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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

冬のトレーナーとあったか物語【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2019.12.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学2年生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


ようやく冬らしい寒さとなりましたね。
子どもはみんな暑がりだとよく聞きますが、真冬でもノースリーブ、という子もいますよね。皆さんのお子さんはニットや上着は嫌がらずに着ていますか?
私が小学生の頃も、一年中長袖を着ないという男の子がクラスに2人もいました。来る日も来る日も同じ格好をして登校していましたが、とある雪の日、長袖姿で現れたので、むしろそれが衝撃的だったのを思い出します。

息子の通う小学校にも、同じような姿の男の子はちらほらいます。Tシャツあるいはノースリーブという薄着なのに、休み時間からクラスに戻ると汗びっしょり、という子も。そんな姿を参観日などに見かけると思わず顔がほころび、保護者同士でアイコンタクトしたこともありました。可愛らしいものです。
羽織るものがないという時代ではないので、あの子たちは単に暑いからという理由でしょう。それに男の子は往々にして気温と衣類のバランスを気にしないようですし、そもそも面倒臭がりですものね。

女の子だって薄着さんがいます。うちの目の前を毎朝通る3年生は、霜の降りるような朝でも、7分丈のコットンカーデガン1枚で登校してゆきます。見かけるたびに、私は「寒くないの?元気だねぇ!」と声をかけていますが、あのおばさん、同じことしか言わない、としか思ってないかもしれません。女の子はキョトンとして、自分が薄着をしているという意識はまるでない様子で登校して行くんです。
私のように、寒い寒いと言って、真冬は上は5枚、靴下は二枚重ね、なんていう子どもは見かけません。やはり子どもは往往にして暑がりなのだろうと思います。

実はウチの息子も、その暑がりの一味でした。
と言っても、先ほどの男子のように真冬をノースリーブで貫くほどのハードボイルドではありません。さすがに外は寒いと感じるらしく、上着は必要です。でも、暖房のよくきいた室内では真夏も同然のようで、長袖ではすぐに火照ってしまいます。なので真冬でも半袖は手放せませんでした。でも、それに上着を羽織るだけでは、なにせハードボイルドではないので、外気が寒い。かと言って、上着と半袖Tシャツの間にカーデガンでは暑すぎるし、トレーナーでは脱ぎ着が面倒なよう。どうしたものかと悩んだ時がありました。
色々試した挙句、半袖Tシャツにネルシャツが丁度良いことが分かりました。カーデガンよりは薄手ですし、前ボタンを開けっ放しにしておけば、室内で暑くなってもすぐ脱げます。ボトムスに関しては通常の長ズボンで、問題なし。

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冬の室内では半袖Tシャツの上にネルシャツ。暑くなればすぐに脱げます。

この組み合わせは息子の冬の定番コーデとなり、もはやネルシャツは欠かせない必須アイティムとなったわけです。
そういうわけで、今年も秋冬物が出回ると、ワンサイズ上のネルシャツを売り切れる前に4枚購入!!

というところに、義妹がアメリカから戻ってきました。息子へのお土産は、さりげなくCOLORADOと書かれたトレーナー。裏地はあったか素材の起毛です。パパが半年前に持ち帰ったボストン土産のトレーナーと全く同じ形と素材でした。きっとアメリカでは人気の定番品なのでしょう。でも、なにせ起毛です。きっと息子は暑いと言って、脱ぎ捨てるでしょう。綺麗な状態のまま手放すのが目に見えていました。

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お土産のトレーナー。2枚とも、裏地が起毛です。

ところが、11月の末、ぐっと寒さが深まった頃、珍しいことに息子が寒い、寒いと言い始めました。クラスでは水疱瘡、インフルエンザ、ノロなどが蔓延中で、学級閉鎖になったばかりです。息子も感染したに違いないと、まずは体温を測りましたが、平熱です。すぐに脱ぐだろうと思いながらも、とりあえず例のトレーナーを渡しました。30分経っても、1時間経っても、息子はトレーナーを着たままです。結局、その日は寝巻きに着替えるまで、ずっと起毛のトレーナーを来ていました。
なぜかそれ以来、毎日ごく一般的な冬のスタイルで過ごせるようになりました。長袖Tシャツの上に、トレーナーかフリース。外へ出るときは上着を羽織るといった具合に。昨年の冬のように、室内でやたらと暑がることもありません。まるで体質が変わったかのよう。「つ」で年を数える時期を終えて10歳になると、心も体も大きく変化して行くような気がしてなりません。
4枚のネルシャツは、まだまだ出番待ち。春が来るまで箪笥で冬眠ですね。

では、今回は体が温まりそうな作品をご紹介します。
『わたしのゆたんぽ』(きたむらさとし:作/偕成社)

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女の子は、お布団に入って、あったかい「ゆたんぽ」を足元に置くのが大好きです。でも、「ゆたんぽ」の方は、女の子の冷たい足がちょっと苦手。しびれを切らした「ゆたんぽ」は、お布団から逃げ出すことを決意しました。ところが、まて、まて、というように女の足が不思議なことにぐんぐん伸びて。。。足は壮大な冒険へと繰り出します。この想定外の展開に、子どもはゲラゲラ笑いだしますよ。子どもって、ありえない話がとても好きなんですね。ほっこり昭和テイストの絵も素敵ですし、ラストもとっても可愛いです。

『まほうのなべ』(ポール・ガルドン:再話、絵/童話館出版)

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『おいしいおかゆ』というタイトルでも知られる、グリム童話の物語です。この作品では、おかゆではなくオートミールとなっていますが、要するにキビを牛乳で煮込んだもので、ヨーロッパの粗食ですね。あるところにひもじい生活をしているお母さんと娘がいます。娘が森に食べ物を探しに行くと、不思議なおばあさんが現れ、まほうのお鍋をくれます。なんとそのお鍋は、呪文を唱えると、ぐつぐつとお粥を煮出すのです。これでもう毎日のご飯に困ることはないと安心していると、とんでもないことに。お鍋であったまりたい冬にオススメの愉快なお話です。

さて、大きい子向けに一冊。なにせ息子も私も斎藤洋さんの作品がとても好きで、『ほらふき男爵の冒険』(偕成社)も、もちろん一緒に楽しみました。

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元々はミュンヒハイゼン男爵という18世紀の人物が友人たちに語った、奇想天外な物語です。色々な人によるバージョンで出版されていますが、こちらは斎藤洋さんらしいキレの良い文で、とても読みやすいのが特徴です。男爵のぶっ飛びすぎな話は、はっきり言って眉唾ですが、話に巻き込まれずにはいられません。アイディア満載の、ロシアの冒険談が聞けますよ。ロシアでは、寒さが尋常ではないので、夫人たちも、熊たちも、ファーコートを何枚も重ね着してるんですって!こんな、まったくもって、馬鹿げている話が愉快でたまりません。でも、重ね着すれば極寒でもあったかなのはきっと確かですね。
寒さが増してきますが、暖かくしてお過ごしくださいね。

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。