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第31回 幼稚園のクリスマスイベントに物申す!

連載:駐在員の妻は見た!中国の教育事情 第31回 幼稚園のクリスマスイベントに物申す!

2018年より中国・広州に滞在中の5歳児ママです。独身時代は上海で暮らしたことがありますが、現地で子育てしてみると驚きと発見の連続。(新型コロナウィルスによる退避のため、一時帰国中)


英語メインの幼稚園に転入した娘。授業は英語、日本人の友達もいるけれど、同級生は7割が中国人。最初の年のクリスマスイベントでは、子ども達のステージに人々が殺到し、ほとんど見えないという事態になりました。

国民性だとしても、おかしいことはおかしいと、言いたい

転入1年目のクリスマスイベントでは、ステージに殺到する一部の中国人保護者達に圧倒され、子どもの晴れ姿を見ることができなかった私です。いやほとんどの保護者達が、邪魔されて悔しい思いをしました。

中国人は、列に並ばないし、撮影してはいけない公演でも平気で撮影するし、人を押しのけて前に出る人達だからと、あきらめる? そして、やはり一緒にはやっていけないからと距離を置く?

おかしいでしょう。

子ども達には、友達とシェアし、譲り合い、仲良くしようと教えているのに、親があんな姿を見せるなんて。国民性だからと言われても、ここは中国人以外も通う幼稚園であり、中国人の保護者の中でも「マナーを守らない姿は恥ずかしい」と考える人達はいます。

なんとかしましょう。

学校に改善を要求

2年目のクリスマスイベントを前にして、昨年の苦い経験から、私は学校に申し入れを行いました。

「毎年、一部の保護者がステージに殺到するため、多くの保護者がステージを観られず、悔しい思いをしています。子ども達には、人を押さない、並ぼう、ルールやマナーを守り仲良くしよう、と教えているのに、親が争う姿を見せるのは恥ずかしいことではありませんか。ここは多国籍の幼稚園でもあり、いろんな国の人達がいるので配慮をお願いします。学校側が、運営体制を工夫するよう求めます」

早速、学校から返事が届きました。

「ご指摘ありがとう。確かにその通りです。英語で教育を行う、国際的な幼稚園なのに、イベントで混乱が起きるのは恥ずかしいですし、子ども達の教育上、よくありません。対策をします」

やれやれ、これってモンスターペアレント? クレーマー? などと悩みながらも、やりとりを終えました。数日後、学校側から全クラスに連絡が入りました。

「今年は、各クラス2名までカメラマンの配置を認めます。それ以外の保護者は、席を立ってはいけません。ご自分の席を離れずに撮影してください。カメラマンは、自分の子どもだけではなく、クラス全員の写真を撮るよう責任があります」

んんん? カメラマンって誰? 雇うの? 親がやるの? どうやら、クラスから保護者2名を選出して、カメラマンにする、という計画らしいです。

結局、私がカメラマンに

カメラマンは、自分の子どもだけでなくクラス全員を撮るべし、という指示に、「責任重大」「面倒」と、どのクラスもなかなか、カメラマンのなり手が出ません。私なぞ「皆、お金あるのだから、いっそ外部のプロを雇えば?」と、クラスのチャットで提案したぐらいです。

そんなある日、クリスマス前の授業参観(親も一緒に工作)に行くと、「さとこ、カメラマンやってよ~。このままだと、誰も写真撮る人いないよ」と、クラス担任に頼みこまれました。あ、私が学校に申し入れしたこと、ばれてる?

担任と副担任は「私達も、スマホで合間に撮影するから、うまく撮れなくても気にしないでいいから」とさらに続けます。先に言うと、後日、担任達から写真は一枚も送られてきませんでした。そう、だいたいこんな感じです(苦笑)。本当に重要なことは自分でやらないといけません。

幸いにも、取材用にミラーレス一眼カメラを広州に持ちこんでいるので、撮れないことはないです。でも、歌い踊る子ども達15人全員を撮り切れるのか……。子どもを撮るのは本当に高度な技術が必要です。仕方なく引き受けましたが、望遠レンズもなく、自信がありません。結局、カメラマンゼロのクラスも多かったようです。

重圧を感じ、娘の衣装のことまでは気がまわらない

イベントが近づくにつれ、心配事が増えます。よく考えると、他の保護者達が着席しているのに、カメラマンだからとうろうろすると、事情を知らない人に文句を言われかねません。忙しい時に中国語で言い返したくない……ということで、学校側に「カメラマン用の目立つ腕章を作って配布してください」と求めました。

学年としての衣装は「天使」イメージ。白か黒か金色のスカートに、白い上着を着るようにと連絡がありました。担任によると、娘は全学年合同劇においてチームでMC(ナレーター)を務めるとのことですが、秘密にしたいらしく、本人は何も言ってくれせん。

せっかくの晴れ舞台なので、それなりの服を買ってあげればよかったと、当日気づきましたが、娘は手持ちの服の組み合わせで舞台に臨みました。ちゃんとしたドレスの子達も多かったのに。

「がんばるけど、皆を撮れなかったらごめんね!」とクラスの保護者達や担任と打ち合わせが続き、撮影の重圧で頭がいっぱいになり、衣装どころではなかったのです。

そして、「ママは、みんなのママとして写真を撮るから、あなただけを撮るわけにはいかないの。これは、お仕事だから」と娘に言い聞かせました。

学年全体の演目。天使の衣装で、雪が降る様子を元気に歌う。

娘が、いきなりアカペラソロを歌い出した

今まで、平日行事のためには一度も休んだことがない夫も、午後休暇をとり、動画撮影を担当。ちなみに、日本人パパはなかなか行事に参加しませんが、外国人や中国人パパは普段からよく行事に参加します。

娘は、音楽の先生による放課後歌のクラスに参加しており、そちらでも歌う予定です。結果的に、自分の子どもを撮りたいがためにカメラマンに立候補したママ、って感じになってしまい、なんだか恥ずかしいです。

イベントは、英語と中国語で進行。子ども達のパフォーマンスの始まりは、歌のクラスから。

娘が出てきました。

「Love is something if you give it away,

Give it away, give it away〜

Love is something if you give it away,

You end up having more〜」

(愛は与えれば与えるほど、たくさん増えてあなたに戻ってくるもの)

あ、アカペラ、しかも独りで歌っている……!

一言も教えてくれなかったので、不意打ちです。振り向いて、夫が動画を撮影しているか確かめましたが、同じく驚いており、途中から撮影開始。そのうえ、涙ぐんでいます。

泣いてもいいから、しっかり撮って!!!

歌の余韻に浸る間もなく、歌、劇、学年ごとの歌と、とにかくずっと撮影を続け、無事、クラス全員を撮り終えました。ひどい筋肉痛になりました。

この年は、学校側の工夫もあり、席を立つ保護者が少なく、大きな混乱は起きませんでした。それでも、祖父母達がステージ前に走り寄り、スタッフに注意されることは何度もありました。孫可愛さに、つい、って感じでしょう。

クラスの皆も写真を喜んでくれたので、責任は果たせたかなと思います。娘も、「ママは前に出てきて、カメラマンとしてがんばっていたよねー」と嬉しそうで、今でも思い出して褒めてくれます。

それにしても、娘よ、サプライズにも程がある、教えてくれたらもっとばっちり撮れたのに。と、母は翌年に向けて、闘志を燃やしております。

新しいドレスの子もいたけれど、普段着のパーカー、ずり落ちたハイソックスで独唱した娘(左から3番目)。母として反省しきり。
岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。5歳女児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。facebook.com/okamotosatokochina

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