連載:絵本とボクと、ときどきパパ 『プレバト!!』大好き親子と俳句の課題
毎週木曜日の『プレバト!!』は、親子で楽しみにしているテレビ番組です。出演者たちの遊び心あるバトルに笑わせてもらいながら、発表される俳句を一緒に評価してみたり、学んだりするのが息子にとっても楽しいようです。こんなに毎週観てるのだから、一二句ぐらいすらすら出てくるだろうと思いきや、息子もやはり詠むとなると難しいもののようです。
先日、俳句作りの課題が出たそうで、学校から帰るとランドセルを開けるなり、考え込んでいました。
いい案が浮かばない、どうしよう、困った、と。
「『プレバト!!』の人たちみたいに作ればいいのよ」と、軽々しく提案すると、「そんなに簡単じゃない」と、当然の返事が返ってきました。
それからまたずっと考えているので、「適当でいいのよ、適当で」とアドバイスしてみましたが、やっぱり、こんなことを言う母親はケシカランなと即反省し、「なんてね」とごまかしました。
それからまだ考え込んでいるので、「ほら、例えばさ、こんなのでいいのよ。」「◯◯◯◯◯ ◯◯◯◯◯◯◯ ◯◯◯◯◯」。思いつくままに5・7・5の文字を並べてみると、「それ、季語がないから」とバッサリ。
「川柳だからね」と釘を打たれ、私はようやく黙ることにしました。
その後、どんな俳句を息子が作ったかは知りません。
でも、数日後、また学校から帰り、今度は開口一番「今日、俳句やった。楽しかった」。私に話しているのか、独り言なのかわからない感じで言い放ち、そのまま手を洗いに洗面所に向かいました。
あとで、聞いたところによると、クラスのみんなで意見交換をしながら作成し、お互いの作品を評価しあったりしたとのこと。学校でしか持てない貴重な時間です。そのありがたみを、休校が長かったからこそ噛み締めているところです。
そんな最中、まったくタイムリーなことに、絵本(児童書)配本サービスからこんな本が届きました。
『おーい、ぽぽんた』(茨木のり子、大岡信、川崎洋、岸田衿子、谷川俊太郎:編集/福音館書店)
詩、短歌、俳句、全166編。「小学生に暗唱してほしい」という思いから、五人の詩人たちが丁寧に選び抜いた詩集です。息子は読まないだろうから、私用にするつもりでいました。ところが、テーブルに置いておいたら、息子は早速見つけて「あ、『おーい、ぽぽんた』だ!」と。さも読んだことのあるようなリアクションです。聞けば、内容は知らないけれど、〇〇さんがいつか勧めてくれたというではないですか。絵本ではない詩集は、子どもの興味をそそらないだろうという偏見があったので驚きました。そのお友達は所謂「本の虫」というわけでもなさそうです。でも勧めてくれたというからには、きっと多くの子どもたちが親しみやすい内容なのかもしれない、とも思いました。
息子にはもうとうに寝る前の読み聞かせはしていません。でもその日は寝る前になって、息子が『おーい、ぽぽんた』を読んで欲しがりました。それからというもの毎晩、2~3編読んで聞かせています。「ふーん、なるほどね」と言ってみたり、「けっこう面白い」と笑っていたり。「意味が分からない。でも詩って、そういうものもあるよね」と妙に納得している時も。本人なりに感じることがあるようです。大岡信さんの、とてもわかりやすい俳句・短歌解説本も付いています。柚木沙弥郎さんのイラストも味わい深い。
俳句は、例えばこういう本なら、うんと小さい子どもでも楽しめます。『どうぶつ はいくあそび』(きしだえりこ:さく、かたやまけん:絵/のら書房)
きりん、ねずみ、くま、ぺんぎん、様々な生き物がそれぞれの言葉で思い思いの俳句を詠みます。その一句一句に、かわうその先生が感想を寄せます。時々どうぶつ「訛り」が強いのもあります。例えば、へびの「にょろにれろ しゅるり しゅーれろ にゅれろれにゃ」。でも問題ありません。ちゃーんと訳も付いて、愉快ですよ。
まずは松尾芭蕉でも、と思った時に『芭蕉さん』(丸山誠司:絵、長谷川櫂:選句解説/講談社)
馴染みのある句を始め、全21句が集められた絵本。ダイナミックな絵の上に名句が載せてあり、肌で感じるように親しめる作りになっていると思います。解説もとてもわかりやすくて、大人もおさらいができそうです。季語の説明も付いているので、俳句作りにも役に立ちそう。 (Anne)