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第9回 「すべらない話」ではなく、「すべらせてくれない社会」

連載:世界でいちばん幸せな国フィジーの最「軽」量育児 第9回 「すべらない話」ではなく、「すべらせてくれない社会」

ダウンタウン松本人志さんの「すべらない話」というテレビ番組をご存知でしょうか? 話芸の達人たちが集まり、笑いのスペシャリストに囲まれた状態で、絶対にすべらない話を発表するものです。極限のプレッシャーの中で繰り出される珠玉のネタは、緊張と緩和によって爆笑を生み出していきます。

視聴者として見ている側は楽しいですけど、演者側のストレスはハンパないんだろうなと想像できます。おもしろくない話をすると「さむいヤツ……」という不名誉な烙印を押されて傷ついてしまいます。

一方、フィジーの場合、「すべらない話」をする猛者がいるわけではないです。でも、絶対にすべりません。なぜなら、どんなしょうもない話であっても、まわりがウケてくれるからです。「すべらせてくれない社会」がそこにはあります。

たとえば、ホテルの受付で「チェックイン、お願いします」と言うと、レセプションの人が「今日、ホテルは閉館ですよ」などと冗談をかましてきます。つまらないジョークです。でも、他の従業員たちはそれを聞いて大笑いしてたりします。

フィジー社会は常に「冗談」が飛び交っています。そのクオリティーはどうであれ、笑顔の花がたくさん咲いています。フィジー流にいえば、「冗談がおもしろいから笑うんじゃない。冗談を言ったから笑うんだ」ということです。だからフィジーでは「さむい……」という現象は発生しません。

思い起こせば、今から15年前(2007年)、僕がフィジーに移住するキッカケもそれでした。

当時、移住先を探す世界一周の旅(2年間)を終え、旅の集大成として、日本の内閣府が主催する国際交流事業「世界青年の船」に参加。その船上で僕は初めてフィジー人と出会うことに。

この事業は、世界各国の若者たちが約250名参加し、ともに数カ国を巡る船旅です。

僕が参加した第19回は、日本以外の参加国は13カ国。オーストラリア、カナダ、イギリス、ロシア、チリ、エジプト、メキシコ、オマーン、イエメン、セーシェル、トンガ、ソロモン諸島、そしてフィジーでした。

まず参加者たちはAからNまでの14グループ(1グループあたり20人弱)に分けられ、そのまま自己紹介が始まりました。自己紹介で何を話すのか、考える間もなく僕の順番がまわってきました。明るいキャラクターを印象づけたいと思っていましたが、そもそも人前で話すのが苦手で、かなり緊張していたせいもあり、口から出てきたのは……。

「この前、4年付き合った彼女と別れたんです」

この一言。なぜ初対面で、たくさんの外国人を前にしてそんな話題を選んだのか、自分でも不思議でなりません。結果、それまで温かかった場の空気が一気に凍りつきそうになりました。その瞬間です。

「ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

1人のフィジー人女性がいきなり大爆笑しはじめたのです。すると、その高らかな笑いに釣られてほかの参加者たちからも笑いが起きました。おかげで場の空気が最悪の状態になることはなく、なごやかな時間をキープすることができました。

みんなの自己紹介タイムが終わり、休憩時間になった時、僕はそのフィジー人女性に話しかけました。

「僕の失恋の話、何がそんなにおもしろかったのですか?」。

そのフィジー人女性は言いました。

「ん? まったくおもしろくないで。ただ、悲しい時こそ笑っとかんとな。ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」

僕の身体を稲妻が駆け抜けました。悲しい時こそ笑えばいい、という哲学に感銘を受けたのではなく、その哲学を自然に実行できていることに対して驚いたのです。

船には合計10人のフィジー人が乗っており、その日から僕はなるべく一緒に彼女らと時間を過ごすことにし、フィジーの魅力の虜になり、下船後すぐにフィジーに移住しました。

話し手の技(笑いをとる)を磨く日本と、聞き手の技(笑いまくる)を磨くフィジー。お互いにいいところがあると思いますが、ユーモアセンスの低い僕にとってフィジー社会はとてもありがたいです。

<参加者募集『ふたり会議 〜損得より好き嫌い〜』>

「ふたり会議」とは、1 on 1のオンライン・セッションです。
90分間、僕とマンツーマンで育児や幸せなど、ご希望のテーマについて一緒に掘り下げていきます。人生戦略会議として使っていただいてもいいですし、コーチングや悩み相談、自己分析、ただの雑談でもOKです。

2014年11月26日、僕はコーチとの「ふたり会議」を始めました。いま思えば、あれが人生のターニングポイントでした。

『人生、このままでいいのか?』

ふとしたときによぎる疑問。でも、ひとり会議は難しい。人は弱くて、サボるから。
立ち止まって考えるには「伴走者」が必要だと知っていた。
でも、それすらもサボっていた。
重い腰を上げてコーチを探した。
そして、僕の人生は停滞を脱出した。

そんな体験を味わってもらうべく、「ふたり会議」をはじめます。この15年間、人生のターニングポイントにある留学生たちと対話し続けてきました。
『思考整理人』として、皆さんにとってのレバレッジポイントやボトルネックを探求し、人生の一番ピンを発見していきます。

きっかけになることは必ず「ヘンなこと」です。
今回の企画がそうであることを願って…。
Restart Your Life !

↓「ふたり会議」へのお申し込みはこちらから。ぜひのぞいてみてください☆

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永崎裕麻

永崎裕麻ライター

大阪府生まれ。神戸大学経営学部卒業。二児の父。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズ校長(https://colors-fiji.jp/)。南の島のゆるい空気感を日本社会に届けるべく「南国ライフスタイルLABO」(https://peatix.com/group/7241168)というコミュニティーを運営。内閣府国際交流事業「世界青年の船2017」日本ナショナル・リーダー。2019年からはフィジー・デンマーク・日本の世界3拠点生活(トリプル・ライフ)を開始(現在はコロナで休止中)。100ヵ国を旅した経験を生かし、講演家やライターとしてフィジーから発信活動を続けている。著書:『世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論』(いろは出版)。amazon.co.jp/dp/4902097982

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