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第2回:世界でいちばん幸せなフィジーライフを疑似体験してみる

連載:世界でいちばん幸せな国フィジーの最「軽」量育児 第2回:世界でいちばん幸せなフィジーライフを疑似体験してみる

世界一幸福な国と言われるフィジーに暮らして15年目。本連載では「子育て」という部分にクローズアップしながらも、あますことなくフィジーの魅力や、幸せの秘訣もお伝えしていきます。


前回の記事では、フィジーの基本情報をメインでお伝えしました。ただ、それだけでは育児を含めたフィジーでの生活情景が浮かばないと思います。なので、今回の記事では、フィジーライフのイメージを掴んでいただくために、ある1日を切り取ってフィジーを疑似体験していただけたらと思います。

永崎家の「土曜日の1日」はこんな感じです。

朝6時頃、家の近くを走るサトウキビ列車(サトウキビを運搬する貨物列車)の「ファーーーン」という警笛音で目を覚まします。

部屋の壁掛け時計を見上げると3時10分!? フィジーで購入する時計は壊れやすく、もう何個買ったかわかりません。

私は5世帯が住む賃貸アパート(2階建て)の2階に、妻(日本人)と子供(6歳の息子と2歳の娘)の4人で住んでいます。

土曜日は週に2回あるゴミの回収日です。黒いゴミ袋を1つ持って階段を降りると、真下(1階)に住むフィジー人家族の子どもたち3人がベランダにいて「オハヨー!」と日本語で元気よく挨拶してきます。

ふくよかな母親も、ベランダで砂糖が4杯入った甘いコーヒーを飲みながら微笑んでいます。父親は携帯電話で誰かと話しています。あまりにも顔が大きいので、電話が小さく見えます。彼が話す時、通話口と口元が離れているので、電話はなぜかトランシーバーのように耳から離して使われています。

今日も、フィジーの幸せな1日のはじまりです。

アパートの門の前にゴミを出してから、向かいの一軒家のフィジー人家族のところに行きます。7歳の男の子と16歳の女の子が地面に落ちてあったマンゴーを拾って、楽しそうにキャッチボールをしています。

庭でケーンナイフ(サトウキビを刈るもの)を使ってココナッツの皮を剥いでいる彼らの父親に「僕の車は直りましたか?」と話しかけます。彼は車やエアコンなどの修理工をしており、昨日、私の車の修理をお願いしていましたがまだ時間がかかるとのこと。

「わかりました」と返事をし、男の子に今日の予定を尋ねると「家庭菜園の手入れをしたら、みんなでDVD を買い行くんだ」と。フィジーでは海賊版のDVDが1枚2フィジードル(約120円)で売られています。父親から「朝ごはん食べてく?」と聞かれますが、妻が朝食を準備してくれていたので「また今度」と断り、自宅に戻ります。

朝食後、紅茶を飲みつつのんびりして、息子と将棋を指して。お昼前になって、家族4人でマーケットに買い出しにいくことにしました。

今日は車がないので、ミニバスに乗って出発。ミニバスとは10人乗りの乗合タクシーのことで、レゲエミュージックが大音量でかかっている中、空いていた一番後ろの座席に4人で座ります。停めてほしいところでドライバーに合図。その方法は、コインで窓ガラスを「コンコンコンッ」と鳴らす、もしくは口をすぼめて「チューッ」という擬音を鳴らします。私は前者の手法で停めてもらいます。

新鮮な野菜や果物が並ぶマーケットに到着。するとさっそく娘を見て、買い物客やら売り子やらが集まってきます。

「あらー、かわいいね。何歳?」「名前は?」といろいろと聞いてきます。それから、娘の太ももやら頬っぺたやら手の甲やら、いろんな部位がキスまみれに。「子供たちはここで預かっといてあげるから、ゆっくり買い物してきていいよ」と言ってくれる人もいます。ありがたい申し出ですが丁寧に断り、買い物を開始。

しかし、移動するたび、売り子が変わるたびにいろいろと話しかけられるので、買い物に時間がかかります。

なんとか買い物を終え、健康のためにと徒歩で家路につくと、同僚やその家族、昔同居していた人、まったく知らない集団に話しかけられ、なかなか自宅にたどりつけません。

ようやく自宅に戻り、遅いランチを。食後にコーヒーを飲みつつぼんやり外を眺めているとスコールが降ってきました。窓越しに道路を見ていると、傘もささずにビショ濡れになり、笑い声をあげながら楽しそうに歩いているフィジーの大人たちが見えます。現地ではスコールは「レインシャワー」と呼ばれ、喜ばれています。

部屋の掃除をし、娘に絵本を読んだりしていると、もう夕方に。

外から肉が焼ける匂いがしてきたかと思うと、下に住む子どもたちが階段を上がってきて「庭でBBQ やってるからおいで」と招待してくれます。

私たちも食材持参で降りてみると、近隣の人たちも集まっていて、十数人くらいのフィジー人がいました。くだらないジョークで盛り上がっていて、「ギャーーハハハッ!」と笑い死にしそうになっている人もいます。

食事が終われば、カバ(フィジー人が大好きな飲み物)の時間です。大きな洗面器に入ったカバをココナッツの殻をコップにしてみんなで回し飲みします。おじいちゃんがギターで音を奏で、みんなでスタンドバイミーなどを歌いながら、夜は更けていきます。

空を見上げると天の川が見えます。軒下にはヤモリも見えます。

私たちは夜9時くらいに部屋に戻って寝ることにしました。ほかの人たちは深夜1時くらいまで歌ったり、笑い合ったりするのでしょう。そして明日は日曜日なので、キリスト教徒であるフィジー人は家族そろって正装して教会にいく日です。その時間まで、ゆっくり眠ることでしょう。

とまあこんな感じが、我が家における典型的な土曜日の過ごし方です。

この中にも幸せのヒントはたくさん隠れています。豊かな日本から来た私が、何もない南の島国フィジーで「幸せな生き方」についてこれほど多くのことを学ぶとは思ってもみませんでした。

力を抜いて生きるだけで、これほど穏やかな日々を過ごせるなんて。なんとなくフィジーの生活感が伝わったと思いますので、次回からは具体的なフィジー育児について触れていきたいと思います。

永崎裕麻

永崎裕麻ライター

大阪府生まれ。神戸大学経営学部卒業。二児の父。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズ校長(https://colors-fiji.jp/)。南の島のゆるい空気感を日本社会に届けるべく「南国ライフスタイルLABO」(https://peatix.com/group/7241168)というコミュニティーを運営。内閣府国際交流事業「世界青年の船2017」日本ナショナル・リーダー。2019年からはフィジー・デンマーク・日本の世界3拠点生活(トリプル・ライフ)を開始(現在はコロナで休止中)。100ヵ国を旅した経験を生かし、講演家やライターとしてフィジーから発信活動を続けている。著書:『世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論』(いろは出版)。amazon.co.jp/dp/4902097982

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