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第35回「娘と仲良くしてほしい」―ある中国人ママの悩み―

連載:駐在員の妻は見た!中国の教育事情 第35回「娘と仲良くしてほしい」―ある中国人ママの悩み―

2018年より中国・広州に滞在中の5歳児ママです。独身時代は上海で暮らしたことがありますが、現地で子育てしてみると驚きと発見の連続。(現在、コロナによる退避のため、一時帰国中)英語メインの幼稚園に転入した娘。授業は英語、日本人生徒もいるけれど、同級生は7割が中国人。


「娘と仲良くしてほしい」とメッセージを受け取った

娘が、中国の幼稚園で年中に進級した時の出来事です。新学期に幼稚園を休みがちな子供がクラスに数人いるとききました。そのうちの一人、ある中国人クラスメイトのママからメッセージが届きました。

「娘のルーシーが、あなたの子どもと仲良くしたいと言っているの」

ん!?どういうこと?

娘に「ルーシーのママから、娘と仲良くしてね、って言われたけど、どうしてだろう?」と尋ねました。娘は、友達をいじめることはないのでトラブルとは思えないものの、親から直接こんなことを言われるとどきっとします。

娘は「ルーシーはね、アンナといつも一緒で仲良しだけどね、私のことも好きだと思う」とのこと。なんだ、じゃあ後はよろしくとばかりに、娘に任せました。

ちょうど年中くらいから、「仲の良い友達と手紙を交換」「グループに入る、入らない」というやや複雑な人間関係がうまれます。他のママにきいてみると、ルーシーママは同様のメッセージを他のママ達にも送っていました。

いつも2人で仲良くしていたルーシーとアンナ(2人とも中国人)は、最近よく喧嘩をするそう。そのたびにどちらかもしくは両方が「幼稚園に行きたくない!」と登園拒否するとのこと。困った親が考えだした方法が、他に仲の良い友達を作ることでした。

ママ会のお誘い

翌週、ルーシーママから「放課後に親同士の交流会を開きたい」という連絡をもらいました。その頃、日本語堪能な中国人ママ、通称ゆうこさんがクラスの幹事を務めていました。

「さとこさーん、クラス交流会を開いてって頼まれたのだけど、参加しない? 多分日本人は他には来ないけど」と、ゆうこさん。中国語だけで会話が続くのかしら? と参加を迷いましたが、どうしてもの時はゆうこさんに頼ろう、ということで行くことに決めました。

場所は、幼稚園から徒歩10分のショッピングモール内にある、大きな遊び場併設の子連れレストラン。娘は、とても楽しみにしています。

これ……、俗にいう「ママ会」ってやつでしょうか? 通常、中国ではママ友という概念がないため、親が交流するための会はあまり開かれないようです。

中国人の考え方では、「元から友人同士が子連れで会うことはあるけれど、子どものために親同士が仲良くする必要はない。親同士の人間関係が第一」なのです。

「日本のドラマでは、子どものために我慢して人付き合いしたり、親同士のトラブルがあったりと大変そう」と言われたこともあります。うーん、ステレオタイプ。でも世界から見た日本ってこうなのでしょうか?

でも、どういうかたちであれ、クラスメイト達と仲良くなる機会があるのは私も楽しみです。

虫について3か月勉強している最中の教室。年中クラスでは、学習内容も人間関係も、より複雑に。

子育てに悩むルーシーママ

交流会前日、ルーシーママから「明日は何時に幼稚園にお迎えに行くの? うちの車で一緒にお店まで行こうよ」とお誘いがありました。いやいや、お店まで10分だから歩いて行けます、大丈夫です。

しかし、当日は運転手付きの車が幼稚園前で待機。ゆうこさん親子ともども「是非こちらへ」と案内され、仕方なく乗り込みました。すぐにルーシー母子が「ようこそ!」と高級チョコレートでおもてなし。ルーシーは、車内でドレスに着替え完了。交流会をとても楽しみにしているのが伝わってきます。

実はルーシーママ、いくつも店舗を展開するファッションデザイナー。

「今まで、仕事中心だったから、子どものことはシッターに任せきりだったの。ルーシーが幼稚園に行かないって泣く日もあるから、これからは娘にもっと時間をかけようと思う。実は娘のドレス、私のデザインよ」と話してくれました。

うんうん、悩んでいたのね。実業家って大変よね。

「日本でも私のブランドを展開できないかしら? あなたは経営コンサルティングの会社にいたって、きいたけどサポートしてくれない? 青山、表参道は好きでよく行くのよ」

えーっと、とりあえず日本進出話は置いとこうか。ルーシーママは、けっこうくせのあるキャラではありますが、仲良くなれるかも、と思った矢先、実は新たな火種が……。

ルーシーママが、突然「今回は私が全部支払うわ」発言

それは、ママ会1週間前のこと。

ゆうこさんから「さとこさーん、困ったことが起きた。ルーシーママが、今回の費用は私が全部払うから、って言ってきた!」と相談を受けました。

あー、その論理は理解できます。中国では「自分が誘った食事の支払いは、自分がする。割り勘にはしない」という暗黙のルールがありますから。

でも、それじゃあ「ルーシー親子を囲む会」になってしまいます。だいたい10組近い親子が参加する交流会の費用を、一人が全部出すなんておかしいのでは?

ゆうこさんは戸惑いを隠せません。「ルーシーママが、絶対支払うと言ってきかないの~。私は日本に留学して、日本人と結婚したので中国人の感覚を忘れてしまったのかもしれない。でも、他のママ達にどうやって説明すればいい? 中国のお金持ちの考えることは私には理解できない! どうしよう~」

こんなモヤモヤを抱えたまま、当日をむかえることとなりました。

(次回に続きます)

岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。幼稚園児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。oyakobousai@gmail.com facebook.com/okamotosatokochina

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