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ママのためのカウンセリングルーム・67飛び出してきた子どもをよけて自転車で転倒。子どもの親に請求できる?【弁護士・宮地先生に聞きました】

2018.12.05

子どもの親に損害賠償請求することはできますが、自転車が交通ルールを守っていることが前提です

Happy family concpet, Mother and daughter riding a bicycle at sunset

自転車を運転していた時、飛び出した子どもを避けたところガードレールにぶつかってしまった事故について、ご相談をいただきました。

今回は、自転車にお子さんを乗せていなくて、MELLさんのケガも大きくなくて、幸いでしたね。

急に飛び出してきた子どもを避けようとして、ガードレールにぶつかってしまったということですが、子どもと接触しなくても、歩行者の飛び出しや危険な車の運転が誘因となって他の車が単独事故を起こしたり自転車が転倒したりした場合には、「誘因事故」として損害賠償請求できるものとなります。

自転車は、免許がなくても乗ることができますが、道路交通法で「軽車両」として、自動車と同様に扱われていますので、自転車での交通事故は、自動車での交通事故と同じように考えます。

自転車で交通事故を起こした場合、運転者は警察へ届け出ることが道路交通法上の義務となっています。警察に届けることで、交通事故証明書が作成されますが、この書類が、後に保険金を請求する際の必要書類となります。また、ケガをした人がいる場合は、救急車を呼びましょう。頭を打った場合などは、事故直後はたいしたことが無いと思っても、数時間後に症状が出ることもありますので、早めに病院で受診した方が良いです。

仮に、MELLさんや自転車に乗せていたお子さんが大きなケガをしてしまったり、自転車も修理が必要なほど壊れてしまったりした場合、どのような損害を請求できるかについて、お話しします。

交通事故で人の生命、身体について発生した損害を「人損」、物について発生した損害を「物損」といいます。

人損については、負ったケガについての医療費、通院した交通費、入院等のため仕事を休んだ休業損害、入通院期間に応じた慰謝料を請求できます。後遺症が残ってしまった場合は、後遺障害で労働能力を失った割合に応じた逸失利益、後遺症の慰謝料を請求できます。

物損つまり自転車については、原則として修理費用を損害として請求することができます。

次に、自転車対歩行者の交通事故について、発生した交通事故に対する責任の割合(過失割合)について考えてみます。

自転車の交通ルールについて、自転車安全利用五則というものがあるのをご存知でしょうか。

1 自転車は、車道が原則、歩道は例外
2 車道は左側を通行
3 歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
4 安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライトを点灯、交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)
5 子どもはヘルメットを着用

という内容です。

1 の歩道を通行できる例外は
・道路標識や道路標示によって歩道を通行することができることとされているとき
・13歳未満の子ども
・70歳以上の高齢者
・車道通行に支障がある身体障害者
・車道又は交通の状況に照らして,自転車の通行の安全を確保するため、歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき

とされています。

今回、MELLさんが走行していた道路に、車道と歩道の区別はありましたか。MELLさんは車道を走行していたのでしょうか、それとも歩道を走行していたのでしょうか。

自転車対歩行者の交通事故について、発生した交通事故に対する責任の割合(過失割合)は、自転車が不利(歩行者が有利)です。とくに歩道上の事故の場合は、基本の過失割合が自転車:歩行者=100:0ということもあります。子ども(歩行者)の急な飛び出しは、子ども(歩行者)の過失の要素とされるのですが、それでも自転車の過失割合が大きいとされます。

自転車で歩道を走行していた場合、子どもの飛び出しによる誘因事故で自転車ごと転倒してケガをしたとしても、自転車:歩行者=100:0の過失割合となり、子ども(の親)に対する損害賠償請求が認められないこともあるので、注意が必要です。

過失割合は、事故ごとの具体的な現場の状況によって異なります。自転車事故で損害賠償請求をするときには、弁護士に相談してみてくださいね。

なお、飛び出した子どもが小学生以下(概ね12歳以下)の年齢であれば、自分の行動の責任を理解する能力がないものとして、子どもは損害賠償責任を負わないとされることが多いです。その場合は、親が、子どもを監督していたと証明できない限り、損害賠償責任を負うことになります。

miyachisensei

宮地理子(みやち りこ)さん・弁護士
中央大学法科大学院修了。2010年11月から3年半、沖縄県の石垣島にある八重山ひまわり基金法律事務所で所長弁護士を務める。現在は東京四谷の弁護士法人アルタイル法律事務所で医療事件、家事事件、子どもをめぐる問題などに取り組んでいる。
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自転車に乗る場合は、まず、自転車安全利用五則をしっかり守ること、ですね。今回のケースでは、逆の立場になることもありそうなので、道路では子どもが飛び出しがないように、しっかり手をつなぐことも心がけたいものです。

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