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インクルイーシブ公園が増加中!?【気になる!教育ニュース】 

連載:気になる! 教育ニュース インクルイーシブ公園が増加中!?【気になる!教育ニュース】 

大学入試改革、プログラミング、英語教育……。教育の世界がなにやら騒がしい。このコーナーでは、最近気になった教育関連のニュースをピックアップして紹介します!


第51回 障害があってもなくてもみんなで遊ぼう! インクルーシブ公園

誰もが思い切り遊べる公園があったなら……

息子たちの公園遊びが日課だった幼稚園の頃、たまに姿を見せる母子がいました。ところが同年代とおぼしき息子さんはコミュニケーションがうまくとれないのか、大声で騒いだり、突然手が出たり。そのたびにお母さんが困った様子で頭を下げる姿が気になっていました。時折、話をする間柄になってから、息子さんは自閉症スペクトラム障害で、公園に来るのはとても勇気がいることなのだと聞きました。「思い切り遊ばせてあげたいのに」と。

4月16日の朝日新聞に掲載された「インクルーシブ公園」に関する記事を目にしたとき、すぐにあの母子を思い出しました。あの頃こんな公園があったなら。

「インクルーシブ」とは英語で「すべて含む」を意味します。インクルーシブ公園とは、障害のある子もない子も、一緒に遊べる公園のこと。こんな公園が今、少しずつではあっても全国的な広がりを見せ、多くの喜びの声が上がっているというのです。

工夫と配慮にあふれたインクルーシブ公園

1990年代以降、欧米で広がったというインクルーシブ公園。日本での誕生は2020年。そう、生まれたてほやほやなのです。アメリカで、出産・育児を体験した東京都議の龍円(りゅうえん)愛梨さんの働きかけがきっかけでした。龍円さんの息子さんはダウン症。けれど、家の近所の公園はスロープのついた大型遊具やゴムチップでできた地面、わかりやすい絵による説明表記など、さまざまな子どもが一緒に遊ぶための工夫と配慮に溢れていて息子さんも楽しく遊ぶことができたと言います。

帰国後、日本にはそういう公園がないと知った龍円さんの提案を発端として、東京都は日本初のインクルーシブ公園、東京都世田谷区都立砧公園のみんなのひろば東京都豊島区としまキッズパークを誕生させたのです。

さて、どんな公園なのでしょう?

親も一緒に滑ることができるよう幅を広くした滑り台。着地点のクッションはフカフカです。日光に弱い子でも遊べる日除けが付いた遊具に、車いすの子どもでも遊べる高さの砂場。園内を走るミニSLには小さな扉がつけられ、乗り降りしやすく工夫されています。

遊具メーカーも、障害のあるなしに関わらず一緒に遊べる遊具、「インクルーシブ遊具」の開発に力を入れ始めています。例えば、東京の遊具メーカー「コトブキ」で開発中の「段違いの砂場」。車いすの子が座ったまま遊べるだけでなく、高い位置から低い位置に砂を流せるようになっていて、上下でコミュニケーションが生まれやすい仕掛けになっているのです。とても楽しそうだと思いませんか?

「多様性」は関わることから

インクルーシブ公園、遊具。施された工夫は、ほんの少し視点を変えているだけ。それなのに、なぜ今までなおざりにされてきたのか? 冒頭で触れた自閉症スペクトラム障害の息子さんとお母さんが、いつの間にか公園に来なくなっていたことが、ふと頭をよぎりました。

4月7日の読売新聞によれば、障害のある子どもの親の多くが「公園に行きにくい」と感じている一方で、障害のある家族がいない人の7割が、日常で障害者と関わる機会がないそうです。これでは、障害のある子どもとない子どもとの接点がありません。

多様性、という言葉を頻繁に耳にします。けれど、この言葉がそもそも特定の価値観から発せられているのではないか。また、多様性を意識しすぎて共同体としての和が乱れているのではないか、と考えてしまうような場面に遭遇することがあります。それは、それぞれの立場から多様性が語られるだけで、お互いのことをよく知らないからかもしれない。インクルーシブ公園に関する記事を読んでいて、そう感じました。

神奈川県藤沢市では3月にインクルーシブ公園が誕生。東京都渋谷区や、岩手県宮古市でも間もなく誕生予定です。時代は私たちに、「多様性」という言葉の箱に何を入れるか問うているかもしれません。こんな素敵な公園で出会った子どもたちだからこそ、「多様性」の箱の中に社会を変える大きな力をいっぱい詰め込んでくれるかも。新しい可能性を感じます。

参照

4月16日・朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASP4H4RZYP41PTFC00H.html

東京都議会・平成30年第1回定例会ネットリポート
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/netreport/2018/report02/12.html

東京都公園協会・砧公園
https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/facilities004.html

豊島区HP・としまキッズパーク
https://www.city.toshima.lg.jp/toshimanow/new/kidspark.html

株式会社コトブキ・インクルーシブ・プレイグラウンド
https://townscape.kotobuki.co.jp/inclusive/

4月7日・読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/life/kosodate/20210406-OYT8T50186/

藤沢市・HP
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kouen/inkurusibu.html

しぶや区ニュース
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/assets/com/s200301_all_single-12.pdf

広報・みやこ
https://www.city.miyako.iwate.jp/data/open/cnt/3/10701/1/kohomiyako20201015_01-16.pdf?20201112083905

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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