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不安な気持ちを抱え込まずに 虐待相談もSNSで【気になる!  教育ニュース】

連載:気になる! 教育ニュース 不安な気持ちを抱え込まずに 虐待相談もSNSで【気になる! 教育ニュース】

第29回 不安な気持ちを抱え込まずに 虐待相談もSNSで

虐待類型 ネグレクトが最多に

東京都大田区で、母親が自宅マンションに3歳女児を置き去りにして死亡させた事件。

香川県高松市の路上で、母親が女児二人を車中に放置して死亡させた事件。

7月、9月と立て続けに起きた事件の報道に接し、やりきれなさや無力感を感じた人は少なくないのではないでしょうか。

厚生労働省は、9月30日、2018年度に虐待により死亡した18歳未満の子どもは73人に上る、という同省の虐待事例などの検証を行う専門委員会の検証結果を公表しました。

無理心中を除いた54人のうち、ネグレクト(育児放棄)は25人。2003年の検証開始以後、初めて身体的虐待を上回り、虐待類型の中で最多となりました。

また、同専門委員会は2007年~2018年の間に虐待死した子ども計568人を分析。死亡児童の実母が家庭内暴力(DV)を受けていたのは51人で、このうち実父や交際相手が死亡児童を虐待していた割合は6割。さらに、家庭と地域社会との接触状況を調べると「乏しい」「ほとんどない」が7割以上に上り、虐待とDV、社会における孤立との関係が浮き彫りとなったのです。

電話よりSNS 相談しやすい仕組みづくり

このような状況の中、厚労省は児童虐待の通報や、子育ての悩み相談について新たにSNSでも対応する方針を固め、来年度からの運用を目指し、関連費用を来年度の概算要求に盛り込みました

厚労省では現在、虐待の疑いを感じたときや子育てについて悩んだときに、24時間いつでも最寄りの児童相談所につながる全国共通の電話番号「189(イチハヤク)」を運用していますが、このSNS版、という位置づけです。

既に2019年からSNSによる相談を導入している東京都では、開始から8か月間で6000件近い相談があり、相談者の6割が実母で、小中高生を中心とした子ども本人からの相談も2割あったそうです。9月27日の読売新聞には、虐待が深刻化する寸前での相談も多く、虐待死を防ぐ一助ともなっているのでは、という都の担当者の感想が掲載されています。

悩まずに声を発してほしい

以前、息子のスイミングスクールの見学室で、突然母親が一緒に見学していた2歳ぐらいの女児を怒鳴りつけ、引きずり倒したまま腕を引っ張って見学室を出て行ったことがありました。突然のことに驚き、目の前で起きたことが虐待なのか、そうでないのか。自分は何かすべきだったのではないか。しばらく考えてしまったことがありました。

その少し後、小学校での家庭教育学級。「虐待」のテーマで副校長先生が話をしてくださったとき、一人のお母さんが「私のしていることは虐待かもしれない」と、とつとつと自身の悩みを話し始めました。

「親は怖くて優しくて、それで良いのよ。お母さん、がんばってるね」

との副校長先生の答えに、質問者だけでなく、他のお母さんたちの中にも涙ぐんだ人が少なくなかったことを印象的な光景として覚えています。

親からきつく当たられる、イライラして子どもを叩いてしまう、これが虐待に当たるのかわからない、等々。

誰かに話を聞いてほしい、という声は多いのではないでしょうか。

自らもDV被害者である母親は安定した親子関係を築きにくいこと、社会的に孤立することが深刻な虐待につながること、が徐々に明らかになってきています。SNSの利用が相談のハードルを下げ、それが社会との懸け橋となって、児童虐待への有効な手立ての一つとなることを願ってやみません。

参照

厚生労働省・子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190801_00001.html

厚生労働省・令和3年度予算概算要求の概要

https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/21syokan/dl/01-01.pdf

厚生労働省・児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dial_189.html

東京都福祉保健局・子ゴコロ・親ゴコロ相談@東京

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/katei/linesoudan.html

9月27日・読売新聞

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20200927-OYTEW617339/

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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