子育てママのお悩み解決メディア
被害者1819人! 子どもをネット被害から守れ!【気になる!教育ニュース】

連載:気になる! 教育ニュース 被害者1819人! 子どもをネット被害から守れ!【気になる!教育ニュース】

大学入試改革、プログラミング、英語教育……。教育の世界がなにやら騒がしい。このコーナーでは、最近気になった教育関連のニュースをピックアップして紹介します!

第56回 SNS利用したネット犯罪 子どもたちの被害 1819人

子どもが巻き込まれるネット犯罪 ツイッター利用が最多

「会ってくれなければ、家の前で死ぬ」

小5の女児を、そう脅して連れ出し、ホテルに連れ込んでわいせつ行為をした34歳の男。

昨年9月に、強制わいせつ容疑で逮捕された後の調べに対し「tiktok(ティックトック)で小さい女の子を探していた」と供述したそうです(読売新聞より)。ティックトックは規約で13歳以下の利用を禁止していますが、女児は母親名義のアカウントで利用していました。

SNSで知り合った男からわいせつ行為を受ける。裸の写真を送ることを強要される。受け取った画像を「ばらまく」と脅され、要求を繰り返される。そんな卑劣極まりない犯罪が増えている、といいます。

警察庁によれば、SNSを利用した犯罪に巻き込まれた18歳未満の子どもは、昨年1年間で1819人。コロナ禍での外出自粛の影響か、前年度からは多少減少したものの、平成25年度以降、大局的には増加傾向が続きます。そしてその大半が上記のような性犯罪なのです。

性犯罪に悪用されたSNSで最多だったのがツイッターで642人。次いでインスタグラム、学生専用アプリ「ひま部」と続き、ティックトックは76人。被害児童の9割以上を中高生が占め、小学生の被害は84人ですが、増加率は小学生が1番です。

政府も新たな基本計画を策定

インターネットの利用率は小学校、中学校、高校、全てで9割を超え、小中学校では、「1人1台端末」の整備が進みます。子どもたちが置かれる、この環境自体が、匿名性が高く、証拠も残りにくいSNSを利用した卑劣な犯罪にとっては、まさに「うってつけ」なのです。

政府もこの点を重視。7月に公表した、青少年のネット利用に関する新たな基本計画では、フィルタリング利用率向上のためのさらなる取組や、保護者が子どものネット利用を適切に管理する「ペアレンタルコントロール」、特に「親子のルール作り」を重要なポイントとしています。また、「自画撮り」などの被害を防ぐための新たな技術開発を事業者に求めている点も注目されます。

実際に、トーンモバイルが提供するサービス、「TONEカメラ」は端末内のAIが被写体を分析し、裸などの不適切画像と判断すると、端末上に撮影不可のアラートが表示され、撮影を制限。深刻化する「自画撮り」被害の防止効果が期待されます。このような技術の向上は、強く望まれるところです。

社会全体の協力が急務

4月に公開された「SNS―少女たちの10日間―」というチェコの映画があります。これは、12歳の少女に扮した3人の成人女優が、10日間、SNS上で知らない人とやり取りする様子を撮影したドキュメンタリー。コンタクトをとってきた2500人余りのうち、多くが性的な要求を行い、後には実際の逮捕者も出た、という超話題作で、本国チェコでは異例の大ヒットを記録したそうです。SNSが性犯罪の温床になっているのは、決して日本だけの問題ではないのです。

この映画の監督で、自身も4人のお子さんのお父さん、ヴィート・クルサークさんが、SNSの性犯罪から我が子を守るために大切なことは、幼いころからの性教育と、親子の信頼関係、と指摘しているのは、示唆的です。

私の周囲でもスマートフォンの使い方は頻出話題の筆頭ですが、家庭内でのルールを決めているのは少数派。決めていても、監視し続けることに疲れ、結局、子どもにお任せ状態になってしまう家庭が圧倒的。けれど、隣の部屋で子どもが目にしているスマホやパソコンの画面に、親の想像を超えるおぞましい世界が広がっているとしたら……?

子どもを守るために、自分にできることは? そう考えると、フィルターを利用したり、ルールを決めることは面倒でも重要で、その点を子どもに納得させるには、親子間でじっくり話し合える信頼関係が必要なのでしょう。SNSを利用した性犯罪。それは、家庭と、行政の施策、そして通信業者などの技術開発。社会全体の協力なくしては、立ち向かうことのできない巨大な敵なのかもしれません。

参照

1月25日・読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210125-OYT1T50104/

警察庁・令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況
https://www.npa.go.jp/policy_area/no_cp/uploads/kodomonoseihigair3.pdf

内閣府・令和2年度 青少年のインターネット利用環境実態調査
https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/r02/net-jittai/pdf/2-1-1.pdf

文部科学省・GIGAスクール構想の実現について
https://www.mext.go.jp/content/20210608-mxt_jogai01-000015850_003.pdf

総務省・青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関する新たな課題及び対策
https://www.soumu.go.jp/main_content/000760682.pdf

トーンモバイル・プレスリリース
https://tone.ne.jp/press/20210216.html

SNS―少女たちの10日間―
http://www.hark3.com/sns-10days/

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

中村 亮子さんの記事一覧 →