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少年法改正へ 18歳、19歳の犯罪厳罰化。実名報道も一部解禁か【気になる!  教育ニュース】
2020.09.01 by 中村 亮子 中村 亮子

連載:気になる! 教育ニュース 少年法改正へ 18歳、19歳の犯罪厳罰化。実名報道も一部解禁か【気になる! 教育ニュース】

第23回 少年法改正へ 18歳、19歳の犯罪 厳罰化 実名報道も一部解禁か

繰り返される少年犯罪と実名報道の問題

1989年、東京都足立区 女子高生コンクリート詰め殺人事件

1997年、神戸市須磨区 連続児童殺傷事件

1999年、山口県光市 母子殺害事件

未成年者が加害者である残虐事件として有名なこれらの事件。週刊誌などが加害少年の実名や顔写真を報道し、その可否が社会的な議論の的になってきました。

事件を起こした20歳未満の少年には少年法が適用されます。基本的にすべて家庭裁判所へ送致され、家裁の調査を経て、少年審判で少年院送致などを決定します。

少年法では刑罰より「健全な育成」が重視され、実名など本人と特定できる情報の報道は「更生」の観点から、罰則はないながらも禁止。実名報道の是非が問題になるのはこのためです。

しかし、この争いにも一定の解決が与えられるかもしれません。

2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられます。

それに伴い、少年法も適用年齢を18歳未満に引き下げ、18、19歳は大人と同じ扱いとすべきか否か。この問題を議論してきた法曹三者や学識経験者などからなる法制審議会の少年法部会が、8月6日、最終的な要綱案のたたき台となる骨子案を公表したのです。

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji14_00013.html

骨子案 18歳、19歳は別扱い

その主なポイントは

18、19歳の事件を18歳未満とも20歳以上とも別の扱いとする

その上で

・全事件をまず家裁に送致する現行の仕組みは維持

・原則逆送(検察官送致)事件に強制性交等や強盗などを追加

・保護処分に代わる新処分を創設。また、「ぐ犯(法律に触れないが将来犯罪を起こす恐れがある行為)」は対象としない

・実名など本人の特定につながる推知報道の禁止は逆送後の起訴段階で解除

但し、焦点の適用年齢は改正法案作成時に検討する、としました。

8月6日付朝日新聞デジタル版によれば、部会でもこの問題に関する賛否は厳しく拮抗。弁護士会や少年の立ち直りを支援してきた人たちなどは、「18、19歳はまだ成長途中。厳罰化や実名報道は少年の生きる世界を狭め、立ち直りの機会を奪う」と反対の立場。

一方、少年犯罪の遺族でつくる団体などは、「選挙権が与えられる以上、刑罰を受ける責任も自覚させるべき。犯罪抑止にもつながる」と適用年齢引き下げを求めました。

最終的に厳罰化や実名報道を認める一方、18、19歳の未成熟性を認め、完全な大人扱いはすべきでない、との折衷的な骨子案となったのです。

よりよい社会の実現 大きな視点を忘れずに

ふと、少年事件は凶悪化しているのだろうか?と気になり、平成30年度の犯罪白書を調べてみると、少年刑法犯の検挙数はむしろ減少傾向。8割を占めるのが万引きや自転車盗に代表される窃盗罪と(遺失物等)横領罪。また、凶悪犯の検挙数も増加傾向はみられないことがわかりました

http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/65/nfm/n65_2_3_1_1_1.html

凶悪な少年事件の報道に接し、「もし、被害者が自分の家族だったら」と想像することで遺族の無念に思いを致すと、本当にいたたまれなく、厳罰化や実名報道もやむなし、と感じます。被害者や遺族の保護も必要でしょう。

しかし、少年犯罪の大半は万引きや自転車盗である、と知ると、厳罰化だけで実態に沿ったきめ細かい対応ができるのか?また、実名報道の内容によっては少年だけでなく、その家族もより過酷な現実に置かれてしまうのでは?との危惧も覚えます。

部会は今後、詰めの協議を経て最終案をまとめ、政府は来年の通常国会に改正案提出をめざしています。ただ、刑罰は犯罪発生後のいわば出口の対策。この問題は、少年犯罪を減らし、それにより苦しむ人々を減らす。いかにして、安心して生活できる社会を実現するのか、という大きな流れの中で考えていきたい問題です。

参照
法務省 法制審議会-少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会資料
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji14_00013.html
平成30年版 犯罪白書 
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/65/nfm/n65_2_3_1_1_1.html
朝日新聞デジタル版 
https://www.asahi.com/articles/ASN865D8JN83UTIL04F.html

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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