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復刻版だるま弁当と電車の絵本で旅気分

連載:絵本とボクと、ときどきパパ 復刻版だるま弁当と電車の絵本で旅気分

この連載は……
モデルのアンヌ(Anne)さんによる絵本紹介エッセイ。小学5年生の男の子ママでもあるアンヌさんは、出産をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまでは息子さんだけでなく地域の読み聞かせ活動にも参加するほどの絵本好き。息子さんとの日々も綴ります。


断捨離をする人も多いと聞くこのステイホーム期間。私も、食器棚の整理をしてみました。するとこんなものが出てきました。

復刻版だるま弁当。瀬戸物で、ずっしり!

これは高崎の名物、だるま弁当の入れ物です。あれ? ダルマ弁当といえば、赤いプラスチックの容器で、食べ終わるとダルマの口の部分に穴があるため、貯金箱にできるというものですよね。でも実はこれ、その赤いダルマ弁当の原型なんです。もともと1960年の発売当初は瀬戸物の器だったのが、1973年に今の容器に切り替わったそうなのです。それが近年、復刻版としてこの瀬戸物のお弁当が発売されて、駅で見かけるようになったというわけです。

この瀬戸物のお弁当は、昨年の春、息子と高崎を訪れた際に駅で見つけてその場で食べたものです。器が立派なのでの捨てるには忍びなく、持って帰ってきました。けれども使い道がない。飴やおせんべいを入れて食卓に置いても良かったのですが、なにせ物が多い家の中。これ以上余計なものは出すまいと、棚の奥にしまいこんでいたのです。

それから一年ほど経った今、思いも寄らない生活が始まり、不要不急の外出はできない事態となりました。旅はもちろん、電車にも気軽には乗れない。高崎にだって行きたくてもいけません。

家にこもる生活が続くと、当然、映画やテレビ番組を観る機会が多くなります。異国が舞台の作品、秘境を巡る旅番組など、いろんな景色に映像を通して出会ってます。それはそれで息子も楽しんでいますが、この頃は観るたびにだんだんと、電車や飛行機で遠出や旅行をしていた頃を懐かしむようになりました。

「あーあ、前みたいにどこか遠くへ行きたいなー」

そんなふうに呟いては、地図帳を広げて見入ってます。なんとか線に乗って、あそこへ行って、あれそれを食べて、あれも見物して、と頭の中で欲張って計画してみたりして、なんとか気持ちを満たしているようです。小学校に上がって興味は他へ移ったものの、鉄道ファンの幼少期を経ただけに、やはり時々は乗りたい。特にこんなおこもり状態が続いていると、より一層「移動」への思いが募るのかもしれません。

そこで思い出したのが、この瀬戸物のお弁当箱。

今日のお昼ご飯は、これに詰めてあげよう。

もちろん相変わらず、超手抜きですよ。でも、少しだけ旅気分を味わえたようで、息子はとても喜んでくれました。

入れたのは、朝の残りの五目いなりと鯖。それにいつもの助っ人「冷凍ささみカツ」をチンして、あとは冷蔵庫の野菜を詰めただけ。ごま塩にぎりだけは努力して、お弁当用ににぎりました。

考えてみれば、鉄道ファンの子どもたちにとっては、寂しい時期ですよね。もしこれがウチの息子の幼少期だったらと思うと、心が痛みます。本人たちにとっては、乗車は「要」の外出だと主張したいところかもしれませんね。

というわけで、今回は、鉄道ファンのちびっ子たちに向けて、少しでも気持ちが紛れることを願って絵本2冊と大きい子向けの読み物を選んでみました。

『でんしゃはうたう』(三宮麻由子:ぶん、みねおみつ:え/福音館書店)

この作品は、ホームに到着した電車に乗り、次の駅で下車するまでの時間を、景色と電車の音だけで綴ったものです。「たたっ つつっつつ たたっ つつっつ」。確かに、よーく耳を澄ませると、電車はまるで歌ってるかのようです。まずは声に出して読んでみてください。読み慣れてくると、すごく楽しい。リアルさが増して、親子で電車に乗ってる感に包まれます。3~5才向き、とありますが、私でも面白いと思ったぐらいなので、大きい子に読んであげても喜ぶかもしれません。読み聞かせ活動も目下休止中ですが、再開したら高学年に読んでみようと温めています。

『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』(間瀬なおたか:さく/ひさかたチャイルド)

大人気の仕掛け電車絵本です。山の駅から海の駅まで、野を超え山を越え旅する電車の様子を描いた作品です。穴のあいたトンネルのページをめくると景色が一変する驚きが味わえたり、車内の家族の行動もじっくり観察できたり、さらには後ろからも読み返せて「折り返し運転」も体感できます。電車や旅の楽しさが凝縮した作品。鉄道ファンでない子にも、大きい子にもオススメです。5年生の息子も、こういうの「マイクラ」で作りたいと見入っていました。2~3歳から。

『いえででんしゃ』(あさのあつこ:作、佐藤真紀子:絵/新日本出版社)

大人気の作家さんコンビによる物語。ママから「ムジツノツミ」で叱られたさくら子は、思い切って家出をすることにします。そこにやってきたのは、古びた電車。家出をした子なら誰でもただで乗車できるというので飛び乗ってみると…。さくら子は色々な人や生き物に出会い、みんなの言い分に耳を傾けてゆきます。読んでる側も、きっと共感できるところ満載でしょう。ウチの子は、なんども読み返していたました。理不尽なことで叱られて悔しい思いをした時など、心の支えになっていたようです。『いえででんしゃはこしょうちゅう?』『いえででんしゃはがんばります』と続き、3月に12年ぶりの続編『いえででんしゃ しゅっぱつしんこう』が発売されました。文章も易しいし、内容も親しみやすいので、中・高学年向きとありますが、低学年でも問題なく読めると思います。

絵本や本で旅の夢を膨らませながら、いつかまた電車に乗れる日を待ちたいですね。 (Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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