連載:オ イッチ ニー 0・1・2 歳向け まだうまく噛めない乳児の歯を、上手に育てる方法
じょうずに噛む子に育てるには?
子どもの歯が生える時期や順番には個人差がありますが、一般的には6カ月頃から生え始め、2歳半~3歳頃に20本の乳歯が揃います。
「この時期までは『しっかり噛まなきゃだめよ』と言ってもまだよくわからなくて丸飲みしたり、噛んでも飲み込めなくて吐き出したりすることもあるはず。子どもの口のなかのことをママがコントロールするのは非常に難しいことです。ママは適切な間食や楽しく食べられる雰囲気など環境のコントロールを。『コレ、食べたい!』という食べる意欲を持たせれば、噛みごたえのあるものでも噛みかたを調整して、ちゃんと飲み込むようになります。あせらないで、豊かな食体験のなかで噛む力を育てていきましょう」と話すのは、小児歯科医の坂部潤先生。
じょうずに噛めるようになるためのポイントをうかがいました。
1・歯の成長に合わせた食事を、楽しく!
「歯には役割があり、前歯は食べ物を噛み切り、犬歯はアゴの動きを誘導します。口の中に入ったものを粉砕して飲み込める大きさにするのは、奥歯の役目です。最後の奥歯(第二臼歯)が生えないとすりつぶしが必要な食事はできないので、歯の成長を確かめながら大人と同じ食事に移行するようにしましょう。ちなみに、『30回噛もうね』といっても軟らかいものはそんなに噛めません。一律に回数を決めるのではなく、いろんな食べ物や形状を経験させ、“食べたいからしっかり噛む”という方向に導いてあげましょう」
2・むし歯予防はしっかり
「自治体の1 歳半歯科健診ではむし歯はほぼゼロですが、3歳健診では急増しています。むし歯があるとうまく噛めません。歯が生えたら歯磨き習慣をつけて、口のなかに異物を入れることにも慣らしましょう。汚れがたまりやすく、掃除しにくい奥歯はむし歯になりやすいので特に念入りに。子どもはむし歯ができても痛くないこともあり、注意が必要です。目で見てわかるほどだと相当進行している場合も」。小児歯科医で定期的な健診と歯磨きの指導を受けておくと安心!
3・噛み合わせをチェック
上の前歯が下の歯の内側に入る、いわゆる受け口(反対咬合)で歯のすり合わせがうまくできず、上手に噛めない場合も。噛み合わせは本人の意思では改善できない問題なので気をつけてあげて。「0・1・2歳の歯は不安定で受け口のように見えても自然に治ることもありますが、3 歳を過ぎても気になるときは相談を。早めの治療が有効な場合も」
日本小児歯科学会認定専門医。大学病院の専門治療や米国留学経験を経て「KID’s DENTAL」代表(目黒、麻布、成城に小児歯科・小児矯正歯科医院)。3・11・13歳の3 児の父。
(Hanakoママ40号より)