働くママのウェブマガジン

Column 絵本とボクと、ときどきパパ

3月8日とジェンダーと子どもの本。【Anneママの『絵本とボクと、ときどきパパ』】

2020.03.15

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学4年生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、息子の小学校も休校になりました。
あまりに急なことで、我が家でも困惑しています。長引けば子どもたちにも相当な負担がかかるに違いありません。
早く終息してほしい!ほんとうに!!


この話題はまた別でするとして、3月8日は国際女性デーでしたね。それにちなんで、ジェンダーの話をしようかな。
先日、オランダに住む妹から、こんな写真が届きました。

アンヌ モデル 子育て ハナコママ
赤い水玉のワンピースを着てとても嬉しそうな甥っ子。でも多分、自分のジェンダーに違和感は感じていない。

妹の3歳の息子が、スペイン旅行でフラメンコを観てからというものやたらワンピースを着たがるのだそうです。保育園にはプリンセスやカウボーイなどの衣装が常に置いてあり、子どもたちはいつでも着て良いことになっているそうです。その中から毎日甥っ子は、このこの水玉の服を選んでいると。「垂れる垂れるワンピース」と名付けて着て、とても嬉しそうです。親も周りも、なにを言うでもなく自由にさせているのだとか。
妹曰く、スウェーデンはもっと進んでいて、女の子の格好をして幼稚園に通う男の子は普通にいるのだとか。親も社会も特にどうということでなく、5~6歳ぐらいになれば、そういう傾向が自然と消えるのだと言います。必要であれば、そのまま着続けるというだけのことだと。
ジェンダーに対する固定概念から解放されるようなエピソードでした。

一方我が家では、こんなことがありました。
年明け早々のことです。私の大学時代の友人がパリから来るというので、美味しい和食でも食べに行こうと約束をしました。
息子とパパの夕食にはカレーを用意してお留守番をお願いし、私の方は出かける身支度でバタバタしていると、息子が誰に会うのかと聞いてきました。
大学時代の友人だと伝えると、どんな人なのかと興味津々です。
「そうねえ、面白くて頭が良くて、楽しい人よ」
友人なので良いことしか思いつきません。
「女の人?」と息子。
「いや、男の人よ」と私。
それから少しの間、息子は黙っていましたが、また質問してきました。
「ふーん、でもなんでママはその人と結婚しなかったの?」
「ええーー!!」
あまりに想定外の質問だったので、私は思わず吹き出してしまいました。
「いやー、だって、お友だちだもん!そんな感じじゃないよー!」と、大した説明にもなっていないなと思いながら返事をして、「それに、その人、男の人が好きなのよ」と付け加えました。
この最後の一言が息子には説得力があったのか「あ、なるほどね」と納得してくれたようです。

最近の子どもたちは、同性が好きな人の話や、スカートを履きたい男の人の話が話題になっても、割とさらりと受けとめますね。驚くことはなく、変わっているとも思わず、そういう人いるよね、ぐらいの感覚で。
ホッとします。
でも、その脚本家でもある私の友人は、男性が男性に恋をするシナリオを書いたら、片方を女性にしてくれとお願いされたと言います。21世紀だというのに、とため息をついていました。

さて、以前にこんな絵本を見つけました。とても気に入っていて、読み聞かせ用に何度も借りています。『ピンクがすきってきめないで』(ナタリー・オンス:文、イリヤ・グリーン:絵/講談社)

アンヌ モデル 子育て ハナコママ

ふつうはピンクが好きというけれど、「わたしは、黒がすき」という女の子のお話です。蜘蛛や恐竜も好きだと語って、周りには人形遊びが好きな男の子や、ミニカーを花柄にペイントする男の子もいるんだと紹介してくれます。「そんなこと どうだっていいじゃない」。ちょっとばかり挑発的な口調も、フランス的なおしゃれな絵もとても魅力的です。男の子らしくとか、女の子らしくとか、もううんざりな時代ではないでしょうか。

『ふたりママの家で』(パトリシア・ポラッコ:絵・文/サウザンブックス)

アンヌ モデル 子育て ハナコママ

題名の通り、パパはいないけれど、ママ2人と、肌がブラウンの子、目の細い子、赤毛の子の3きょうだいで暮らす家族のお話です。周りには素敵な仲間もいて、楽しく毎日を過ごしていますが、変わった家族だといって毛嫌いする人も登場します。それでも明るいママ達に支えられて成長してゆく3きょうだい。
子どもたちには、こういうお話にも小さいうちから触れて、いろんな家族の形があることを知りながら、あらゆる無駄な「壁」を作らずにいて欲しいなと思います。

最後に高学年~中学生向けの読み物。『ぼくがスカートをはく日』(エイミ・ポロンスキー著/学研プラス)

アンヌ モデル 子育て ハナコママ

心のうちにモヤモヤとした思いを抱えながら、日々を過ごすグレイソン。誰にも知られなようにお姫様の絵を描き、金色のドレスを着てるシンデレラのような自分を密かに想像してみます。でも思春期が近づくにつれて、今までのように想像力だけでは補えない本当の思いに悩みます。葛藤を繰り返しながら、やがて劇のオーディションをきっかけに、徐々に自分を解放してゆく物語。
女の子になりたい!そんな思いを抱える子どもの気持ちがとてもよく分かる、繊細描写が印象的な感動作です。
(Anne)

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Anne (アンヌ)

モデル・絵本ソムリエ。1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。