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第47回 ついに、日本に本帰国

連載:駐在員の妻は見た!中国の教育事情 第47回 ついに、日本に本帰国

2018年より中国・広州に滞在した6歳児ママです。中国で発生したコロナにより、母子だけで日本に一時退避して1年半。夫の駐在が終了し、家族3人がまた日本で暮らすことになりました。

高所恐怖所の私が、広州では35階に居住。自室で窓そうじ屋さんと遭遇した娘は大興奮。

本帰国とは

『本帰国』。
駐在終了で日本に帰国することをこう呼びます。一般的に、駐在期間は3~5年間が多いようです。

ちなみに、日本に帰国せず、そのまま他の地域に駐在することを『スライド』と呼びます。
「バンコクから北京にスライドになって、その次は上海に国内スライドになって、もう10年も日本から離れています」という風に使います。

そろそろ本帰国では? という人達は、内示が出る前からそわそわしはじめます。現地に慣れ、友人もできて楽しくなるはずですが、やはり日本に帰りたい気持ちはあります。

しかし、
「日本での勤務地は?」
「子どもの学校は?」
「住む場所は?」

そう、まず家の確保が大問題。
持ち家のある方はそこに戻ります。これが一番簡単。でも、定期借家契約で貸し出し中だと厄介です。

賃貸の場合は、駐在中に探し物件を決めます。今はZOOM内見を行ってくれる不動産会社もありますが、一度も現地を見ずに決めることになります。
それでは不安、と自腹で一度帰国して、学校や家探しを行う方もいます。

本帰国時の習慣

『本帰国』前は、送別会やお別れのあいさつまわりに大忙し。「ありがとう」「お世話になりました」と印刷されたクッキーやタオルをひとりひとりに手渡す方も多く、かなり丁寧に行われます(広州の場合)。

立つ鳥跡を濁さず。日本人だなぁ、と感じる瞬間です。

大手自動車メーカーの奥様達からいただいた、本帰国あいさつの品。

本帰国引っ越しは頭脳戦

海外から日本への引っ越し。
自分達で仕分けし、日通などの引っ越し業者に手伝ってもらいながら荷物を詰めます。送る荷物を、

・日本に届くまでに1-2か月かかる船便 (通常は100箱以上)
・2週間程度で届く航空便
・即、生活に必要な手持ちの荷物や送れないもの(1人あたりスーツケース2~3個)

に分けますが、真っ先にやるべきは、不用品と、日本に持ち帰るものの分別。日本で暮らす部屋の大きさや荷物の容量制限などにより、これが一苦労なのです。

「これだけは絶対持って帰りたい!」と、現地でしか買えない茶器セットや二胡などの楽器、調味料、雑貨を買いこむ方が多いのです。

そのため、どの家族も赴任開始時よりも、本帰国時の方が荷物は増えます。当然、以前より大きな家を借りなければなりません。地方だと一戸建てを借りて、海外からの段ボール箱を一部屋に詰めたまま、という方も多いです。

段ボールが100箱以上届くので、荷ほどきってなかなか億劫なんですよね……。しかも、船便っていつ届くか分からないので、恐怖。

私の場合は、異例の夫頼み

私は、日本での退避からそのまま本帰国となったので、一度も広州の部屋に戻ることはありませんでした。

不用品の仕分けや荷造りはすべて夫任せ。幸運にも、不用品は部屋にそのまま置き去りにすれば、すべてマンション(ホテル)側が廃棄してくれるということでした。

しかし!!

人に見られたくないものってありますよね~。すぐ中国に戻るつもりだったので、クリスマスツリーも出しっぱなし、クローゼットも机の上もばらばらと使ったまま。部屋も広いし、いずれ帰国のために整理すればいいや、と管理が甘くなっていました。

「1泊でもいいから、広州に戻って荷物の仕分けをしたい。夫には絶対触らせたくない!」と嘆く、同じく日本退避中のママ。

家族全員が広州に戻れなくなり、会社の現地スタッフと動画通話しながら仕分けと荷造りを行ったママは、
「結局、ゴミまで送られてきた。マンション(ホテル)の備品まで間違って入っていた。フライパンの横に靴がそのまま入れられていたり、荷物から虫が出てきたりと、もうメンタル崩壊しそう~」とこぼします。

かくいう私にも、夫からすべての衣類や本が写真で送られてきて、「要る・要らない」を丁寧に確認。下着1枚1枚まで並べられ、さすがに「もう、いいから全部捨てて! 今、日本にあるだけで、十分生活は成り立っているから!」とキレ気味に。

知らないうちに大切なものを捨てられるよりは、ありがたいことなのですが……。この手間には感謝しないと、ですよね。結局、日本に届いた荷物もだいぶ捨てました。

我が家は、もともと日本から持って行った荷物が少なく、また、夫ががんばって捨ててくれたので、船便は40箱で済みました。

ふりかえると、
・日本退避中の部屋から、家族3人で済むための部屋への、母子引っ越し荷物 30箱(退避中の家具家電はレンタルのため返却)
・赴任中、倉庫に預けた荷物+実家に預けた荷物 80箱
・船便 40箱
・冷蔵庫、洗濯乾燥機、掃除機は新たに購入
という結果。

日通さんには、だいぶ少ないほうだと言われました。それでも、頭がくらくらします。子どもを実家に預け、ひたすら荷ほどきをして収納し、段ボールを切り裂きゴミ捨て場に運ぶ、を夫と繰り返しました。

3年前の赴任時、娘は3歳。友達や義母が手伝いに来てくれましたし、荷造り自体は日通さんにお任せしましたが、精神的に疲れ果てました。
引っ越しのことで頭がいっぱいでぼーっとして、自転車でガードレールにぶつかり、肋骨にひびが入ったことを思い出します。

当時は、夫が先に一人で広州に赴任したので、私1人で3人分の荷物出し・部屋の引き払いを行いました。そのため、特大の粗大ごみを運べなくて、そのまま倉庫に入れざるを得ませんでした。

その粗大ごみ達を捨てるというのが、今回最初にやったことです。

突然の別れを経験して思うこと

一番つらかったのは、広州でお世話になった人・友人達に、御礼やお別れを言えなかったこと。
昨年は「コロナはすぐおさまる、いずれ広州に戻って、娘は幼稚園に通い、皆に会える」と本気で信じていました。

人生に別れはつきものですが、きちんと挨拶して自分の気持ちに区切りをつければ先に進めるもの。それが、今回は一切できなくて。中国語をがんばった結果が出て、中国人とも仲良くなりはじめ、親子ともに楽しい予感にあふれていた時期でしたが、コロナの前にもろく崩れ去りました。

だからこそ、「幸せな日常はいつまでも続くとは限らない。今できることは、今、一生懸命しよう」と心に決めました。

会社までは徒歩10分。娘とよく夫を迎えに行った。写真はハロウィンの頃、仮装してお迎え。中国では、職場に子どもを連れてくるのはよくあること。

こうして日本在住となりましたが、今後も中国の教育事情などについて書く予定です。
皆さま、引き続きよろしくお願いします!

(写真・文/岡本聡子)

岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。幼稚園児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。oyakobousai@gmail.com facebook.com/okamotosatokochina

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