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2月3日は何の日?
2020.01.25 by Anne Anne

連載:絵本とボクと、ときどきパパ 2月3日は何の日?

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学4年生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


もうすぐ2月です。節分の時期なので、お話会用に鬼がテーマの本の選書を考えていた先日のことです。
私は車を運転しながら、ふと後部座席の息子に聞いてみました。
「2月3日は何の日でしょう!?」
豆まきする日を「節分」ということは知っていて欲しいなぁと願いながら。

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折り紙で折った『さんぽう』に豆を入れて。実は我が家では何年もの間、この「つのこうばこ」が「さんぽう」だと思い込んで折っていました。

子どもと一緒の豆まきは楽しいものです。でも、豆の後片付けは大変ではないですか?「鬼は外!」も、あとで路面を掃除しやすいように、遠くに投げないようにと注意します。「福は内!」は玄関部分だけに控えめに投げてもらうことにしています。でないと全部回収しきれず、夏ごろになって、何か踏んづけたと思ったら粉々になった節分の豆ではないか!ということになります。でもこんな勢いのない豆まきで、いったい魔除けの効果のほどは?

他にも息子は恵方巻きにかぶりつくのも楽しみのようです。でも子どもですから、定番は大きすぎて齧れないので、細巻きでごまかしていました。
私はといえば、楽しみは「やいかがし」です。あのトゲトゲとした柊に鰯の頭をぶっ刺して作る薄気味悪いヤツを飾ると、これぞ魔除け!という感じがして不思議と気が奮い立ちます。
パパはこうしたことには無関心ですが、縁起担ぎでお豆は食べてもらいます。年の数の下一桁だけ、息子が折る「さんぽう」に入れて。
というわけなので、2月3日が何の日かと聞けば、息子はこの行事を思い出すでしょう。できれば「節分」とぐらい答えて欲しいと思ったわけです。

ところが私の質問に、後部座席から聞こえた答えは「受験シーズン!」。
鬼の絵本と節分のことばかり考えていた私ですから、意表を突かれてちょっとびっくりしました。でもそういえば、世の中は中学・高校・大学の受験の話題が、テレビや新聞のニュースで飛び交っているこのごろです。
「まあそうだけど、3日と言ったらさ、鬼は外、福は内、って大きな声を出して豆まきするんじゃなかった?それに恵方巻きを食べるでしょ?」
そう言って息子を「節分」に引き戻そうとしながらも、確かに中学受験でいうと、首都圏では3日は本番3日目だと納得。そしてふと頭をよぎったのが、受験只中の、とある母と子の話です。

お子さんが、1日、2日と、試験を受けてきたものの、結果の方は芳しくないままだったそうです。すっかり自信をなくしたお子さんは、焦りや苛立ちが募って自暴自棄になり、とうとう大泣きしてしまいます。
お母さんはそんな姿を見て、同情したり受験をさせたことを後悔したりもしますが、それでもそうもしてられないことに気付きます。翌日の3日に向けて気持ちを立て直さなければなりません。
そこでお母さんが取り出したのが、節分の豆。
お母さんが鬼をやるから、こちらに向かって豆を投げなさい、とお子さんを誘います。
豆まきでストレスを発散させようとしたんですね。お子さんはすぐに笑顔になったそうです。
節分をこういう風に過ごした親子の姿に、私は心打たれたのを思い出していました。

ふと我に返ると、「恵方巻き買って!恵方巻き買って!」と後部座席から聞こえてきます。
僕はもう10歳になったんだから、その記念に、玉子や干瓢や椎茸の入ったあの太い定番を食べ切るんだと息子が意気込んでいます。
そこで、もう一度聞きました。
「2月3日は何の日か?」
「知ってるよ!節分でしょ!」
バックミラーで息子の顔を確認すると、あっかんべーでもされそうな表情でした。

というわけで、今回は節分にまつわる絵本の紹介です。
『あかたろうの123の345』(きたやまようこ:作/偕成社)。昔からある絵本です。

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おにの子あかたろうが、おうちに戻ってくるとお母さんがいません。不安になっておばあちゃんに居所を教えてもらおうと電話をかけます。番号は123の345。お買い物をして帰るそうなので、八百屋さんや魚屋さんにも電話をしてみます。だんだんとどこのお店で何を何個お母さんが買って帰ってくるのか見えてきます。さてさて夕食のメニューは?指を使って数を数え始めるお子さんにもぴったりの、とても楽しいお話です。3・4才から。

『まめのかぞえうた』(西内ミナミ・さく、和歌山静子・え/すずき出版)

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「まめ一つ、まめひとつあったとさ。畑にうめてつちのなか」とリズムよく数え歌が始まります。豆が成長して、実がなり、節分の豆になるまでの過程をテンポよく、わかりやすく描いています。こちらも、ひとつ、ふたつ、と丁寧に数を数えるのが楽しくてたまらない、そんな年ごろのお子さんに是非。(2~3才から)写真は英語のバイリンガル版。

最後に昔話。『しょうとのおにたいじ』(稲田和子:再話、川端健生:画/福音館書店)です。

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「しょうと」(ホオジロ)という名の小鳥が仲良しのお地蔵様の耳に巣を作り、たまごを3つ産むという、可愛らしい場面から始まります。たまごはお地蔵様に守ってもらい大事に育てるつもりでした。ところが次々に赤・青・黒鬼がやってきて、お地蔵様をうまいこと騙し、3つとも飲み込んでしまいます。たいそう悲しんだ「しょうと」は、他の生き物たちの力を借りて鬼の仇討に出かけることにします。まるで『かにむかし』のような展開は何と言っても親しみやすいですし、中国地方の生き生きとした語り口と味わい深い絵が魅力の一冊です。3才から。

ではでは、皆さまのおうちにも、福が来ますように!

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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