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キャリア・パスポートは未来への道標 キャリア教育の現在は?【気になる!教育ニュース】

連載:気になる! 教育ニュース キャリア・パスポートは未来への道標 キャリア教育の現在は?【気になる!教育ニュース】

第38回 キャリア・パスポートは未来への道標 キャリア教育の現在は?

小中高 成長の道筋をつなぐポートフォリオ

最近、学校教育で導入された、「キャリア・パスポート」を知っていますか?

キャリア・パスポートとは小学生から高校生までのキャリア教育に関わる活動を記録、蓄積し、自らの変化や成長を評価するための記録、ポートフォリオのこと。2020年4月から全国の小中高校に導入されています。

今年度から小学校で導入された新学習指導要領(中学では次年度から)には、子どもの社会的・職業的自立を図るため、「キャリア教育の充実」が初めて明記。それに伴い各校で取り組みが進んでいるのです。

私も小学校5年生と中学2年生の時、職場体験に行った記憶がありますが、最後に感想文を書いたら終わり。そうではなく、小学校から高校までの各経験をつないで成長の道筋を可視化できる教材がキャリア・パスポート、というイメージでしょうか。

2020年12月18日の読売新聞で、「キャリア・パスポート」の導入事例が紹介された、東京都品川区立宮前小学校の斎藤校長も「自らの経験が“点”ではなく、今後の目標や頑張りといった“線”としてつながることを心がけている」と話しています。

自分で考えることが、生きる力の基礎になる

少子高齢化、グローバル化、デジタル社会の推進など、大きな転換期を迎えている日本社会。困難な状況を生き抜く力を育てるために、キャリア教育が必要、と言われています。

文部科学省作成の「キャリア・パスポートって何だろう」を読んでみると、キャリア・パスポートには、過去から現在までの記載を見比べて、自らの興味や長所、考え方の傾向や変化などを知る。

客観的に自分自身を分析し、職業、社会と対応させる。「自分の性格だと、こんな職業に就きたい」「個性を生かして、社会の中でどんな役割を果たせるだろう」など、自分と社会の関係を意識した視点を持つことができる、そんな効果があることがわかります。

また、ここで紹介されている北海道羅臼町の「キャリアノート」の取り組みは、縦の時間軸がつながることで、蓄積された情報の有効活用ができることを示しています。同町では,小中高一貫教育研究会を設置。キャリアノートは、町内の全小学校から全中学校へ持ち上がり、羅臼高校に入学した生徒全員が小学校からのキャリアノートを持っている。小中高にわたる記録を振り返り、次年度の取り組みを見通し、それが将来へとつながる。大きな流れです。

現場での指導方法確立が課題

ところで、キャリア教育に関して私の周囲に質問してみると「小学生からキャリア教育? 早いんじゃない?」とか「キャリア・パスポート、って面白そうだけど、結局たまに書き込んでたまに見返すだけ終わりそう」という意見が多数。キャリア・パスポートの存在を知る人はおらず、せっかくのキャリア教育があまり浸透していない感を受けました。これには、教育現場での課題も見え隠れします。

キャリア教育が目的とする、子どもの社会的・職業的自立に必要とされるのが

「人間形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の4つの柱

キャリア・パスポートの記入の仕方や活用方法も、この点についての先生の理解度によって大きな差が出る可能性があり、国立教育政策研究所が全国の小学校を対象に行った調査では、キャリア教育に関する研修は実施していない(実施する予定がない)」学校は49.0%、「キャリア・パスポートを作成していない」学校は74.8%にも上っています。キャリア教育について、先生方の意識、理解の共有が不足、といえるかも。

思い出した一つの記事。1月7日の読売新聞。現在慶応大学に在籍する(休学中)仁礼彩香さんは、何と中学2年生の時に起業。幼いころから母に「なぜそうしたいのか」と繰り返し問われ、入園した神奈川県藤沢市の幼稚園「湘南インターナショナルスクール」も、子どもが自ら考えることを重視。起業のきっかけは「自分が受けている教育が本当に社会で役に立つのか、実際に確かめたい」と思ったことだそう。

自分で考えさせる。これこそ、キャリア教育なのかも、と振り返って思います。

読売新聞によれば、コロナ禍で職場見学や職場体験などの行事の中止が相次ぎ、学校でのキャリア教育を困難にしているそうです。ならば、家庭でも実践してみませんか?

例えば、「俺、カナダに留学したい」と言い出した次男に「その前に、英語の勉強をしなさい!」と即答した私。そうではなくて「なんで留学したいの? 何でカナダなの?」と我が子の考えを問うてみる。それがキャリア教育への入り口になるのかもしれませんね。

参照

読売新聞・2020年12月18日

https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/feature/20201217-OYT8T50094/

文部科学省・新たな学習指導要領におけるキャリア教育

https://www.mext.go.jp/apollon/mod/pdf/newcareer_h28_20180223.pdf

文部科学省・キャリア・パスポートって何だろう

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/143/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2018/10/03/1409581_013_2.pdf

文部科学省・キャリア発達にかかわる諸能力

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2012/05/21/1320712_04.pdf

国立教育政策研究所・キャリア教育に関する総合的研究

https://www.nier.go.jp/shido/centerhp/career_SogotekiKenkyu/

読売新聞・2021年1月7日

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210107-OYT1T50046/

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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