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Column 気になる! 教育ニュース

赤ちゃんはコウノトリが? たまにはきちんと、性の話【気になる! 教育ニュース】

2020.07.01

大学入試改革、プログラミング、英語教育……。教育の世界がなにやら騒がしい。このコーナーでは、最近気になった教育関連のニュースをピックアップして紹介します。


第18回 赤ちゃんはコウノトリが? たまにはきちんと、性の話

休校期間中に急増! 中高生の妊娠

「ねえ、学校の性教育って全然足りないよね。具体的な避妊の仕方とか、教えないのよ。我が家では幼稚園の頃からかなり色々話しているのに」

ランチの最中、ママ友のそんな話に目を丸くしてしまったのは、いつだったか……。

6月6日の読売新聞「家庭で性教育 強い味方」という記事を目にして、その時の彼女の憤懣やるかたない表情と、新型コロナ流行の真っ最中に中高生からの妊娠相談が増加した、という報道があったことが思い出されました。

「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」の運営で知られる熊本・慈恵病院によると、4月中に中高生から寄せられた妊娠相談は過去最多の75件だったそうです。助産院など、他の相談機関でも、やはり中高生からの妊娠相談が急増したそう。

いずれの団体でも、実際に妊娠した例以外に、目立ったのが誤解に基づき「妊娠したかも」という強い不安を抱えた子どもたち。どの団体の相談窓口担当者も「性教育が不十分で、妊娠に関する正しい知識が中高生に欠落している」ことに強い懸念を示しています。

世界に後れを取る日本の性教育

私のママ友が不満を口にしたように、日本の性教育は世界的にも非常に消極的だそう。

「エイズに代表される性感染症は性的接触により感染する。防ぐには避妊が有効」とは教えても、性的接触って何? 避妊って具体的にどうするの? そこは教えない。

エイズが流行した1990年代。日本でも小学校から積極的に性教育を行いました。ところが、特定の授業内容が「過激すぎる」とバッシングを受け、裁判になったこともあり(2003年・都立七生養護学校)、現在は、教育現場も一歩踏み込めない状況なのです。

積極的な性教育を否定する立場からは、性教育により、子どもの性的関心や性的衝動が早まる、との主張がなされます。

でも、本当に? ネット時代に生きる現代の子どもたちは、以前より簡単に性の情報にアクセスできます。そして、ネットには誤解や偏見に基づいた性情報が氾濫しているのです。

10代の人工妊娠中絶率が全国平均を大きく上回っていた秋田県では、2000年から高3生を対象に医師による性教育講座を開始。2004年には中3生にまで対象を拡大。その結果、2011年にはなんと中絶率は1/3まで減少! 全国平均を下回るようになったのです。

延べ2万人の中高生に対し「性教育×キャリア教育プログラム」を実施してきたNPO法人ピルコンによると、受講後の効果として、単なる性知識の向上だけでなく、自分も相手も大切にしよう、という意識の芽生えが感じられるそうです。

性教育は、豊かな人生の礎に

とはいえ、いざ面と向かって「子どもに性教育を」と言われても、やっぱり恥ずかしさが大きく、どうしたらよいのか、戸惑います。

冒頭の読売新聞では、『「赤ちゃんってどうやってできるの?」にきちんと答える親になる!』という、3歳からの子どもを持つパパ・ママに向けた漫画を紹介。子どもからの直球質問にうろたえてしまうママたちを主人公にした漫画です。性に対し、なまじ知識を持っていない幼い子どもの方が、素直に話を聞くので正しい知識が身につき、トラブルが起きた際にも親に相談しやすくなる、というメリットが期待できるそうです。

「できれば避けたい……」と思ってしまう性に関する話。けれど、それは子どもの人生、命の在り方に大きく関係する問題です。豊かな愛情をもって他者と関わることの大切さを教えることこそ、性教育の根幹なのかもしれません。

参照
https://www.asahi.com/articles/ASN5D4J68N5DTLVB006.html
https://www.yomiuri.co.jp/life/20200605-OYT8T50091/

中村 亮子

中村 亮子 (なかむら・りょうこ)ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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