どうぞ」と勧められて、ページをめくり、「ぱくっ!」と食べると、中身が少し顔を出します。ふわふわだったり、サクサクだったり、出てくるパンは様々ですが、その食感や香ばしさまでが、まるで目の前に置いてあるかのように伝わってくる、お腹のすく作品です。実はこの作品、浮世絵の技法を使った木版画なのだそうです。小学校の読み聞かせでも、そういうエピソードを加えると、高学年も関心を持ってみてくれます。2歳から。

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『おだんごぱん』(ロシアの昔話、わきたかず/福音館書店)。このお話は、ヨーロッパ各地に類話があり、作者さまざまの絵本が出版されているので、幼少期に一度は触れる機会があると思います。焼きたての堅焼きパンがコロコロ転がっていく場面や、動物たちに捕まるまいとかわして逃げていく場面など、あ、知ってる、と子どもは思うかもしれませんね。今回は、この瀬田貞二さんの訳の作品を選びました。理由は、単純に、私も小さい頃何度も読んでもらい、思い入れがあるからです。全体的に地味な感じのする絵ですが、温かみがあり、そこがまた、お話のおかしさや力強さを強調してくれているよう。最後のシーンは、幼少期の私にとってとてもインパクトがありました。読んでもらう度に、他人に騙されまい、と思ったものです。4歳から。

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最後に。中~高学年向けの児童書に、『世界を救うパンの缶詰』(管聖子:文、やましたこうへい:絵/ほるぷ出版)というものがあります。大人が読んでも発見があって面白く、こうした児童書は、慌ただしい中にあっても短時間で読めるし、息子の後を追うように、または先取りして読むことがよくあります。今ではパンの缶詰といえば非常食として普通に知名度がありますが、もともとはパンを缶詰にするなんて、突飛な発想。それがなぜ生まれたのか、どうして非常食として親しまれるようになったのか、またどのようにして世界に広まったのか、といったプロセスがわかりやすく書かれています。まさに、缶詰によって「パンどうぞ」と世界中に言える、実話に基づいたサクセス物語。元気をもらい、心の栄養にもなります。

パン教室の後、息子は「パンどうぞ」とは言ってはくれませんでしたけどね。

(Anne)


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