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Column 絵本とボクと、ときどきパパ

私の手抜き弁当。

2020.02.25

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学4年生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


これは私が用意した息子のある日のお弁当です。

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かぼちゃ天丼、鳥カツの甘辛、オクラの肉巻き、枝豆、プチトマト、ほうれん草の胡麻和え。
一見すると真面目に作ったお弁当のように見えるかもしれませんが、この日は完全に手抜きでした。
かぼちゃの天ぷらと鳥カツの甘辛は冷凍食品。枝豆だって解凍しただけ。オクラお肉巻きは、オクラにお肉を巻いてチン。プチトマトは洗っただけ。手作りなのはほうれん草の胡麻和えですが、これも前日の残り物です!
これを詰めただけ。
伝統工芸品の力でしょうか。秋田大館曲げわっぱのお弁当箱に入れると、「それなり」に見える気がします。こんなに手を抜いたのに!
私は、お弁当は何も全て手作りでないといけないとは思っていません。猫の手も借りたいぐらいの時は、堂々と出来合いの物に頼っています。見た目もおしゃれでなくても構いませんし、キャラ弁に関しては一度も作ったことはありません。気にするのは食材の化学調味料や添加物。極力抑えたものを選んでいるくらいです。

そういう私だって、年に数回のお弁当とあれば、オール手作りで頑張ります。でも、これが毎日となるとそうもいきませんもの。
実はこんなことがありました。
息子は保育園を経て公立の小学校に通っているので、完全給食です。給食、ありがたいったらありゃしない!そんな風にあぐらをかいていたところに、突然の知らせが舞い込んできました。学校の給食室を工事するというのです。まるまる1学期。それはつまり、お弁当の用意が必要だということです。しかも当然毎日!
ここで青ざめたのは、私だけでなく、この小学校のほとんどの父兄、正確にはお弁当を用意する立場のお母さん、お父さんでした。さらには先生方も頭を抱えていました。もうそうなると学校の話題は、もっぱらお弁当です。保護者会でも、学校のホームページでも、近所の井戸端会議でも、どんなものを入れるか、どうやって持たせるか、どうにか手を抜けないか。長期なので無理はしないようにというにというアドバイスと栄養士さんからの手抜きレシピなどが保護者に配られたりもしました。まるで戦の準備です。そしていよいよお弁当期間がスタートすると、今度は一同長距離ランナーになったかのように、「あと2ヶ月」「あと30日」「1週間」と給食再開までのカウントダウンをしながら、皆が皆お互いに励まし合ったものでした。
一方、この期間をものすごく楽しんだのは子どもたちです。なにせお弁当には自分の好きなものしか入っていませんから。嫌いな牛乳をひと瓶飲み干さないといけない苦痛に苛まれることもなければ、完食やお代わりを強いられることもありません。みんなそれぞれに違う形で違うものを持ってくるので、見比べたりするのもひとしおでしょう。お家でも子どもとの会話はお弁当の話が自然と多くなり、食べ物の話は人をニコニコとさせるものだなぁとつくづく思いました。
そんな中、ある日息子が、毎日ものすごく綺麗なお弁当を持ってくるお友達がいると言います。色とりどりの具材がお行儀よく斜めに入れらえていて、上にはお花が乗っているのだと。お弁当箱は木製で楕円形をしている、とも。私は、曲げわっぱに詰まった宝石箱のようなお弁当が頭に浮かびました。きっと上に乗っているのは紫蘇の花か花形に切った梅酢レンコンなのでしょう。毎日のことなのに、その手の込めように感服してしまいました。
ふと見れば、息子は羨ましそうな表情で「僕も…」と何か言いたげです。
「ママはそんな手の込んだお弁当は作れませんよ!」
言われる前に釘を差しておくつもりでした。
「いや、綺麗な具を色々入れて欲しいんじゃないよ。ただ、ぼくもあの綺麗なお弁当箱が欲しいなぁ、って思って」。
おしゃれ弁当もキャラ弁も要求してこなかった息子です。奮発しようかな。

というわけで、秋田大館曲げわっぱを購入。おかげさまで、手抜きの具材も「それなりに」納めてくれて、助かってます。

では、今回は美味しそうなお弁当がテーマの作品をご紹介します。
『おべんとう』(小西英子:さく/福音館書店)

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これは2~4歳向けの用事絵本ですが、ママたちもお弁当のアイディアに困った時に、初心に戻れる作品だと思っています。ふっくらご飯、あつあつミートボール、ふんわり卵焼き、プリプリウィンナー…。ああ、そうそう、こういう風に作ればいいのよね、と思いながら。子どもとは、一緒に、1ページめくるごとに、美味しそうだねと言い合ったり、ムシャムシャと食べる真似をしたり。内容はシンプルなのにたくさんのやりとりができ、心がほかほかする作品です。

『まんてんべんとう』(くすのきしげのり:作、伊藤秀男:絵/フレーベル館)。主人公なおくんのお母さんは、豪華なキャラ弁を毎日作ってくれていて、お友達たちにも大人気です。ところが、明日は遠足という時に、お母さんの具合が良くありません。お母さんは大丈夫だろうか。お弁当作ってもらえるのだろうか。心配になったなおくんがとった行動は…?伊藤秀男さんのパワーみなぎる絵に元気をもらいますし、くすのきしげのりさんならではの、子どもの気持ちに寄り添ったお話は感動的です。私も遅ればせながらキャラ弁、作ってみようかしら。

最後に、こんな本が発売されました。鉄道ファンにはお馴染みの櫻井寛さんの『にっぽん全国100駅弁』(双葉社)という駅弁写真集です。

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これをお弁当のヒントに、今日は長崎本線長崎駅の『坂本屋角煮めし』風だとか、また別の日は小海線小淵沢駅の『高原野菜とカツの弁当』風だとかいって、作ってあげたら喜ぶかもしれませんね。例えば、思春期に入って会話がめっきり少なくなった鉄ちゃんに!
(Anne)

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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Anne (あんぬ)モデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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