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第34回 感染再拡大?! 中国コロナ抑え込み対策の徹底ぶり

連載:駐在員の妻は見た!中国の教育事情 第34回 感染再拡大?! 中国コロナ抑え込み対策の徹底ぶり

2018年より中国・広州に滞在中の5歳児ママです。独身時代は上海で暮らしたことがありますが、現地で子育てしてみると驚きと発見の連続。(現在、コロナによる退避のため、一時帰国中)。2020年後半、中国国内のコロナ感染状況は比較的穏やかでしたが……。


―厳格隔離、移動歴管理、全員検査、封鎖、個人情報公表-

2020年9月の広州中心部

2020年後半、どうしても中国に戻りたい人達は戻ったが

2020年初め、多くの人々がコロナ退避のため、中国から日本に一時帰国しました。ほとんどの場合、夫たちは先に中国に戻り、残りの家族は日本で退避生活を送るか、単身赴任に切り替えています。私達も、母子だけで退避生活中です。

日本と中国のコロナの感染状況が落ち着いたということで、2020年9月からは便数を減らしてですが直行便が再開しました。ようやく、多くの人達が正常ルートで中国に戻れるようになりました。

とはいうものの、中国入国までの手続きは複雑かつ頻繁にルールが変わるので、渡航希望者は気が気ではないと思います。招聘状(インビテーションレター)は無事発行されるのか? 陰性証明の条件は? PCR検査は出発の何時間以内に受けるべきか?

SNS上には「JL〇〇便搭乗者のグループ」が毎便作られ、搭乗者同士で情報交換など協力する仕組みができました。これはボランティアの力によるものですが、今でも続いています。

しかし、実際は思わぬトラブルが起きています。成都に着くはずが、飛行機では3時間離れた深セン(南方の都市)に着いてしまい、そこで2週間隔離。成都に戻ってまた2週間隔離という人。広州に降りるはずの飛行機が別都市に降りてそこで隔離という例も聞いたので、どうやらこのような事態は頻繁に起きているようです。

中国到着後の施設隔離は、運次第

中国到着後は、機内から別ルートで入国審査を受け、PCR検査。そのままバスに乗って指定施設へ移動します。どの施設に滞在するかは選べません。高級な日航ホテルの人もいれば、食事や買い物宅配も頼めず、タオルや水も十分でない中級ホテルを割り当てられる人もいます。

「施設隔離は宝くじみたい」と振り返る人がいるほど、待遇は千差万別です。SNS上では隔離用準備品リストも作られ、隔離中は禁止のアルコールを持ち込むつわもの達も。

14歳以下の子ども連れの場合は、PCR検査結果が陽性なら数日後に自宅に戻り、自宅で隔離という話も聞きました。しかし、実際の扱いは各人ばらばらで統一された基準がありません。

中国での隔離は厳しく、自室から一歩も出られません。地区の担当者や施設の人に見張られ、ドアに鍵がつけられた家庭もあります。もはや監禁かもしれませんね……。

私もどうするか聞かれました。会社としては「隔離状況などがまだ不安定であり、リスクがあるので、基本的には渡航は勧めない。が、強く希望する場合は認める。幼児連れ隔離に不安があるならば無理はしないように」とのこと。閉所恐怖が強い私は、2週間の隔離、しかも幼児と2人でシングル用の部屋に入れられた日には精神を病むのではと心配になり、隔離基準が緩和されるまで渡航は延期としました。

幼児連れ隔離の体験談をきくと、

「子どもがイライラして走り回り、転んで顔を切り、救急車で運ばれた!」

「中国語ができないので、電話で外部に通訳を頼んでのりきった」

「子連れだったので、4、5日で自宅隔離になった」

「久しぶりに中国の携帯電話を使おうとしたら契約が自動打ち切りされており、誰とも連絡がつかなかった。めちゃくちゃつらかった」

……もし運が悪かったら、と考えるとどうしても無理してまで渡航する気になれませんでした。

私達と同様に、すでに子どもが日本の幼稚園に通っている人達はほとんどが渡航しませんでした。一方、コミュニティに属さない3歳未満の乳幼児がいる家庭、そしてこれ以上実家に居られないという方々は中国に戻ることが多かったです。中には、中国にいるご主人が「想定外の一人暮らしに耐えられない」とSOSコールを発したので、心配になり戻った例も。

実際、広州の日本人幼稚園児の数は激減しましたが、小学生以上は、受験のための帰国子女認定の期間を満たすために戻った方もいたようです。

中国では「徹底的な移動歴管理と全員検査、封鎖、感染者個人情報の公表」

中国の1日の新規感染者数は、8月~12月までは2桁で推移し、特に9~11月は10~30人程度でした。しかし、1月10日あたりから3桁で推移し、いくつかの地方都市が封鎖されています。そして、1月21日ついに北京で変異種が確認されました。

よく「中国でのコロナはどうなの?」と聞かれますが、2020年後半は「日本よりはしっかり抑え込んでいた」という印象です。政府による国内移動歴の把握に加え、頻繁なPCR検査、1人でも感染者が出るとその地区や施設を即時封鎖するという機動力によるものです。その地区全員のPCR検査を行い、数時間後に陽性が確認されるまでは、全員が行動制限下に置かれます。社長であろうと、政治家であろうと同じ扱いです。

そして、中国独特だと感じたのは、感染者の個人情報の公表です。14日間の行動履歴、氏名、顔写真、国籍、部屋番号に至るまでの住所が掲示されます。もはや指名手配に近い扱いですので、これは感染したくないですよね。私も、SNS上でその掲示を見ました。感染拡大防止につながるかもしれませんが、「コロナの前には、人権という概念はないのか?」と恐ろしくなりました。

年末までは、一般的には会食や出張制限はほとんどありませんでした。

現在は、地域別の感染リスク(高・中・低の3分類)により、隔離や検査の対応策は細かく分けられています。地域分類も細かく、変更も柔軟に行われています。

感染再拡大中の河北省石家荘は都市封鎖され、全市民1100万人のPCR検査、4000人超を収容できる濃厚接触者用の隔離施設建設が進んでいます。また、北京市の一部の区域で、7人感染者が出た時点で、160万人が住む同区域を都市封鎖しました。相変わらず徹底しています。

移動に伴う隔離期間は延びる方向

1年以上、海外から日本に戻れない人達は多いです。日本に戻るとしても、空港からレンタカーやハイヤーでの移動、そして2週間の自主隔離。いくら費用がかかるのか、どこで隔離生活を送るのか。

本帰国(赴任終了)組は、空港近くのホテルで2週間隔離生活を送る、地方から両親(多くは高齢者)が車で10数時間かけて迎えに来るという方法をとっています。

駐在員の一時帰国も、制度上は可能ではありますが、ほとんどの方が自重しました。中国の方が感染状況は落ち着いているといっても、周囲の目もありますし、そもそも、日本に一度入国すると2週間自主隔離、中国に戻って2週間隔離だと1か月は仕事になりません。

さらに、今年1月に入ってからは、中国に戻った時の隔離期間が3週間に延びるという悲劇が! 中国国内移動においても、地域によっては4週間の隔離が義務付けられました。7日間ごとのPCR検査も義務付けられています。

私達のコロナ退避も、1年が経過しました。これから、どうしたものでしょうか。

(この記事は、20201年1月21日時点の情報に基づいています)

岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。幼稚園児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。facebook.com/okamotosatokochina

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