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第42回 コロナ再拡大? 複数回の全員PCR検査で感染者をあぶり出し、感染を抑え込もうとする政府(中国・広東省広州市より)

連載:駐在員の妻は見た!中国の教育事情 第42回 コロナ再拡大? 複数回の全員PCR検査で感染者をあぶり出し、感染を抑え込もうとする政府(中国・広東省広州市より)

「広州でもインド変異型コロナウィルスが広がっているみたい。大丈夫ですか」
広州に関わりの深い私達を心配するメールを受けとったのは、2021年5月末のことです。
中国はコロナ抑え込みに成功して経済回復済みですが、またもや!?


広州市各地で住民全員PCR検査、街の人出は激減

2021年5月21日、広東省広州市ライ湾区で75歳女性のインド変異型コロナ陽性が発見されました。そこから、該当地区住民の全員PCR検査、外出制限などが急ピッチで行われています。

この動きは次第に広州市全域に広がり、6月初めにはかつて私が住んでいた天河区でも住民全員検査の指示が出ました。中国の他都市ではこのような感染再拡大はほとんどみられず、広州だけで拡大しています。

全員検査により、広州市ではこの17日間で計100人強の新規感染者がみつかったそうです。とはいっても、日本の状況と比較するとだいぶ少ないイメージですが……。

さぞやピリピリした雰囲気だと想像しながら、天河区在住の現地友人にたずねると
「店内でも食べられるし、会社にはいつも通り出勤している。でも、大学や塾はオンラインに切り替えられた」とのこと。

2021年6月9日時点では、2020年3月のような厳格なロックダウンは広州市中心部(天河区)では行われていません。しかし、地域によっては在宅勤務や休校措置がとられているところもあります。
ついに天河区以外の地域では、店内飲食(イートイン)は禁止となりました。

一律の外出制限がなくても、街を歩く人の姿はがくんと減ったそうです。広州名物、飲食店前の大行列も見られなくなりました。

広東省のメディア作成の感染経路図。当局は詳細まで把握している。

健康コードによる行動管理の徹底、感染リスクを地域ごとに細分化

中国では、各人が「健康コード」を携帯・提示することが義務付けられています。スマホアプリなので、GPS追跡され、当局によって行動履歴が管理されます。

コロナ高リスク地域に立ち寄ると、健康コードは赤色に変わり「隔離を推奨」と表示されます。こうなると、スーパー、会社、店舗、公共交通機関など、健康コード提示を必要とする場所を利用できず、自由な外出はほぼ不可能になります。一種の通行証の機能を果たしているわけです。「隔離を推奨」赤色コードを解除するためには、PCR検査を受けて陰性証明を入手しなければなりません。

健康コード画面のサンプル。(出所:中国語版Wikipedia「健康码」の項)

また、高リスク、中リスク、低リスクは、「日本での〇〇町」レベルまで細分化されて設定、頻繁に見直し、発表が行われています。

陽性だと判明すると、2週間前にさかのぼり、立ち寄った店舗名と日時・年齢・居住地域などがすべて公表されます。2020年春のコロナ感染者は、氏名や勤務先、住所もすべて開示されていました。現在も、氏名までは出さない場合でも、個人を特定できる情報量が公開されます。

広州の人出が減ったのは、「コロナ自体が怖い」というよりは「行動履歴が公表され、個人が特定される」ことへの恐怖心によるものかもしれません。

2021年6月、週末の広州中心部は閑散としている。いつもは、渋谷のスクランブル交差点並みの人出(広州市天河区)。

陰性証明は48時間有効。何度もPCR検査を受ける住民達

通常は、「〇月〇日、近くの広場で大規模PCR検査を行うので、該当地区の住民は受けるように」という通知をSMSで受け取ります。

地区毎の感染リスクにより、全員検査実施の厳格さには差があります。検査を無視しても影響がない人もいれば、従わずに外出制限がかかるケースも。

高リスク・中リスク地域では、感染者をあぶりだすために1か月の間に何回も大規模PCR検査を行います。リスクの高い地域では、一人一人に電話がかかってきてPCR検査を受けるよう指示され、報告を義務付けられることもあるそうです。面倒なのは、このPCR検査の陰性証明期間が、48時間になったことです。以前は72時間有効でしたが、今回から厳しくなりました。陰性証明は、健康コードに反映されます。

省外、市外への移動には陰性証明が必須です。そのため、長距離移動をする人や、中・高リスク居住者は頻繁にPCR検査を受けなくてはなりません。

厳格すぎる面もありますが、先手必勝で感染を抑え込もうとする政府の姿勢が伝わってきます。

中国製ワクチンは「有効性が低いので、副反応も軽い」?

中国疾病対策予防センターのトップが「国産ワクチンの効果は高くない」と発言し、世界を驚かせたのは2021年4月のことです。各製造元は、ワクチン有効率を50~79%としています(注1)。そのためか、中国在留日本人向けには、こんなメールが届きました。

「中国でのワクチン接種に不安を感じ、日本に帰国してワクチン接種を希望する人達がどれくらいいるかを把握したい。成田周辺で、場所とワクチンを確保できるか検討中」

不安な気持ちはよく分かります。でも、日本に着いて2週間、中国に戻り2週間の合計1か月隔離はきつい……。

しかし、現地では「中国製ワクチンは効果が薄いから、副反応もあまりない」ので安心かも、と考える人がある程度いるそうです。逆転の発想ですね。

以前は「副反応が怖い」「コロナは中国ではもう流行ってないので、ワクチンは様子見」という人がかなりいましたが、今回の広州危機により、人々は進んでワクチンを受けるようになりました。

2021年6月9日現在、中国国内のワクチン総接種回数は8億回を超えています(接種人数ではありません)。

週末なのに人通りが少ない、広州市中心部。普段は人とぶつかりながら横断歩道を渡る(広州市天河区)。

(注1)https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/04/50-49.php ニューズウィーク日本版

(この記事は、2021年6月9日時点の情報をもとに作成しました)

岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。幼稚園児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。oyakobousai@gmail.com facebook.com/okamotosatokochina

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