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娘に恋人が出来たら、お父さんは?

連載:ボビーのよかよか子育て日記 娘に恋人が出来たら、お父さんは?

日本が大好きで福岡に移住して14年。TVリポーター、料理家として活躍する、ボビー・ジュードさんの子育て日記です。子どもを通じて感じる、日米の子育て比較論、のびのびとした福岡での暮らし、英語と日本語、どちらで育てるか? など、ボビーさんが感じたいろいろな話題を展開します。ぜひお楽しみに!


日本で子育て中のアメリカ人としていつも執筆させていただいてますが、今回は国籍関係なく、娘のいるお父さんとして、とても気になることについてお話ししたいと思います。

しばらく前にアメリカでは #girldad というハッシュタッグが流行っていた事、ご存知でしたか?

#metooや近年の女性人権運動、アンチセクハラ運動などがきっかけで、子供の育て方、教育の仕方を見直し始めた人が多いと思います。現在、西洋では女性差別やセクハラをしない息子を育てる必要がある、そして女性差別やセクハラの事を我慢したり許したりしない娘を育てたいという考えが広まっているのです。

その中で #girldadというのは、女性の人権についてしっかりと考えた上で、男女平等の社会になるように育児をする女の子のお父さんの事を表しています。

そこで自分も、我が娘にとってどういうお父さんでありたいのか、何を教えたいのかを考えたところ、ずっと気になっていた、とある発言を思い出しました。

可愛がっている娘がいるお父さんは、周りに「娘が大きくなって、恋人ができたり、結婚したりするとヤキモチやくでしょう」とよく言われますよね。 

自分はこういう発言に対して、ものすごく違和感を覚えます。色々と深く考えてみた結果気づいたのですが、娘の恋愛に対して、父親の「嫉妬」というのは極めて不適切な事だと思います。しかも、そういう発言やそういう感覚自体、男尊女卑に基づいた感覚だと思います。『いや、大げさでしょう』と思った方、是非、最後まで読んで下さい。

まず、「我が娘が結婚したら寂しい」「娘の愛情が違う男に奪われて嫌」という気持ちは、決して、日本特有の気持ちではないです。西洋でも似たような発言をよく耳にします。自分が思うには、日本における表現の仕方は程度を超えていますが*、その感覚自体は、世界共通かもしれません。

*ここで程度を超えているというのは、パパに密着する娘の事を「パパの小さな恋人」と呼んだり、「娘と結婚したい」などと冗談で言うパパもいることを指しています。また、パパをいじるために、パパの友人が「大きくなったら、嫁にもらおうか?」というような冗談を言う場合も指しています。

こういう発言をするお父さんたちは深い愛情を表しているつもりで、性的な目で娘を見ているわけではない事、存じあげています。

ただ、娘が違う男に奪われて、それがパパという男にとって寂しいという考え方に、娘の一人間としての存在はどこにも感じないことが問題点です。「娘」という存在が、パパにとって価値がある。「嫁」という存在は旦那にとって価値がある。

「娘」から「嫁」になる事により、パパにとっての価値が台無しとなり、違う男が得するだけという考え方になります。「娘」でも、「嫁」でも、どっちみち男の所有物扱いな訳です。

それに加えて、どこか娘の性行為に対するヤキモチを感じます。
娘に恋人ができたり、娘が結婚したり、つまり性行為をすることを嫌がっているように聞こえますね。

自分は元々文学を勉強していたので、表現の仕方や言葉選びには深い意味と効果があると思っています。「小さな恋人」「嫁に貰う」「男に奪われる」などの発言をする方々は、性行為などを考えながら発言しているわけではないと思いますが、使っている言葉自体は性行為に結びついている言葉です。

なので、もちろんお父さんは性的な目で娘を見ていないはずですが、そこで娘が女性として自分の意志で誰かと交流をするようになったら嫌というのは。。。具体的に何が嫌なんですかね?

「自分の娘がそんな事するなんて嫌です」と思っている人に問いかけたいです。

自分(男)の娘(女)がそんな事するって、どんなことですか?汚い事とか?いやらしい事とか?

SEXは人間誰もがする事ですし、むしろお父さんご自身が楽しくなさってきた事と思いますが、娘がすることに対して、どこかマイナスイメージになるのはなぜでしょう?

自分(男)がやって平気なことなのに、娘(女)がしてしまったら「嫌」というのは、不公平だと思います。ここで、例えばお父さんの息子が年頃になった時の気持ちと比べて見れば、男としてモテる息子のことをこっそり誇らしく思う父親は少なくないと思います。そう考えると、この考え方は男女平等ではない事が分かるかと思います。

SEXに関しては自分の娘のそういった面を見たくない、考えたくないというのはもちろんで、見るものでも、考えるものでも、関わるものでもないと思います。ただそれを嫌に思うとか、嫉妬するとかは、不公平で不適切ではないかと私は思います。

私の娘達の場合は、大きくなって彼氏ができた時は心配すると思います。痛い目に遭わないでほしいとか、ハートブレイクにならないでほしいとかの不安はあります。彼女や嫁は自分の所有物だ、と無意識にでも思い込んでる男性と付き合わないでほしいです。

ちゃんと人として尊重してくれる相手ができたとしても、お父さんとして寂しくなるとは思います。ただ、その寂しさとは、赤ちゃん靴が履けなくなった時と同じ寂しさです。幼稚園に初めて行った日と同じ寂しさです。成長して、小さな頃に二度と戻れないものの哀れです。

しかし、それらの感情にヤキモチや嫉妬は少しも感じません。世の中のお父さんは、おそらく私と同じ想いだと思います。ただそれを表すために、『ヤキモチ』という言葉を使うことや、娘に恋人ができることが悪いことに思えるような表現を使う事は、その大切な親の想いが違うように伝わる恐れがある。

何よりも、娘達に、自分の良きタイミングで、一人間として充実した人生を送ってほしいです。充実した人生には恋愛があり、性行為があり、そして喜びは家族と分かち合えるべきです。

長くなりましたが、少しでも考えるきっかけになったなら、嬉しいです。

ボビー・ジュード

ボビー・ジュードタレント・料理家

1983年アメリカ生まれ。22歳で来日。日本語や日本文化、和食にハマり、福岡や佐賀を中心にレポーターやラジオDJ、モデル、役者として活動。特技の料理も生かして「ボビー’Sキッチン」のコーナーをサガテレビにて放送中。instagram.com/bobbyjudo

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