連載:絵本とボクと、ときどきパパ 子育ての難関、トイレトレーニング
先日、昔の写真を整理していたら、クリスマスの写真を見つけました。たくさんのプレゼントを広げた息子の満足そうな顔。背後には、ツリー。それと、おまる。
え! リビングにおまる? ああ、そういえば、そうでした。
「おしっこ~!」って言ってから、当時の家の階段を上って2階のトイレに向かわせるのでは、とても間に合わないので、リビングにおまるを常置していたのでした。すっかり忘れていましたが、我が家にもトイレトレーニング時代があったわけです。完全なオムツ卒業まで、3段階あったことを思い出しました。
最初はお昼のオムツ卒業。これは割合とスムーズでした。というのも息子がお世話になった保育園では、小さいうちから、お昼寝の時以外はパンツで過ごしていたので、そのおかげかと思っています。おしっこはトイレで。先生方の見守りの中、失敗を繰り返しながら、だんだんと上手になってゆく。家でも園のように、すぐにかけこめるよう、おまるをトイレではなくリビングに置いていたのでした。
そんな時期を経て、いつの間にか、園以外でも昼間はパンツで過ごせるようになり、徐々に卒業してゆきました。2歳ごろには外れていたような気がします。
だからといって、紙オムツが必要なくなったわけではありません。ビックサイズもしっかり買い続けました。完全な卒業までには、あと2段階。夜の卒業に加えて、大きい方という難関があったわけです。
実は、夜のオムツの方も時期が来たら、すーっと外れたのを覚えています。成長して、ある程度膀胱が大きくなると、自然と夜中はしなくなると、先生からお話を伺ったお陰か、あまり焦ることもありませんでした。
ある朝、息子が目覚めた時にオムツを確認すると、濡れていない時がありました。それから少しして、朝、乾いたオムツを捨てるという日々が10日ほど続きました。そうなって初めて、失敗してもいいからと、思い切ってパンツで寝かせてみたのでした。結果、成功。その後、記憶に残るような失敗は、そんなになかったと思います。
さて。苦労したのは最終段階の大きい方です。
これは誰に言わせても「難しい」と言いますね。便意をもよおすと、わざわざオムツに履き替えて用を足す。そんな話も一件や二件ではありません。我が家もなかなかうまくいかず、悩んでいました。でも、親の気持ちが先走ると良くないとも聞きました。なので、おおらかに構える振りだけでもして、何気なく「トイレでうんち」を成功させる「技」と言われるものを、あれこれトライしたものでした。
そんな中、『るんたのといれ』(のぶみ:さく・え/主婦の友社)がとても効果的だという書き込みを目にしました。お猿の「るんた」が一人でトイレを頑張る、和紙のコラージュが個性的な絵本です。なるほど。これを読んで聞かせてからは、嫌がらず大きい方も一応は便座に腰掛けるまでに至りました。
ちなみに友人宅では、この絵本が顕著に効果を発揮したそうで、小学生になっても時々トイレに持ち込む程のお供グッズになったのだとか。残念ながら、今では図書館でもなかなか手に入らないので、再版してほしいものです。
我が家では、成功に至ったのは最終的にトレーニングシートにシールを貼っていく方法でした。そして、シールが用紙の半分ほど埋めた、とある朝。「ポットーン!」。良い音が聞こえ、息子は安心した笑顔。私の方は感動で目に涙。そのシーンは忘れられません。
トイレトレーニングというのは、国によっても方針が随分と違うようですね。妹一家の住むオランダでは、トレーニングなどはさせないで、子どもが自然とオムツを外したくなる、トイレに行きたがるようになるのを待つのだそうです。それで4歳ぐらいには、どの子もパンツになるのだとか。フランスは幼稚園に入るまでに、外れていないといけないそうです。なので、3歳ぐらいまでに子供によっては厳しくトレーニングさせられるのだそう。
何が良いのか、正しいのか、わかりませんが、健康であれば大人になってもオムツ、という人はいませんよね。今となってはトレーニングに躍起とならなくても大丈夫だったような気がしてます。
排泄は私たち生き物にとって自然なこと。この認識は子どもに持っていてもらいたいものですね。
まずちびっ子向けに。『といれ』(新井洋行:作・絵/偕成社)
トイレの使い方のお手本。シンプルな絵でわかりやすく描かれていると、子どもも、トイレでどう行動すれば良いのかイメージしやすくなるのでしょうね。これを読んですぐに成功するというより、トイレに親しみを感じるための絵本、という感じ。絵が可愛いので、気に入る子どもも多いようですね。厚紙で、サイズが小さいので、お出かけの時に持ち歩くと、子どもの安心グッズにもなりそうです。
『ちきゅうがうんちだらけにならないわけ』(松岡たつひで:さく/福音館書店)
生き物はみんなうんちをするけれど、そのまま置きっ放し。なのに、どうしてちきゅうはうんちだらけにならないのだろう。その問いかけに応えるべく、生き物それぞれの排泄物を細かく描き、解説してゆく図鑑のような科学絵本。大きいうんちから、黒い点のようなものまで様々。それが、雨が降って、土と混ざり、植物の栄養になったり、海の生き物の餌になったりする。排泄物は単に汚いものではなく、地球の循環に役立っている様子が、よく分かります。松岡さんの絵は写実的で繊細でありながら、どこか可愛らしさがあるのも魅力的です。
目下大人気中の『ざんねんないきもの事典』シリーズ
我が家も、最新刊が出るたびに購入しています。新刊は『さらにざんねんないきもの事典』(今泉忠明:監修/高橋書店)。毎度のことながら、実にたくさんの排泄ネタが盛り込まれています。おなら、うんち、おしっこ、おしり。小学生がゲラゲラ笑うワードが並びますが、生態の面白さと驚きは、年代を問わず笑顔を与えてくれます。こんな風にリラックスできれば、日々の「トイレ」もスムーズかな?