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第38回 駐妻とは ②現地生活

連載:駐在員の妻は見た!中国の教育事情 第38回 駐妻とは ②現地生活

2018年より中国・広州に滞在中の5歳児ママです。独身時代は上海で暮らしたことがありますが、現地で子育てしてみると驚きと発見の連続。(現在、コロナによる退避のため、一時帰国中)


「駐妻」。皆様はどんな生活を思い浮かべますか? お手伝いさんと運転手にかしづかれ、ホテルで優雅にアフタヌーンティー?実際のところは?

今回は、現地生活の工夫やつきあいに触れます。(前回の記事もあわせてご覧ください)

駐妻は暇なのか?

安全上の問題か、税法上の問題かわかりませんが、駐在同行家族は基本的に就労を禁じられています。日本では働いていた人たちがほとんどですが、キャリアは一時中断。なかには、駐在と育休期間を重ねて渡航したつわものもいました。

子どもを学校へ送り出した後は、習い事や語学、友人とランチ。まぁまぁ優雅ですね。中国の場合、週2回の掃除(洗濯付きの家庭も)ルームサービスが入るので、それなりに自分の時間はあります。

異国にいてストレスがたまるし、今だけ、とばかりに、ランチや旅行の回数が増えます。手当などで駐在中はお金が貯まるという噂ですが、実はその分使ってしまう家庭もちらほら。中華以外の食事は日本以上に高額、これは盲点でした。

地区で一番人気のハンバーガー屋さん

日本人の奥さんは特殊?

企業や職種によっては、海外・国内出張が多い家庭もあります。うちもそうでした。出張で夫は不在、娘と二人きり。不安だし、何のために中国まで来たのかわかりません。夫は気を遣って、なるべく土日はゴルフに行かず、出張も日帰りにするなど努力してくれました。

一方、平日は夜遅くまで残業、週末はゴルフ、中国語教室、フットサルサークルで夫がほとんどいない、という家庭もありました。「家族」に対する考え方次第ですね。

夫がしたいようにする日本人家庭は、他国駐在員や中国人家庭からは理解しがたいようで、「日本人の奥さんは、なんでも自分でする。我慢する。献身的。私なら耐えられない、離婚する」と言われたことが何回もあります。

生活基盤を築くための工夫

「中国駐在なんて大変ねぇ」

日本を出るとき、いろんな人にこう言われ、そのたびに暗い気持ちになりました。慣れれば結構楽しく、日本ではできない体験にワクワクもするのですが、やはり言葉の壁もあり毎日疲れます。

生活の基盤を築くまでが、特にしんどかったです。子どもに合う医療機関を探し、住まいを整え、学校やマンションでの人間関係を広げる。

日本人向け宅配、ネットスーパーの使い方、キャッシュレス決済、お店でのやりとり……。初めは虫よけスプレーひとつ買うのも、苦労しました。安全で、肌荒れしない、偽物ではないものはどこで買えるの?

駐在経験の長い人達に聞きまくり、情報を集めました。家族帯同の駐在員が多い企業は、新しく赴任した家族の世話をする仕組みや、歓送迎会もしっかりしているそうです。うちの場合は、そもそも該当者が少ないので、手探り状態でした。

生活基盤が整うと、次は生活の彩りです。大人向けの中国語教室(第32回娘との公園デビューが中国を真面目に勉強するきっかけに  第33回熱を出して寝込むまで、中国語を目勉強してみた をご参照)や習い事を探しました。友達もできやすいし、家から出る用事をがんばって作りました。特に中国都市部では、コーラ一本から宅配を頼めるので、一日中家にいる生活ができてしまうので危険です。

私も、ヨガやダンスの自主開催教室に通いました。町中の中国人向けダンス教室も検討したのですが、細かい規約が分からず断念。駐在員家族向けにいろんなホテルのスタジオを借りて開催されている教室に決めました。

運動習慣はどんな場所でも、自分を取り戻せるものなので、私にとっては大切な時間でした。

おしゃれなスターバックス

日本食への郷愁

「中華だーいすき!」

と言ってはばからない私ですが、いざ中国で暮らすと懐かしくなるのは日本食。

麺類も大好きなのですが、中国のラーメンは柔らかく、スープの温度も低くて、一言でいうと美味しくないんです。ラーメン発祥の国だとワクワクしていたのに、これは悲しかったです。

日本人経営の人気ラーメン屋さん。広州では泡ラーメンが人気でした。

日本食の材料や調味料の入手に苦労することもありますが、上海や広州の場合、日本人向け店舗や宅配を利用すれば、それっぽいものはできます。

中国にはお弁当文化はありません。しかし、日本人学校はお弁当持参なので、母達は苦労します。冷凍お惣菜を扱う日本人向けの宅配は大人気です。

外で中華ばかりだと、家では和食が食べたくなります。薄切り肉、皮のない豚肉、小さめの鶏肉、魚全般、日本のきゅうり……、日本では当たり前のものがやはり手に入らないのです。干物が欲しくて、スーパーの魚で作ったこともありますが、そもそも魚の種類が違ってイマイチでした。

どうしても中国で手に入らない私の好物は、乾物、缶チューハイ、甘くないチーズ、チルドの納豆、マルちゃんのチルド焼きそば。一時帰国では、切り干し大根などをスーツケースにつめこみました。

本来、食べ物は持ち込み確認があります。特に和牛には厳しく、数万円分を空港で没収された人もいます。これも、中国到着ターミナルや時間により、厳格さに差があり、中国当局との知恵比べのようでした(2020年1月までの状況)。それでも皆、挑戦するんですよね。

とはいえ、中国には日本食レストランも食材屋さんもたくさんあります。これがヨーロッパや南米、インド、アフリカだと、他国まで買い出しに出かけるとききます。そして、20年前なら……、メールやSNSもない中、遠い国に子連れ駐在していた人たちはどんなに苦労されたかと思います。

人間関係を作る

都市によっては、駐妻カースト(夫の職業により上下関係が?)があるという噂もききましたが、広州はのーんびりしており、とても暮らしやすいです。皆、少なからず異国で苦労しているので、温かく助け合いました。

企業規模や福利厚生により、住宅補助や教育補助が異なるため、学校や住める物件が異なります。それを格差ととらえる人もいるかもしれませんが、広州では誰も気にしません。夫は夫。仕事は仕事。妻は妻で、会社とは別。

異国で子連れ駐在する人達は皆「仲間」だと、私は思っています。いつ本帰国になるのかお互い気にしながらも、悩みを相談したり、他愛もないことで盛り上がったり、と本当に楽しかったです。

多分、私、ちょっと異色なんです。中国語と英語をそこそこ話すので、そんなに不自由はないと思われがち。人によっては「いいかっこして」とよく思わない人もいるかもしれません。でも、広州の日本人ママ達には「個性や経験の違いだから」とそのまま受け入れてもらえました。

でも、広州に着いて1か月くらいは、まだあまり友達ができなくてちょっと悩みました。

私:「私にも、友達できるかな? 先に来た人同士の輪が既にできていて入りにくい……」

数少ない現地でできたママ友:

「できるできる! 私なんか、住んでるマンションのエントランスに座って、日本人(ママ)ナンパしまくったよ! 今では毎日、いろんな友達とランチよ。お金出ていきまくり! やばいでしょ(笑)」

「中国は、日本より気軽にWechat(SNS)の連絡先交換するから、がんがん聞けばいいんだよー」

いやはや、皆たくましくなるものですね!

住まいのロビーのフラワーアレンジメント。センスが良くて、毎週写真におさめた。広州は通称「花の都」。
岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。5歳女児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。facebook.com/okamotosatokochina

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