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戦後75年、いま伝えたいことは
2020.08.25 by Anne Anne

連載:絵本とボクと、ときどきパパ 戦後75年、いま伝えたいことは

「昨日だっけ?  長崎に原爆が落ちた日って」8月10日の朝、息子が聞いてきました。

6日が広島なのは私も覚えていましたが、長崎の方が9日だったというのは、改めて質問されると断言できずにいて、なんとも情けなくなりました。さっと携帯で調べて「そうよ、9日。覚えておくように」と念をおしました。

迷ったくせに偉そうに、と内心わが身を批判してみましたが、忘れちゃいけない日だと伝えることの方が重要だと、細かいことは気にしないことにしました。

さらに情けないことに、私は沖縄の「慰霊の日」というのを最近になって知りました。6月26日は、沖縄戦が終結したと言われる日で、沖縄の人々にとっての終戦日なのです。「鉄の暴風」と名前がつくほどの、大量の砲弾が撃ち込まれた激しい地上戦は、民間人を巻き添えにし、実に4分の1の住民の命が失われたといいます。

なのに、長い間私はこの日を知らなかった。そもそも関東エリアでは、意外と広島や長崎の原爆投下日と比較すると、子どもの学校等でも話題のなることがあまりないように感じます。従って自ずと認知度は低くなる。私の言い訳に過ぎないかもしれませんが、大切なことを知らないでいた、というのはよくあることです。

でも、さすがに世代の差を感じたのは最近のこんな記事です。

ある先生が高校生たちに「日本とアメリカが戦った戦争をなんと呼ぶか?」という問いかけをしてみたら、答えられる人が少なかったというものです。

今年は戦後75年。この年月は戦争の記憶がうっかりすると風化されそうなほど長いものなのでしょうか。これでは「慰霊の日」どころか「6日」も「9日」も、どんどん忘れられてしまう。そんな不安がよぎります。

第一、他人ごとではありません。ウチの息子だって、その質問に答えられるものか、怪しくなりました。もう11歳です。「太平洋戦争」という名称ぐらいは知っていて欲しい。

あとで質問してみることにします。もし答えられなければ、その時に知ればいい。知らないままにしておくのが一番良くないですものね。戦争というものがどんなに無意味で悲しいものなのか。やっぱりそれは繰り返し伝えていかなくては、と強く思います。

絵本からもたくさん学べます。例えば…。

『へいわってすてきだね』(安里有生:詩、長谷川義史:画/ブロンズ新社)

これは、与那国島に住む6歳の少年の詩を絵本にしたものです。平和ってなんだろう?純粋に考え、素直にこたえてゆく。のどかな景色、家族、友人、優しい心。少年らしい表現された言葉の一つ一つが、私たちの心にストレートに届き、当たり前の日々の尊さを教えてくれるような作品です。

長谷川義史さんの絵ともよく溶け合って、平和について考える小学生にはもちろん、愛らしい生き物も登場するので4~5歳ぐらいでも。すぐに深く理解できなくてもいいと思います。

『へいわとせんそう』(たにかわしゅんたろう:ぶん、Noritake:え/ブロンズ新社)

Noritakeさんのシンプルな絵に、谷川俊太郎さんの淡々とした問いかけを合わせた作品。「へいわのぼく、せんそうのぼく」「へいわのうみ、せんそうのうみ」というように、同じテーマで左ページに平和、右ページには戦争の状態を載せて、比較できるようになっている作りです。

もちろん違いは一目瞭然。小さい子にもとてもわかりやすい。では、敵と味方の違いは? 年齢を重ねればさらに心に強く響く筈。とっておきの作品です。

『月と珊瑚』(上條さなえ:著/講談社)

勉強ができないけれど民謡が得意な主人公の珊瑚、かっこいい「オスカル」のような転入生の月、気さくな友人のくるみ、そして東京から来た優等生の詩音。四人の少女の日常を軸に、沖縄の「今」が爽やかな言葉で語られている物語。同じ年頃なら共感するでだろう部分がふんだんにありながら、同時に他県にはない複雑な歴史の重みにも気づかさせられます。

詩音も知らなかった「慰霊の日」のこと、沖縄戦のこと、基地の問題、貧困生活、文化、高学年の学習や性別のことなど。様々なことがらが織りなす物語中で、子どもたちは少しずつ成長してゆきます。ひらがなだらけの出だしから、「え、どういうこと?」と常に問いかけながら読み進めていけるところも面白い。今年の高学年推薦図書。 (Anne)

Anne

Anneモデル・絵本ソムリエ

1971年東京生まれ。14歳で渡仏、パリ第8大学映画科卒。 国内外のショーやファッション誌を多数経験。映画、エッセイ、旅、ワインなどのコラム等の執筆も手がける。 出産を期に子供の発育と絵本の読み聞かせに関心を持ち、地域での読み聞かせボランティアとしても活動中。 6歳までに息子に読んで聞かせた本は793冊1202話。 現在所持する絵本も約1000冊という無類の絵本好き。

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