連載:気になる! 教育ニュース withコロナ時代 中学入試はどう変わるか?【気になる! 教育ニュース】
第28回 withコロナ時代 中学入試はどう変わるか?
説明会も相談会もオンライン
「休校期間中、勉強をやる子はやるのよ。でも、我が家は結局ゲーム。生活リズムも乱れて勉強をしなかったから、出遅れちゃって。第1志望は難しいかなあ」
小6の息子さんを持つ友人と話をしていた時のことです。
確かに我が家では、高校受験を終えた高1の息子が、勉強しません、夜も眠れません、という状況になり、受験生じゃなくてよかった……と、内心ほっとしたことを思い出しました。
東京都は9月30日、来年度の都内私立中学校入学者選抜実施要項を公表しましたが、本来この季節に目白押しの文化祭は多くの学校で中止。校内の雰囲気を直に感じる機会がなくなり、志望校選びの決め手はウェブ、と9月26日の読売新聞は報じています。
コロナの影響で、多くの私立中高一貫校で「オンライン学校説明会」や「ウェブ個別相談会」などが開催。各校とも、学校の魅力や生徒の生活を伝えるための工夫を凝らした取り組みがなされているようで「withコロナ時代・受験の新しい様式」となるのでしょうか。
出題範囲変更? 難関校は志願者減? 学校、受験生、それぞれの対応
東京・世田谷区の筑波大学付属駒場中学校は9月中旬、全4科目で出題範囲を見直す、とホームページで公表しました。このように、出題範囲を変更する中学は限定的のようですが、10月7日のNIKKEI STYLEによると、
・教室の収容人数を減らす・検温を実施する・保護者の待機場所をなくす・コロナ感染者は追試を実施する
など、のコロナ対策をとる学校は多いようです。ただし、不正への対応など、公平性を保つのが難しい、との理由で在宅でのオンライン入試を実施する学校は少数派のよう。
一方、受験生の志望校選びにもコロナの影響がみられるようです。
冒頭紹介した私の友人のように、
・休校中に十分な勉強ができず、難関校が敬遠される傾向がある
・長距離通学を避けるために自宅近くの学校を受験する
・外出機会を減らすため受験校の数を減らす
など。確かに、受験率の高い大都市圏のコロナの感染者数はなかなか減少しない上、受験の実施時期は、コロナとインフルエンザの同時流行も懸念されます。
今だからこそ、できることを工夫して
ワクチン開発も明確な目途は立たず、コロナ以前の状態には戻ることができない以上、コロナによる入試の変容は来年度だけにとどまる話ではないのでしょう。まさに入試も「withコロナ時代突入」といえるのかも。
けれど、私の友人はこんなことを言っていました。
「行きたい学校が近いこともあって、息子と一緒に学校の周辺をたまに散歩するの。そうすると、下校や部活動の様子が案外わかるのよ。生き生きと普段の雰囲気が伝わるから、モチベーションの維持に結構役立っているし、息子と二人で散歩するのも良い時間」
目からうろこ! できることが限定されているからこそ、工夫して「今できること」に取り組む。シンプルだけれど、前に進む大きな力があるんだ、と心に感じるものがありました。
志望校周辺の親子散歩。ぜひ、お勧めします!
参照
東京都 令和3年度 都内私立中学校入学者選抜実施要項
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/09/30/10.html
読売新聞・9月26日
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20200926-OYT1T50184/
筑波大学付属高等学校・令和3年度学力検査の出題範囲に関するお知らせ
NIKKEI STYLE・10月7日
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO64168760U0A920C2000001/