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新年度スタート! 1人1台端末配布で授業はどう変わるのか

連載:気になる! 教育ニュース 新年度スタート! 1人1台端末配布で授業はどう変わるのか

大学入試改革、プログラミング、英語教育……。教育の世界がなにやら騒がしい。このコーナーでは、最近気になった教育関連のニュースをピックアップして紹介します!


第44回 新年度スタート! 1人1台端末配布で授業はどう変わるのか

進む端末整備 そのメリットは?

新型コロナによる長期休校の影響もあり、全国の小中学校で、生徒に1人1台の学習用端末を配布するGIGAスクール構想が急ピッチで進んでいます。文部科学省の調査によると、昨年度末までに端末が整備されたのは全体の98%。既に端末の活用が始まっている学校もあり、導入によって教育現場は少しずつ、変化を見せているようです。

タブレットなどの端末を学びに活用するメリットとしては

・映像や音楽の利用により、生徒の興味や意欲を効果的に引き出すことができる

・インターネット上でデータを管理する「クラウド」や、文書の共有、写真撮影などの機能の利用により、従来よりも「考える時間」を確保できる

・教師が生徒の理解度を細かく把握できる

などが挙げられます。では、実際の授業ってどんな感じ? 気になりますよね。

生徒の学習意欲を引き出し、個別の能力に合わせた指導へ

既に2015年から1人1台の端末を配布している岡山県備前市。タブレットを手にヘチマを観察しているのは香登小学校4年生の生徒たち。タブレットの内蔵カメラでヘチマをパチリ! その場で観察した内容を記入しています。ノートにヘチマの絵を描く、という授業内容と関係ない部分に気を取られることがないだけではなく、写真というデジタルデータを教師、生徒間で共有でき、対話的な学びや気づきにつながりやすいのだそう。

また、2017年から1人1台の端末を配布している東京都渋谷区では、テストやドリル学習などの結果を可視化。生徒の学力を細かく把握し、個別指導に役立ててきました。緊急事態宣言による長期休校期間には、課題をクラウド上でやり取りするなど柔軟に対応し、オンライン授業も実施!

その他にも、「聞く」ことはできても「読む」ことが苦手な学習障害など、学習に困難を抱える生徒の、障害や発達の程度に応じた指導を充実させることができる。1人1台端末により、世界に遅れを取っている、と指摘される日本の教育現場でのICT環境を改善し、メディアリテラシーなどの情報活用能力を育てることができる、ともいわれます。

1人1台端末を手段として、何を実現するのか

但し、1月18日の朝日新聞が言及するように、1人1台端末には解決すべき問題点も。端末の使用方法は各教育委員会の判断に任されるので、多くの地域差が生じる可能性があるのです。家に持ち帰ることができるか、YouTubeが利用できるか、学校の通信環境がどうなっているか等々。各教員の能力差も大きな問題でしょう。

また、東京大学のチームは、紙の手帳とタブレット端末、スマホにイベントの日程をかき込む実験を行い、記憶の定着や深い理解には紙が優位、とする研究結果を発表しています。

息子の中学の校長先生は、1人1台端末に関し、こう話されていました。
「個別の能力に応じたきめ細かい指導に役立つし、休校になった場合でもオンライン授業ができる。公立と私立との差も小さくなると期待できる。ただ、教員にも研修が必要だし、紙もとても大切。タブレットがあるから、紙のドリルを買わなくてよいかというと、迷います」

端末の機能を最大限発揮し、「1人1台」を意味あるものにするためには、できる限り制限は少ない方が良い。でも、例えば家で自由にYouTubeを見ることができるのでは返って逆効果だった、という事態にもなりかねません。「ネット依存」という言葉も頭をよぎります。

長期の休校は、子どもたちの学びを止めただけでなく、生活リズムを崩し、それによって心身に不調を来した子どもも急増しました。あのような経験を2度としたくはない。1人1台端末には大きな可能性があると思います。けれど、配布して問題解決! ではありません。教育現場で端末を利用することのメリットと背中合わせのデメリットも直視した上で、どんな目的で、どんな使い方をするのか。現場任せではない検証と改善のプロセスが、今後求められ続けるのだろう、と感じました。

参照

文部科学省・GIGAスクール構想の実現に向けた調達等に関する状況についてhttps://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_00921.html

Impress Watch・EDIX東京2020・ICT CONNECT21 GIGAスクール構想推進委員会セミナーレポートhttps://www.watch.impress.co.jp/kodomo_it/news/1289146.html

総務省・スマートスクール・プラットフォーム実証事業、東京都渋谷区の成果報告 https://www.soumu.go.jp/main_content/000609005.pdf

1月18日・朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASP1L6H1SNDLUTIL012.html

東京大学・紙の手帳の脳科学的効用について
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0109_00001.html

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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