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短い休暇と、真夏の昼寝
2020.08.15 by Anne Anne

連載:絵本とボクと、ときどきパパ 短い休暇と、真夏の昼寝

梅雨は長く、夏休みは短い。

そういうわけで、年々増す異常気象に加えて、今年はさらに四季感にズレを感じています。

この夏家族で過ごす筈だったノルマンディーの遠浅の海

夏休みの期間も学校によって様々で、1ヶ月のところもあれば、2週間のところもありますし、数日という学校もあるようですね。

東京23区の中には、道路を挟んだ向こう側の区の学校に通う妹は1ヶ月の休みで、こちら側の区にある小学校に通うお兄ちゃんは2週間。そんな風に、同じ家庭内でも休みのスケジュールが合わないケースもあるようで、実際GOTOトラベルどころではない、という友人のつぶやきもありました。

お休みが揃った家庭でも、「密」を避けた旅行を練るのが面倒で、家に居ることにしたとか、高齢者のいる実家への帰省は諦めたとか、出かけるにしても山籠もりや人気のない海辺に少しだけという話ばかりです。いづれにしても自由に四方八方動き回るような、いつもの忙しい夏休みとはだいぶ違うようです。物足りないかもしれませんが、家でのんびりと時間の経過すら忘れるような、そんな夏休みもいいのではないかと、私は思います。

とはいえ、時間に追われることがないと、ついゴロゴロしてしまうのが子どもです。大人だってそうですもの。いつの間にか午後は昼寝をして過ごす、なんてこともありえそうです。友人たちの子どもも思春期に入り、最近は週末のたびに昼まで寝てるとか、学校から帰れば昼寝をするようになったとか、そういう話を耳にするようになりました。8月は寝正月ならぬ「寝夏休み」となりそうだと苦笑するママも。どうやら眠くなる年頃のようです。

思い返せば、私の10代の夏休みはそんなものでした。その頃はフランスで暮らしていたので、ことに昼寝が文化の地中海沿岸などで過ごすと、昼食の後は横になるのが当たり前。心置き無く寝れるので、気がついたら日が傾いていたなんてことはザラにありました。後になんて勿体ない過ごし方をしたんだろうと後悔しましたが、このごろは、いや、案外そうではなかったのかもしれないと思うようになりました。

というのも、こんなお話を伺ったからです。

とある中・高一貫校の校長先生のお話です。保護者の方から、こんな相談をよく受けますとのこと。何かと思えば、子どもが、寝てばかりいて、全く勉強してくれない。勉強どころか、本も読まないし、手伝いもしない。「先生、どうしたらいいんでしょうか」と。確かによく聞く話だと頷いていると「そのように悩まれている保護者の方は多いのですが、まったく問題ありません。そっとしておけばいいんです」と先生はおっしゃいます。

「蝶だって、ああいう風に飛べる羽ができるのは、長い長い蛹の期間があるからこそです。一見じっとして何もしていないようでいても、中ではいろいろなことが起きている。お子さんも、一見寝てばかりで何もしていないようでいても、休んでいる間に、脳はいろいろと働いているんですよ。そういう時間も大事です。きっとお子さんは、時期が来たら起きてきて、活動し始めますよ。自分で蛹の殻を破って這い出してくる蝶のように。その時には、本当に自分がやるべきことを見つけているでしょう」

なんだかとても納得して、私のあの夏の昼寝も、具体的に何につながったのかわかりませんが、少なくとも心身のバランスには必要な時間だったのだろうと理解するようになったわけです。

息子も、もう11歳。時々、昼間なのに眠いという時は、そっとしています。

そんな息子が、小さかった頃、なぜかとても好きだった昔話があります。

沖縄の昔話で、『ねむりむしじらあ』(川平朝申:再話、儀間比呂志:版画/福音館書店)というものです。

「じらぁ」という名の若者は、両親が年老いているというのに手伝いもせず、いつも寝てばかりいます。ところがある日突然起き上がって、白鷺を買って欲しいと頼みます。貧しい暮らしだけれどかわいい息子のためと、かき集めたお金で両親は白鷺を買ってやります。そこで「じらぁ」がやったこととは。。。その突飛な行動から、じらぁの人生の歯車が回り出します。思う存分寝た後は、ちゃんと必要なアクションを起こすものなのかもしれません。そんな教えが詰まっているように思いました。4歳から。

『ねたふり』(小泉るみ子:作・絵/ポプラ社)

夏野菜の収穫に大忙しの農家で過ごす夏休み。遠い学校に通わなくて済むし、朝寝坊もできる。やったぁ! と思いきや、お手伝いに駆り出される羽目に。気が遠くなるほどの野菜に囲まれ「わたし」はサボりたくなってしまいます。そのうちになんだか眠気が襲ってきて。。。読んでるうちにものすごく主人公に共感してしまいます。いつでもテキパキ動けなくても良い。ゆったりと過ごす時があって良い。夏らしさを存分に感じながら、親子でリラックスできそうな作品です。3歳から。

『八月のひかり』(中島信子:著/汐文社)

日本の貧困家庭を、食事という観点から切り取った物語。お母さんが帰ってくるまで、クーラーも付けられず、暑い部屋でじっと待っていなければならない夏休み。お腹が空いてたまらないけれど、今日の昼ご飯は、少しのキャベツと人参、そして1玉の麺で作る焼きそばだけ。弟に分けてあげると自分の分はごくわずかです。そんな健気な女の子の心のうちを、重たすぎず爽やかさが漂うタッチで描いているところも素晴らしいと思った作品です。暑さと空腹の中で、うとうとするこの少女の昼寝は、どんなものなのでしょう。想像してみて欲しい。短くて読みやすいので、ぜひ多くの小学生に。(Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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