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こんな時だから読み耽る、貴重な時間。
2020.04.15 by Anne Anne

連載:絵本とボクと、ときどきパパ こんな時だから読み耽る、貴重な時間。

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学4年生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


日本でも首都圏を中心に緊急事態宣言が発令されましたね。
ご存知の通り、ヨーロッパでは爆発的に感染者が増え、母の住むパリでも制約の厳しい生活が続いています。

パリ市内は閑散としている様子がニュースで報道されましたが、実際、市民の毎日はどの程度缶詰状態なのだろうかと心配になります。こもっているとコロナの感染や暴露は避けられても、運動不足やビタミンD欠乏の心配もあります。いろいろ気がかりでメールで尋ねてみると、近所の通りや広場の写真が送られてきました。

パリでも生活必需品の買い出しはOK。さらに運動や散歩も1日に1時間以内なら許されていているとのこと。外出許可書は記入して所持しないと出れませんが、全く外の空気が吸えず、日の目も見ないというわけではない、というコメントでした。(おことわり:世界の状況が悪化する中、パリの外出許可の条件も変わってきているので、オンタイムの情報ではありません)

外出許可書は、自分の氏名、生年月日、住所を記入して、5項目のいずれか当てはまる外出理由にチェックし、サインをするというものです。5項目とは、
1:在宅勤務が不可能。または時期をずらせない仕事
2:生活必需品の買い出し
3:通院など健康上の理由
4:保育や介護目的
5:単独行動に限り、近所での運動やペットの散歩。
母の場合は、5番目の項目にチェックをしているということでしょう。

大きな公園は閉鎖されていますが、住宅街のちょっとした遊具がある広場はそのままで、まばらに子連れがいるようです。制限のある中でも子ども達は外遊びができ、大人たちは日光浴ができているようですね。その間隔は大きく開いていて、2メートルは優にある。人と人の距離を十分確保する意識がありありと伝わってきました。

もちろん日本の緊急事態宣言はヨーローパのようなロックダウンとは違い、罰則がないとはいえ、今までのように心置きなく出掛けるわけにはいきません。不要不急の外出と3密は避けて休業要請。
でも、百貨店と理髪店は休業対象外? こうなるとステイホームといえども曖昧で、まるで雲を摑むような感じがします。どこまでが許容範囲なのか判断が難しい。
仕方がないので、ひとまず私は、上記の外出許可書の項目を参考に行動したいと思いました。

それにしても大変です。

休校が延長され、お稽古もなし。子どももかわいそうです。
一方親も、いつもは留守の家族が24時間家にいるわけですから、生活リズムの見直しが必要になります。
我が家の場合は、一人っ子なので、兄弟同士で勝手に遊んでくれるというわけにも行きません。学校生活で日課だった男の子同士のわけのわからないじゃれ合いとか、ちょっとした諍いとか、女親には意味不明なギャグのやりとりとかも、休校のためできないので、母親の私が付き合うことになります。真面目に相手をしていると、知らず知らずのうちにドタバタ劇に展開し、そこへパパが顔を出して「またトムとジェリーやってるの?」と呆れるという結末です。

そういうわけで、夕食後は流石に疲れて大人の時間が欲しくなります。通常は9時半過ぎてようやくベットに向かう息子でしたが、今は「目標」8時半、「現実」9時には自分の部屋に引っ込むようお願いしてます。そして、ゲーム機もパソコンもない部屋で10時まで自由に好きなことをして過ごしてもらってます。たっぷり1時間。
本来なら忙しい高学年。なかなか作れなかった貴重な時間です。長い長いシリーズものの物語にも思う存分浸れます。

『ドリトル先生物語全集』(岩波書店)は全部で13冊もありますが、息子は面白い、面白いと、読み耽っています。

絵本1

その姿を見ると、羨ましくて仕方がありません。子どもの頃のこうした読書体験は、どんなに心躍るものでしょう。翻訳は井伏鱒二氏です。その日本語が驚くほど美しい! 優しく、ユーモア溢れる文章で、心が澄んでゆくようです。息子の心にもこの文章の美しさが浸透していって欲しい。とはいえ読み始めは、この文章に馴染めなかったのか、なかなか読み進みませんでした。そこで私が最初の部分を読み聞かせみて、やっと入り込めたようです。まだまだ親の読み聞かせが必要な時もあります。幾つになったっていい。私はそう思ってます。もちろん、子どもは膝の上から隣に、隣から向かいに、向かいから斜めに、向かいからソファーの端に。きっと距離は離れてゆくでしょうけれど。

さて。ドリトル先生のように動物たち囲まれたい、と思っても今は動物園には行けません。せめて本の中で出会いましょう。

童話や昔話が詰まった『おはなしのろうそく』(東京子ども図書館)シリーズというものがあります。

絵本2

この中に収められた『世界でいちばんきれいな 声』(マージョリー・ラ・フルール:作)ですが、あまりの愛らしさに、私は丸暗記してしまいました。ある時一羽の子ガモが、外の世界を知りたくなって家を出ます。すると、次々と動物に出会います。その度に、初めて聞く鳴き声に憧れて、真似をしてみますが、どんなに頑張ってもうまくいきません。さて、子ガモはうまく鳴けるようになるのでしょうか。ユーモアある小さな冒険物語。

子どもが笑顔になること間違いなしです!ポケットに入るサイズでメモ帳のように軽いのも魅力。いつでもどこでも取り出して、そっと読んで聞かせたいものです。3歳ぐらいから低学年向け。

『MAPS(マップス)/新・世界地図絵』(アレクサンドラ・ミジェリンスカ&ダニエル・ミジェリンスキ:作/徳間書店)ポーランド発の大型世界地図絵本です。

絵本3

地図にはギッシリと各国の基本データや地理情報、それに特産物や生息物のイラストが埋め尽くされていて、何時間でも眺めていられる大人気の絵本です。国の数を増やした「愛蔵版」もあります。世界への夢がどんどん膨らむことでしょう。

『みんなみーつけた』(きしだえりこ:作、山脇百合子:絵/福音館書店)

絵本4

お馴染み『ぐりとぐら』の作者による、かくれんぼのお話です。男の子がオニになって、草むらに隠れた動物たちを探します。でもみんな、ちょっと体のどこかが出てしまってます。どこにいるのでしょうか?それを子どもと一緒に探して、「みーつけた!」と言う喜び。何度も繰り返し読んで、楽しめます。2歳ぐらいから。

子ども向けの本の中では、動物も人間も、当たり前のように心を交わすことが多いことに改めて気づかされました。それをすんなり子どもは受け入れるんですね。そんなボーダーのなさが素晴らしい。外と内のボーダーを意識する今日、世界のみんなと手を組みたい。そう思います。
(Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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