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実現なるか、少人数学級。 その効果と課題とは?【気になる!  教育ニュース】

連載:気になる! 教育ニュース 実現なるか、少人数学級。 その効果と課題とは?【気になる! 教育ニュース】

第33回 実現なるか、少人数学級。その効果と課題。

コロナが追い風?少人数学級

50人→45人→40人→?人。「?」に入る数字は何?

実は、これはクイズではなく、公立小中学校の1クラスあたりの標準人数(上限)の変遷。40人、となった1980~91年にかけての定数改善以来約30年。教育現場、文部科学省の悲願、少人数学級(1クラス30人)導入の機運が、コロナを機に再び盛り上がっていることをご存じですか?

なぜ、コロナで少人数学級? そう、「3密」の回避。文科省による「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」では、感染レベルの低い地域でも、人同士の間隔は最低1メートルを目安に最大限あけることを求めていて、人数が多いクラスの場合、これは結構大変!

教育現場や文科省が少人数学級にこだわるのは、もちろんそれだけではなく、子ども一人ひとりにきめ細かい教育が実現できる、という教育の質の向上や、今やブラックともいわれる先生方の長時間労働の軽減なども主な理由です。

壁は財務省

それならすぐにでも少人数学級にすればよいのに、というわけにはいかないのです。

そこに立ちはだかるのは財務省。毎日新聞によれば、10月26日に行われた財務省の審議会では、コロナ対策としては一定の理解はあったが、少人数学級には概ね否定的な意見が多数を占めた、とのこと。

少人数学級と学力との関係には様々な先行研究があるが、必ずしも明確な相関関係は認められない。また教職員の増員が不可欠となるが、採用定数を増やすと採用倍率も低下し、これは教職員の質の低下につながる、ということが財務省の見解のです。

少子化により、年々減少する子どもの数。効果の不確かなものに、貴重な財源を使いたくない、という思惑がそもそも財務省にはあるのです。

文科省の試算では、来年度30人学級を実現するとしたら、8万~9万の先生が新たに必要となります。この他、教室の確保、それに伴う設備投資等々、確かにかかる予算は莫大!

財務省の見解も、不合理、ということはなさそうです。

子どもの目線で きめ細かい議論を

前述の財務省審議会の意見に対し、文科省はHP上で反対意見を公表し、両者の攻防は大詰め。ですがふと、議論の主役であるべき子どもの影が薄いのでは? と一抹の不安も。

その中にあって「密にならないよう感染防止にピリピリしてしまう。一人ひとりの子どもの状態に目が行き届くゆとりが必要だ」という教育現場の声は、切実に響きました。

クラス数も多く、1クラスの人数は40人を優に超えていた私の小・中学校時代。校長先生は直接関係のない存在でした。けれど、1学年2クラス、1クラス30人前後、という私の子どもたちの小・中学校では校長先生はすべての子どもの名前と顔が一致しています。「ちゃんと見てくれている」という安心感はとても大きいもの。「教育の質」とは単に数字や科学的根拠のみで測れるものではないはずです。

また、多様な個性をもつ子どもがともに教育を受け、共生社会の実現を目指すインクルーシブ教育が提唱されていますが、近年、実際に外国籍の子ども特別支援学級などの特別なケアが必要な子どもが増えています。子どもの数が少ないから先生も少なくて良い、という図式はここには当てはまらないのでは、と感じます。

全国一律の少人数学級でなくても、例えば貧困家庭や、外国籍の子どもが多く在籍する学校での実現、という方法もあるでしょうし、部活動での外部コーチの積極的採用、という方法もあるでしょう。

子どもたちが健やかに成長するために教育がなすべきことは何か? その視点に立ったきめ細かい施策であるならば、そこにかかる予算はきっと多くの国民の理解を得られるはず、と思うのです。

参照

文部科学省・学級編制及び教職員定数に関する資料

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/029/shiryo/05061001/sankou002.pdf

文部科学省・学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm

10月27日・毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20201027/ddm/012/100/058000c

財務省・歳出改革部会資料

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseier20201026/01.pdf

文部科学省・財務省歳出改革部会資料についての文部科学省の見解

https://www.mext.go.jp/content/20201027-mxt_kouhou02-000010677_1.pdf

文部科学省・共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm

文部科学省・平成30年度外国人児童生徒等教育の現状と課題

https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/todofuken_kenshu/h30_hokoku/pdf/r1408310_04.pdf

文部科学省・平成30年度特別支援教育資料

https://www.mext.go.jp/content/20200428-mxt_tokubetu01-000004454.pdf

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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