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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

2020年おめでとう!そして年賀状の話。

2020.01.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学4年生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


明けましておめでとうございます。
今年もたくさんの、愉快な、味わい深い、心に残る、絵本を紹介したいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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お年賀に頂いた菊廼舎の『冨貴寄』。蓋を開けると中は華やか。運が開けそうな気分になります。

新年のご挨拶は、やはり年賀状でしょうか。
最近ではメールやラインを使って効率よくという方や、時にはスタンプだけという方もいらっしゃるでしょう。
私が子供の頃は、ゴム版を彫った版画で、毎年オリジナルの年賀状をこしらえていました。そこに宛名を丁寧に書くのも楽しみのひとつでした。そして元旦に郵便受けを開くと、家族宛の大量の年賀状に混じって、私宛のものを見つける喜びはお年玉をもらうより嬉しかった記憶があります。
そんな経験をしておきながら、最近では年を重ねるごとに年賀状制作の手間を省き、版画はもちろん、印刷屋さんにお願いするのも怠るようになってしまいました。クリスマスからお正月までの忙しさを言い訳に、寒中見舞いにシフトしたり、メールやラインで済ませています。そんな親の姿を見せるのは、果たして子どもにとって良のだろうかと悩みます。
やはり息子にもちゃんと年賀状の習慣を。でも残念ながら現実はだいぶ遠いところまで来てしまっているわけです。
そんな中、致命的なことが発覚しました。
現代っ子ならではだと弁解しますが、息子が宛名の書き方を知らなかったのです。コミュニケーションツールが電話と手紙だった私の幼少時代の記憶と重ねると、驚くべきことです。ネットを使ったやり取りがメインの昨今ですから、子どもは親が手紙を書く姿もなかなか見れないでしょう。手紙や宛名の書き方は、放って置いてももはや覚えられるものでもなさそうです。
宛名書きの件に気づいたのは、お正月、担任の先生からの年賀状にお返事を書こうとしたときでした。
先生の年賀状は、イラストやシールなどで華やかに飾られ、手書きのメッセージが丁寧に添えられたとても手の込んだものでした。これをクラス全員分に準備するのは大変だったことと思います。すぐに返事を出すのが礼儀だと伝え葉書を渡し、息子にはペンとシールを用意させました。
10分もあれば出来上がる。そのつもりで待っていましたが、時計の針は回るばかりで、息子は動きません。
だいぶ時間がたってから、「ママ~」という声が。宛名の書き方がわからないと言うのです。
先生が書いてくれた住所を、今度は大きく真ん中に書けば良いと伝えても、あまりピンときていない様子です。
私は拍子抜けしました。
気を取り直して、これではいかんと、結局、郵便番号や住所、宛名を書く位置や大きさまで、まさに手取り足取り教えるということに。
もっと早くにこうした常識的なことは教えておくべきでした。でも、先生がこうして年賀状を下さらなければ、もっとずっと後になって宛名書きを書く場面に遭遇したかもしれません。だとするとものすごく恥ずかしい思いをしたことでしょう。10歳の今、宛名書きを覚えることができて本当によかったです。

さて。4年生ぐらいから読めそうな短編ですが、ちょうど年賀状にまつわるお話がありました。重松清さんの『はじめての文学』(文藝春秋)に収載されている、その名も『あいつの年賀状』

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5年生の男の子が、「親友」と喧嘩したまま冬休みを迎えます。年賀状を出そうかどうしようか。仲直りのタイミングを失ってしまった主人公の心うちに、小さな迷い、意地や照れが渦をまきます。年賀状という習慣があるからこそ、繋がりが保てるということもありますね。普段交流のない友人、遠方の知人、全く会わない親戚。それでも、細い繋がりは、ある時、太くなったり、短くなったりするかもしれません。やはり私も来年こそはちゃんと用意しようと思いました。

新年を迎えるにふさわしい新刊絵本、『せかいのくにでおめでとう』(講談社)です。

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幼児向けのお話会でも6年生のクラスでも聞いてもらいましたが、絵本とはいえ大きい子でも十分興味を示してくれました。日本では、初詣に行き、「明けましておめでとう」と言って新年を迎えます。では、他の国ではどうでしょう。0時を知らせる鐘の音に合わせて葡萄を食べるスペインのマドリード。ブラジルのリオデジャネイロでは、白い服を着て願い事をしながら波を浴びます。ルーマニアやイタリアの、ちょっとびっくりな習わし。そして、それぞれの言語で「おめでとう」とは。発見がいっぱいの作品です。

最後に、新年には、もちろん干支の物語は欠かしたくないですね。この「ねーうしとらうたつみーうまひつじさるとりいぬいー」のいわれはさまざまな絵本で伝えられていますが、息子が気に入ったのはこれでした。『じゅうにしのおはなし』(文:ゆきのゆみこ/ひさかたチャイルド)

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なんでも、くすはら順子さんの絵が可愛いと。水墨画タッチの中にも、動物たちの愉快の表情が愛らしく、とても親しみやすい作品です。私もこれを読んではじめて十二支のいわれをきちんと知りましたし、なんで猫が入っていないのかというオチも面白いものです。来年は年男になる息子。時が経つのはなんてゆっくりなようで早いのでしょう!
皆様に素敵な一年が訪れることをお祈りしています。

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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Anne (あんぬ)モデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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