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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

通いたくなる、通わせたくなる中学校とは?

2019.12.25

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学4年生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


2019年もあとわずか。年が明ければ息子の3学期は駆け足で過ぎ、あっという間に5年生になるでしょう。ぼちぼち進学について考えたくなるこの頃、そもそも中学校とはどういうところなのだろうという疑問が頭をよぎります。
私のころと同じように、制服を着るんだよね?髪型に規制があるんだよね?算数が数学に変わるんだよね?

そんな中、知人の誘いで、こんなトークイベントに行ってきました。

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トークイベントのチラシ。「変化を恐れているのは、もしかしたらオトナの方かもしれません」とあって、ドキッとさせられます。

パネリストは、世田谷区立桜丘中学校西郷校長、教育評論家の尾木ママこと尾木直樹先生、名門・麻布学園理事長の吉原毅氏。そして司会進行役には、教育ジャーナリストでもある保坂展人世田谷区長でした。

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左から、教育ジャーナリストの保坂展人世田谷区役長、教育評論家の尾木ママ、桜丘中学校の西郷考高校長先生。

内容は、NHK番組『ウワサの保護者会』でも紹介された、区立桜丘中学校の取り組みについて語るものでした。この学校は大変自由な校風で知られています。校則もなければ、絶対に着ないといけない制服もなく、定期テストもなければ、チャイムもならない。子どもたちが学ぶ場所は教室外でもよく、登校時間も絶対というものはありません。授業中の読書はもちろん、スマホも昼寝もOKという自由さです。
そんな無法地帯では、もはや学校とは言えないほど荒れているに違いないと、決めてかかりそうです。
ところが、この学校の生徒たちは笑顔が絶えず、学校が楽しくてたまらないと言います。いじめもなく、不登校もない。さらに、親が気になる学力の方ですが、これも3年生になる頃には自然と延びて、区でもトップレベルになるそうです。
そんな楽園のような学校、本当に可能なの?そう思うわけです。
実際トークイベントの傍聴席で聞いてみると、まず、この中学校がどのようにして「自由」になっていったかを知り、その独創的な改革に打ちのめされます。ルールがあるからいじめや差別がある。ならばルールを取っ払おう。この考えが根底にあるようです。
教室が苦手。ならば廊下に居てもいい。
授業が退屈。ならば本を読んでも、寝てもいい。
髪の毛を染めたって構わない。自分を表現する手段として必要なのかもしれないから。
などなど、今までの「中学校」の常識を覆すものばかりでした。
お話の中で最も印象的だったのが、「みんな違ってみんないい」ではなく、「みんな違った方がいい」というお考え。ほんの少しの違いですが、後者の言葉にこそ、心置きなく個性を発揮できる安心感を感じました。つまりこの学校では、「キミ変わってるね」は褒め言葉だそうです。こういう校風なので、従来型の学校生活に違和感や息苦しさを感じていた子たちでさえ、自ずと登校しやすくなるそうです。こうして不登校がなくなり、「変わってる」子を疎外するようなイジメもなくなってゆく。この理屈には、大きく頷いてしまいました。合点です。多様性を認めるということは、こういうことなのかも知れません。
他のパネリストの方々も、なぜこうした自由さが必要なのかを説得力を持って分かりやすく語ってくださいました。とても参考になったイベントでしたし、自分の子育てを見つめ直す良いきっかけとなりました。

というわけで、先日発売したばかりの『校則をなくした中学校 たったひとつのルール』(世田谷区立桜丘中学校校長 西郷孝彦:著/小学館)は一気読みしました。

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堅苦しい教育論ではなく、ユニークで生き生きとした現場が手に取るように分かる、大変読みやすいものです。なぜ、このように自由にするべきなのかがとてもよくわかります。学区内外や子どもの年齢を問わず、子供を通わせたいと思うか否かでもなく、共感するか異議を唱えるかでもなく、多くの子育て世代に、きっと何かしらのヒントを与えてくれるのではないでしょうか。

絵本では、こんな中~高学年向けの作品があります。『グリンチ』の原作者でも知られるドクター・スースによる、ユニークで自由な学校のお話です。『とても すてきな わたしの学校』(童話館出版)。

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この学校は、規律ばかりの「じゅうじゅんスクール」とは大違い。なんでもありで、生物も化学も音楽も美術も、ヘンテコで愉快なことばかり学びます。子どもたちはこの学校が大好きです。先生たちも輝いていて、みんなそれぞれ自分の考えを持っているそうです。ところが突然、生徒たちがきちんと学んでいるか、国が試験をすることになりました。果たしてその成果は?なんとなく、桜丘中学校の校風と重なる部分もあり、心が解放されるようなお話です。

もう一作。『びゅんびゅんごまがまわったら』(宮川ひろ:作、林明子:絵/童心社)は、とある小学校の物語。

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校庭に続く森は、子どもたちのお気に入りの遊び場です。木登り、ジップライン、ブランコ、丸太の一本橋など、思い思いに楽しむ中、ちょっとした事故が起きます。男の子が一本橋で滑って、怪我をしてしまいました。案の定、遊び場は閉鎖されることに。そこで子どもたちは、再び遊び場を解放してもらえるよう、校長先生を説得しようとします。でもそう簡単にOKは出ません。子どもたちと校長先生の真剣勝負が始まります。びゅんびゅんごま対決です。そんな姿は、トークイベントの西郷校長先生を少し彷彿させるとこがあります。

息子のことはさておき、ふと私は、12歳の頃の自分を思い出してみました。
桜丘中学校のような自由な学校が近くにあったら、間違いなく通いたかったでしょうね。
みなさま良いお年を!

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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Anne (あんぬ)モデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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