連載:発達障害児ママのドタバタ子育て奮闘記 ASDっ子には作文より俳句が向いてる!
公立中学校に通う次女のアタはASD、いわゆる発達障害児。最初はその事実を受け入れられませんでしたが、そのうち、これって普通の子より個性が強すぎるだけなのかも、という心境に。こう言っては不謹慎ですが、障害児を育てるというのは、案外面白いのです。現在、夫は海外に単身赴任中。大学生の長女と私、そしてアタの3人のドタバタライフを書き綴ります。
第42回 「自由」って悩ましい! 作文が苦手なASDっ子には俳句が向いてる?
夏休みの日記の宿題。地味だけど、毎日書くのは案外大変ですよね。アタも苦手なんです。
「1番印象に残った出来事を具体的に書け」
なんて言われると、何から書いていいか分からなくなっちゃうようで、たった5行に1時間以上固まってることもあります。
小学校で取り組んだ環境日記はテーマが決まっていたし、調べて書くことが多かったから良かったんですが、「何でもいいよ」と言われるとアタにはかえってストレス。「自由」過ぎるのは案外楽じゃないんです。
本を読むのは好きだし、言葉もよく知ってる。語彙が増えたらすらすら書けるようになるかと期待してましたが、どうやらそういう問題じゃなさそう。
言葉のストックが増えると選択肢も増えて、今の感情にどの言葉がピッタリなのか、余計に迷うのかもしれません。特に感想の部分は「楽しかった」「面白かった」になりがちで、どんな風に、がなかなか書けない。
質問して言葉を引き出してやろうとすると「イーッ!」と歯を食いしばったり、イライラと机を叩いたり。自分の気持ちをうまく表現できないって辛いだろうなと思います。
何か上手い方法はないかなと考えて、思い付いたのが俳句。5・7・5の形があるので、短い言葉をパズルのように当てはめるだけなら楽かも?
「今回は感想の代わりに俳句作ってみようか?」
アタに提案したら、案の定乗ってきました。
キーワードが決まれば芋づる式。俳句は救世主!
俳句は、単語を並べればそれっぽく聞こえるし、言葉の繋がりが変でもそれはセンスとして認めてもらえる。文章作りが苦手なアタには、一石二鳥です。
もちろん、本来はそんな適当で良いわけありませんが、まずは思ってることを言葉に出す練習になればいい!
それにもう1つ、大事なのが「季語」。俳句には必ず1つ季語(季節に因んだ言葉)を入れるルールがありますが、辞書やネットで調べると季語が一覧でずらり!
「うわ〜!」
アタの目はキラキラ。
こだわりの強いアタは、同じカテゴリーでものを集めるのが大好き。思った通りモチベーションも上がりました。
さて、アタ式俳句の作り方。
①パッと思いついた単語を口に出す。それをキーワードにして指で数えて、とりあえず5か7にする。
②季語を調べて使えそうなものを探し、気持ちに近い言葉と合わせて5か7の塊を作る。そして並べてみる。
とにかく声に出し、指を折って数えるのがポイント。頭でごちゃごちゃ考えず、目で見て耳で聞いて言葉を意識すると、ふと面白い表現が生まれます。リズムを揃えられると気分爽快なようで、アタも満面の笑顔。
「できた〜!」
注射打つ ピリッと青い とうがらし
予防接種に行った時の痛みを、学校で収穫した唐辛子に例えた句。痛いと言わなくても痛みの感覚が伝わるねと褒めたら、とても嬉しそうでした。
余談ですが実はこの句、最初は「赤いとうがらし」でした。ところが赤唐辛子は秋の季語。「じゃあどうすればいいの!」と半泣きのアタ。慌てて調べ直し、青唐辛子なら夏の季語だと見つけて一見落着しましたが、同じ植物でも成長の過程で違う季節の言葉になるなんて! アタのおかげで私も学ばせてもらってます。
ヨーヨーを 叩くジャブジャボ 夏の音
夏休み 風呂の時間も 長くなる
汗かいて 逃げる小松菜 みじん切り
(料理を手伝った時、包丁に苦戦!)
だんだん面白くなってきました(笑)。
最後に、意外と腹黒いアタの一面を垣間見た一句。
夏休み中、私が放課後デイサービスの予約を間違ってしまった日がありました。35℃近い暑さの中、無駄に4kmも往復したアタ。私が平謝りして好きなアイスを買って帰ると「大丈夫、散歩になったよ!」とニッコリ笑って許してくれました。天使〜!
が、その夜の句は……。
ドジな母 おわびのアイス 美味しいな