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【気になる!教育ニュース】全教科で英語漬け! 小学校のイマ―ジョン教育

連載:気になる! 教育ニュース 【気になる!教育ニュース】全教科で英語漬け! 小学校のイマ―ジョン教育

大学入試改革、プログラミング、英語教育……。教育の世界がなにやら騒がしい。このコーナーでは、最近気になった教育関連のニュースをピックアップして紹介します!


第69回 算数だって英語です! イマ―ジョン教育の効果とは?

さまざまな科目を英語で授業

先生「右の空欄には何が入る?」
子ども「希望者」
先生「正解! では、希望者は何人?」
子ども「6人です」
先生「なるほど」

12月7日のCBCニュース。実際のやり取りはすべて英語です。しかも、科目は算数! 授業は英語で指導ができる日本人の先生と、ネイティブスピーカーの先生との2人体制で進められています。

ここ、愛知県豊橋市立八町小学校では、2020年度から公立学校としては全国で初めて、各教科を英語で教えるイマ―ジョン教育を取り入れているのです。

「イマ―ジョン=immersion」は「浸す」という意味。1960年代のカナダで始まったイマ―ジョン教育は、まさに「英語漬け」にすることによって、英語を習得する学習方法のこと。現在ではその効果が認められ世界各国に広がっています。

八町小学校では、全教科を日本語で学ぶ通常の学級のほかに、希望者からなるイマ―ジョン学級を設置。英語は話せるようになる? 通常学級との学力の差は出ない? 導入から1年半あまり。その効果のほどはどうなのでしょう。

グングン英語力を吸収する子どもたち

AERA English特別号・英語に強くなる小学校選び2022」によれば、八町小学校は公立学校なので、学習指導要領に沿った指導が求められます。そのため、「英語漬け」が特徴のイマージョン教育ですが、子どもたちの理解度に則した指導を重視。子どもが学習内容を十分理解できないときには、日本語による指導も行っています。

同校の稲田教頭が「エドゥペディア」という教員向けサイトのインタビューに答えたところによれば、イマ―ジョン学級でも通常学級と同じ教科書を使用しますが、それを英語に翻訳したデジタル教材やワークシートも用意。子どもは、必要に応じて、日本語と英語を行き来できます。ノートも日本語と英語が入り混じり、英語で難しい発表は、日本で答え、その英訳を教えてもらいます。算数や理科などの専門用語は、英語、日本語、双方で習得。

通常学級とイマ―ジョン学級は、学習速度も同じですが、今のところ両者の間に学力差はみられず、それどころか、イマ―ジョン学級の子どもたちは、会話の中に自然に英語が混じったり、ネイティブの先生と臆せず英語で会話をしたり。先生の予想より、子どもの吸収力は早いそうです。そして、そんな姿を目にする通常学級の子どもたちも、「自分も英語で話してみたい」という刺激を受けている、といいます。

イマ―ジョン教育の可能性

日本におけるイマージョン教育の成果と課題を研究した論文に目を通すと、イマ―ジョン教育のデメリットとして考えられるのは、主に

・日本語教育がおろそかになるおそれがある
・高額である、など。

一方、メリットと思われるのは

・ネイティブスピーカーによる英語を聞き続けることで、英語で考え、話す力が身につく
・2つの言葉を同時に吸収することで、文化の違いに敏感になり、多様性を受け入れる姿勢が育つ、など。

現代は第3次英語ブームと言われるのだそうです。我が子の英語教育の必要性を感じながらも「どうすればよいの?」と悩んでいる方、とても多いのでは?

イマ―ジョン教育に詳しい早稲田大学教育学部の原田哲男教授は、読売新聞の「教育×WASEDA ONLINE」にこんなコメントを寄せています。

「イマ―ジョン教育は、英語を『使いながら学ぶ』ため、英語に接する時間が増え、抽象的な言語活動も可能になると言われる。真の英語能力を養成するには、かなり思い切った方法をとる必要があるのでは」。

「英語ブーム」というのは、それを時代が求めている、ということなのかも。だからこそ、八町小学校のような公立学校でイマ―ジョン教育を実施することには大きな意義があるのでしょう。ご近所に住む、複数の国籍の方たちが、英語で楽しそうに会話する姿を見て、「グローバル社会に生きる」という言葉の意味をつくづく考えさせられているところです。

参照

12月7日・CBCニュース

https://hicbc.com/news/

豊橋市・全国初!公立小学校で算数の英語イマージョン教育がスタート!

https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/63361/0106ei.pdf

朝日新聞出版・英語に強くなる小学校選び 2022

https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=23047

EDUPEDIAホームページ

https://edupedia.jp/article/5f9f7e8102ff7fc1019f02f6

日本英語検定協会委託研究・日本における英語イマージョン教育の成果と課題

https://www.eiken.or.jp/center_for_research/pdf/bulletin/vol99/vol_99_9.pdf

読売新聞・教育×WASEDA ONLINE

https://yab.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/culture_160328.html

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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