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【気になる!教育ニュース】子どもの難聴は早期発見が大事!

連載:気になる! 教育ニュース 【気になる!教育ニュース】子どもの難聴は早期発見が大事!

大学入試改革、プログラミング、英語教育……。教育の世界がなにやら騒がしい。このコーナーでは、最近気になった教育関連のニュースをピックアップして紹介します!

第72回 全ての新生児への聴覚検査を 厚生労働省が方針案

気づきにくい先天性難聴

厚生労働省がすべての新生児への聴覚検査を目標とする基本方針をまとめた、と昨年12月10日の読売新聞が報じました。

先天性難聴は、新生児1000人に1人程度、という比較的高い割合で発生しています。ところが、新生児の聴覚検査は現在、日本では任意。費用補助のない自治体が多く、厚生労働省の調査によると、2019年度時点で新生児の約1割が聴覚検査を受けていないか、受けたかどうか不明でした。

赤ちゃんは、自ら「聞こえない」とは言えません。また、聞こえの程度は様々で、言葉を発することも珍しくありません。赤ちゃんの難聴に気づくことは、思いの外難しいものなのです。従来、3歳児健診時などに「ことばの遅れ」等で発見されていましたが、就学時検診まで気づかないケースもあるそう。

先天性難聴の原因はいくつかあげられますが、滲出性中耳炎などの耳の感染症や、耳あかの蓄積が原因であるならば、手術や投薬治療により完治可能。

ただ、先天性難聴の多くは難聴の遺伝子が原因、と言われ、治療できないことが多く、補聴器や人工内耳の装着、手話言語の獲得、といった道がとられることになるそうです(国立成育医療センターサイトより)。

早期発見・早期治療介入がポイント

赤ちゃんが、耳から入ってくる言葉を脳に蓄積させて話す準備をしていること、ご存じですか(東京都立大学サイトより)? つまり、赤ちゃんのうちから言葉を聞いておくことが、言葉の獲得、発達のためにはとても大切で、難聴に気づかず放置してしまうと、後から補聴器や人工内耳を装用しても言語機能が十分に伸びないことも少なくありません。
その点で、先天性難聴の早期発見・早期治療介入が非常に重要だ、とされているのです。

前述の読売新聞によると、基本方針では、生まれた子どもが生後1カ月までに医療機関で聴覚検査が受けられる体制を都道府県に求めることが柱となっています。難聴が疑われた場合には、生後3か月までに精密検査を行い、人工内耳や補聴器の利用、手話などさまざまな形で言語の発達を促すことの重要性を指摘しています。

また、公費負担による検査の推進や、妊婦健診などで検査の情報を提供することも盛り込まれました。都道府県ごとに、関係者による協議会を設置して情報を共有。子どもとその家族を継続支援できる体制づくりが重要、との認識です。生まれた環境に関わらず、すべての新生児が検査を受け、必要な場合は支援を受けられることは、大きな意義があります。

多様なコミュニケーションへの理解を育みたい

幼かった頃、1年に1~2度、訪れた母の実家の近くに、耳が全く聞こえない高齢の女性が住んでいました。私が行くと、嬉しそうに会いに来てくれるのですが、彼女の手話(?)を私は理解できませんでした。ただ、指で数を示すことで私の年齢を聞く動作だけは理解でき、ニコニコしている表情と相まって、彼女との「おしゃべり」はとても楽しみでした。

そんな遠い日の出来事を思い出したのは、昨年夏のパラリンピックで、聴覚障害のある女性リポーターが、生き生きと手話を使っている姿を見たことがきっかけです。聴覚に頼らないコミュニケーションは、紛れもない文化であり、とても豊かなものだ、と感じたのです。そして、幼い日の私も、無意識にその豊かさに触れていたのかもしれないな、と。

先天性難聴は多くの場合、「聞こえる」ようになるわけではなく、補聴器や人工内耳によっても、獲得できる聞こえの程度はさまざまだ、といいます。

新生児全てに聴覚検査が実施されることで、難聴の早期発見、早期療養につなげるだけでなく、「聞こえない、聞こえにくい」人たちとのコミュニケーションへの理解と敬意も育っていくと良いな、と感じます。

日本耳鼻咽頭科学会による「家庭でできる耳のきこえと言葉の発達のチェック表」があります。出生直後に聴覚検査を受けられなかった場合には、是非、お試しあれ。

参照

12月10日・読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20211210-OYT1T50102/

日本産婦人科医会・新生児聴覚スクリーニング検査全例検査にむけて10年の歩み

https://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/07/122_20180711.pdf

厚生労働省・新生児聴覚検査の実施状況等について

https://www.mhlw.go.jp/content/11925000/000758632.pdf

国立成育医療センター・小児難聴

https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/021.html

東京都立大学・赤ちゃんの脳から、言葉の獲得への道筋を考える/保前 文高

https://www.tmu.ac.jp/cooperation/tmunavi/index/hum/hss/4311.html

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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