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コロナで失われた授業時間 学校の挑戦【気になる!  教育ニュース】
2020.10.11 by 中村 亮子 中村 亮子

連載:気になる! 教育ニュース コロナで失われた授業時間 学校の挑戦【気になる! 教育ニュース】

第27回 コロナで失われた授業時間 学校の挑戦

授業時間の不足どう補うの?

我が家の次男が通う中学校では、10月に入り運動会の代替行事が行われました。とはいっても、学年別、2時間ずつの開催。密を避けるため、競技は、ほぼ走ることが中心。それでも、近隣の小・中学校では運動会を中止するところも多い中、開催にこぎつけたことには、親子ともども満足の声が多かったようです。

コロナ休校のしわ寄せで、教育現場は授業内容の見直し、再編を余儀なくされています。

「説明は授業で、問題演習は家で」という「こなす」ことが目的のつめ込み授業になっているのでは?

埋め合わせるためには、早期から塾が必要なのでは?

といった不安の声が周囲のママたちから聞こえてきます。

確かに、修学旅行や運動会など学校行事の中止、短縮された短い夏休み、土曜授業、7時間授業……。冬休みも短縮する学校が大半だと聞きます。そこまでしても、失われた時間を取り戻すことは難しいそう。

科目横断的な授業 豊かで効率的な学びに

そんな中、9月17日の読売新聞に掲載された福岡教育大学付属福岡小学校(福岡市)の取り組みは非常に示唆に富んでいます

文部科学省の「研究開発学校」の指定を受け、コロナ以前の2015年度からカリキュラムのスリム化を研究してきた、という同小。昨年度は、新学習指導要領での小学校1~6年生の標準授業時間数より、698時間を削減したのにも関わらず、学力は大幅アップ! どこにそんな秘訣があるのでしょう。

同小はまず、将来的に実用性の低いそろばん、作文などを外すことで学習内容を精選。次に各教科の重複を細かく検討し、複数の内容を一度の機会で学ぶ、などの工夫で従来14ある教科を7つに再編。

例えば、6年生の数学。「2つの古地図の3角形が同じ形であることをどう確かめるか?」というテーマで、比の利用、図形の拡大・縮小、面積、という3つの単元を同時並行で学習するのです。しかも江戸時代の古地図を使用!

また、テーマ学習、リレーション学習、フォーカス学習という3つの学びを中心に据え、道徳を中核として各教科を横断的に連携。子どもたちは、お互いや地域とも関わり合いながら、教科を超えた学びを得ることができるのです。

子どもたちに本当に身につけてほしい力とは

大幅に減った授業時間を埋め合わせるため、授業の「量より質」を追求することが必至です。前述の読売新聞掲載、上智大学教授の奈須正裕さんによると、子どもに「つけさせたい力」を学ぶ基準にすることがポイント。

基準が明確になれば、削減する内容、残す内容がはっきりします。息子の中学では「子どもの体力低下が顕著で、非常に心配な状態」だと先生方が強く感じたからこそ、運動会を体育の授業の一環のような形にして残したのです。

行き先を近場に変更しての修学旅行、距離を保つためフラフープを使用した体育の授業、オンラインでの学園祭開催。多くの学校が、コロナに対応した様々な工夫を模索しています。

学習の遅れの解消のみを優先すると、つめ込み学習にならざるを得ず、子どもの意欲は低下、教員も疲弊してしまう。子どもたちに「何を学ばせたいのか」を考え、そこを中心として授業内容を効率的に組みなおすことは、ひいては教育の理想を追求することともいえます。子どもと一緒に考えることで、主体的学習にもつながりそう。

コロナ禍を逆手にとり、教育のあるべき姿を模索し続ける。挑戦する学校に拍手を!

参照

読売新聞9月17日

https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/renaissance/20200916-OYT8T50115/

文部科学省・研究開発学校制度
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kenkyu/htm/08_news/1413824.htm

中村 亮子

中村 亮子ライター

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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