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第33回 熱を出して寝込むまで、中国語を勉強してみた

連載:駐在員の妻は見た!中国の教育事情 第33回 熱を出して寝込むまで、中国語を勉強してみた

2018年より中国・広州に滞在中の5歳児ママです。独身時代は上海で暮らしたことがありますが、現地で子育てしてみると驚きと発見の連続。(現在、コロナによる退避のため、一時帰国中)


英語メインの幼稚園に転入した娘。授業は英語、日本人の友達もいるけど、同級生は7割が中国人。中国語もできたら、友達がたくさんできます。これは私にとっても同じこと。しかし、そう簡単にはいきません。今までに二度、中国語を学ぶ機会がありましたが、真面目に取り組まなかったので、今回は必死になり勉強しました。

家族と広州駐在開始、まったく中国語が出てこない

私は、以前、上海のビジネススクールに留学しました。しかし、英語での授業がほとんどでしたので、中国語は日常会話レベルです。

夫は大学のゼミの同期で、互いの中国留学時期が偶然重なった友人として、反日感情がとても強い時期に再会して、同志のように感じて結婚しました。その後、彼のほうは中国企業相手に新規事業を起こし、交渉を重ね、債権回収し、飲んでつぶされるという経験を重ねて、中国語が飛躍的にうまくなりました。

今回、広州に着いた時、夫にすべて通訳をお願いするほど、私の中国語力は落ちていました。しまいには「上海にいたのだから、それくらいわかるだろ」と言い捨てられ、ほんとに悔しかったです。

娘との中国の公園デビューで、緊張しまくり

外遊びが大好きな娘。中国の公園は、当然中国人だらけです。トラブルに巻き込まれたらどうしよう……。

娘と2人で公園デビューした日は、不安で緊張しまくりました。早速、滑り台の階段が渋滞し、前の子に顔を蹴られそうになりました。子どもって、距離をあけられないんですよね。「お兄ちゃん、後ろみてよ、小さい子がのぼってきているから蹴らないように気をつけて」と言いたいのですが……。

まずは、これを中国語訳することから、中国語の個人授業が始まりました。週3回2時間ずつ。子どもの安全や人間関係が私の努力に委ねられていると考えると、覚悟を決めて頑張るしかありません。

私を支えてくれた中国語の先生は、誠実かつ面白い人でした。彼女は熱狂的な嵐ファンなので、たまに「私は、V6より嵐が好きです」等、好みを前面に出した例文を入れてくるところが、笑えます。嵐のために大学で日本語専攻したとのことで、「好き」って最大のモチベーション、人生を変えるものだな、と感心しました。

そしてまた公園に行き、周りの人が話す言葉をひたすら聞いて、子どもへの声掛け中国語を学びました。しかし、広東語スピーカーが多いという事実に気づきました。

広東語は、標準中国語とまったく違う言語ですので、一語たりとも理解できません。逆に、広東人の話す標準中国語は、巻舌音が少なく、ききとりやすいのです。だんだん昔の勘を取り戻し、耳も慣れてきました。

中国のローソンでの「鬼滅の刃」キャンペーン。好きな分野で語学を学ぶのは楽しいです。
アニメ、ドラマ、カラオケが定番です。

何を言っているのか理解できず、農薬散布車に追いかけられて半泣きに

クラスメイトの中国人ママや担任と、中国語でメールのやりとりをするように心がけ、会った時も中国語で話せる部分を増やしていきました。出したメールは、中国語の授業で添削してもらいました。公園では、見知らぬママ達と少しだけ話せるようになりました。

それでも、誤解やわからないことに毎日遭遇しました。

ある日、公園で農薬散布のお知らせがアナウンスされたのですが、私には聞きとれませんでした。気づいた時にはそこまで農薬散布車が来ており、娘と逃げ回ることになりました。ものすごいスピードで来るので、娘は半泣き。どうりで、周りの中国人が「今日は帰ったほうがいい」と教えてくれたわけです。

あと、私はパクチーを悪魔の草と呼ぶくらい苦手にしており、外食する時は「パクチーを入れないでください」と言い続けています。イメージが違うかもしれませんが、中華にもパクチーはよく入っているんですよね。しかも混ぜ込んであることが多く、後から取り除けません。

「パクチーを入れないでください」も、最初に覚えたフレーズです。でも、パクチーの中国語「シャンツァイ」はレタスの中国語と発音がよく似ているため、「は?! レタスなんか入ってないよ」と言い返され、結局パクチーがこんもり……。

私:「だから、タイ料理によく使われていて、変なにおいがする緑の野菜だってば」

お店の人:「は?!」

私:「もしパクチーが入っていたら、お金払わないからね! 食べたら死ぬくらい苦手なの!」

お店の人:「何言ってるんだよ、うちは中華料理屋だぞ? タイ料理ではないぞ。」

という、ますますわけのわからない会話になることもしばしば。面倒くさがらず、漢字を書いて見せればいいのですが、こんなことの繰り返しです。

生まれて初めて! 試験勉強で追い込みすぎて、寝込んだ

学習開始後1年、試験直後に熱を出して寝込むくらい追い込んで、中国語検定のHSK5級(英検準1級くらいのレベル)をとりました。最高レベルのHSK6級を目指しはじめた時に、日本退避となってしまい、勉強は中止。語学は使わないとどんどん忘れます。体系的なビジネス文章を書く練習をして、願わくば中国語で取材ができれば、と考えていた矢先ですので悔しいです。

でも、何歳からでも好奇心があれば何でもできるはずなのだと、今回実感しました。自分の娘を、英語メインの幼稚園に入れてから感じたこと。それは、早期教育としての英語は記憶力次第なので、その場では結果が出やすい。でも、音声学、文法、大人が使う語彙を習得するプロセスで、必ず壁にぶちあたります。そんな時、大切なのは好奇心や相手を知りたい、という気持ちです。

子どもが、言葉を身につける過程で間違えても、誰も馬鹿にせず愛を持って見守りますよね。今後も、私はたくさん失敗をすると思いますが、「知りたい、伝えたい」という自分の気持ちを大切にして乗り越えていきたいです。

そして、HSK5級がとれたことも嬉しかったけれど「努力できる自分が、まだ健在」と分かったことが貴重でした。年を重ねるにつれ、つい惰性であきらめてしまうことが増えますから。

娘の安全と交友関係を広げるため、と始めた本気の中国語学習でしたが、語学そのものだけでなく、私に自信を取り戻させてくれました。

HSK5級の単語帳と、初めに使った会話のテキスト。試験はパソコン受験のみで戸惑いました。

(この記事は、2021年1月1日現在の情報を元にしています)

岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。幼稚園児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。oyakobousai@gmail.com facebook.com/okamotosatokochina

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