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国も支援し始めた、ギフテッドの子どもたち【気になる!教育ニュース】

連載:気になる! 教育ニュース 国も支援し始めた、ギフテッドの子どもたち【気になる!教育ニュース】

大学入試改革、プログラミング、英語教育……。教育の世界がなにやら騒がしい。このコーナーでは、最近気になった教育関連のニュースをピックアップして紹介します!


第57回 突出した才能を持つギフテッドの子どもたち 文部科学省が支援へ

数学力や言語能力などに特別な才能を持つ子どもたち

「ギフテッド」と呼ばれる子どもたちのことをご存じでしょうか?

数学力や、記憶、言語能力などに突出した才能を持つ子どもたち。その一方で学校生活や対人関係などで困難を抱えることも多く、不登校になる場合も多い、と指摘されてきました。

そのような、ギフテッドの子どもたちへの支援を文部科学省が検討している、と8月2日の読売新聞が報じています。

アメリカでは、突出して高い知能指数などを持つギフテッドの子どもたちに対して、飛び級を利用するなど、特別の教育プログラムが取り入れられてきたそう。1979年にジョンズ・ホプキンス大学が開設した「才能児センター(CTY)」のサマープログラムやオンラインプログラムなどには、歌手のレディー・ガガや、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグも参加していたとか! 日本でもそうした子どもが一定数いることは知られていましたが、十分な議論はなされてきませんでした。

うちの子は、あまりうまく友達と遊べないけど、すごく計算が得意! 学校にはなじめないけど、記憶力はかなりのもの! もしや、ギフテッド?

なんて、思ってしまいそうですが、話はそう簡単ではなさそうです。

ギフテッドの多くが抱える「生きづらさ」の正体

長男と小学校の同級生だったA君は、学習障害。友達と一緒に学校生活を送るにはかなりの困難がありましたが、数学力が桁外れ。小学校2年生の時、高校卒業レベルの数学検定に合格し、周囲を驚かせました。けれど、結局学校生活になじむことができず、特別支援学校に転校。彼は、ギフテッドなのかもしれません。

少し前の番組ですが、2019年8月放送のNHKクローズアップ現代で、ギフテッドの子どもたちが取り上げられたことがあります。意外なのは、ギフテッドの突出した能力は、両親をはじめ、周囲には理解されにくく、そのために彼らの多くは「普通じゃない」「変わっている」、そんなレッテルを張られ生きづらさを感じている、ということ。

「突出した才能」と聞くと、万能の天才のように思いがちですが、実は得意分野は限定的で、そのほかは、平均的、もしくは苦手な場合が多いそうです。また、ギフテッドの子どもたちは、こだわりの強さや注意力の偏りなどの障害を併せ持つ場合も多いとされ、学校内外での支援が必要、ともいわれるのです。

アメリカのギフテッド教育は、子どもの苦手分野や、障害を支えることも大切にしつつも、彼らの持つ素晴らしい能力を伸ばす方向を重視する、と言います。ギフテッドの子どもの得意分野を、その子どもに最適なレベルで広く、深く学ぶ。

「異質」を認めて伸ばしていく

今回報道された文科省のギフテッド支援は、どのような子どもを対象として、どのような内容の教育を行うか、これから検討を始める、という段階ですが、念頭にあるのはアメリカのギフテッド教育だとみられています。有識者会議のメンバーである松村暢隆・関西大名誉教授は「トップ人材の育成を目的とするのではなく、困っている才能のある子供のニーズに対応することを第一に考えるべき」と発言しています。

ギフテッドの子どもたちの多くが、才能を謳歌するのではなく、才能ゆえに生きづらさを感じている、というのは驚きで、彼らの受け皿となり、生来の才能を伸び伸びと生かすための制度の必要性を感じます。

けれど、ギフテッド教育を苦手分野や、障害の支援、という側面で捉えてしまうと従来の特別支援教育の塗り直し、になりかねません。支援を受けた状態でも、才能を「伸ばす」ことを大切にしてほしい。

天才、というと将棋の藤井聡太2冠や、大リーグの大谷翔平投手のようなスーパーマンを想像しがち。でも案外「才能」とは、一見すると「見慣れない、ちょっと変わった顔」をしているのかも。高度成長期を経て、多様な「個」の活躍が期待される現代。異形、異質なものをまずは認め、そして伸ばしていく。「ギフテッド教育」も時代が求める多様性の1つの側面なのかもしれません。

参照

8月2日・読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20210802-OYT1T50178/

2018年6月7日・朝日新聞グローブ
https://globe.asahi.com/article/11594630

2019年8月28日・NHKクローズアップ現代
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4320/index.html

文部科学省・特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議
https://www.mext.go.jp/content/20210726-mext_kyoiku02-000017063_001.pdf

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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