
連載:山本祐布子の「子どものいる風景」 山本祐布子の「子どものいる風景」 嬉しい!って、どんな色? 目に見えないものを感じるゲーム
Vol.8 どんな色?

お絵かき会を幼稚園のお友達とはじめて幾回を重ね、今ではちょっとした恒例行事のようになってしまいました。
毎回テーマを考えて準備していくのですが、これがけっこう悩みます。むずかしすぎずに楽しめて、でも今までに出会ったことのない、ちょっとした新鮮なアイデアで、みんなの興味をひくことができるようなことはないかな……。
今回は、「目に見えないものを感じよう」
一体どんなこと!?
まずは、みんなの注意を一気にひくために、はじめのインパクトを考えます。たくさんの色の紙を丸く切り抜いてカードにし、みんなの前に並べます。色とりどりのカードにみんなはなにがはじまるの……? とちょっと楽しみ、ちょっと不安。
このゲームのルールは一つだけ。頭では考えない。
嬉しい!ってどんな色?
私が質問をします。
「嬉しい!ってどんな色?」
子どもたちはそのたくさんの色の中から、自分にぴったりな色を探し当ててとります。オレンジ、ピンク、黄色などが子どもの手にあります。
「怒った!ってどんな色?」
子どもたちは真剣な顔で、素早く色のカードを探します。赤。その逆に、深緑をとる子も。同じ言葉、同じ気持ちでも、人それぞれで色が違う。面白いね。
質問は続きます。
「お友達とけんかをしたよ。でも、あやまりたいな。仲直り、したいな。」子どもたちはええー?…… と言いながら、カードをひきます。慣れてきた様子。薄紫、黄緑、水色、、それぞれに違う色が選ばれました。
恥ずかしい!?は? 三角は?四角は?
質問をリズムよく出して、子どもたちの心の色を引き出します。
体で理解している「愛」のこと
最後の質問。
「愛」
なにも説明はいりませんでした。みんなはカードをとります。
柔らかなピンク、鮮やかなピンク、オレンジ。赤。
愛、そのものの言葉の意味なんて、なかなか子どもと話す機会はありませんよね。でも、みんなこうして、体で愛、ということを、理解していたんだ。そう思うと嬉しくなってしまいました。
そんなこんなで、その後はいろんな音を出してそれを絵に描いてみたり、はたまた音楽を流してそれに合わせて絵を描いてみたりと、子どもたちは今までにしたこともないようなことをさせられるので、すこし戸惑いながらだけど、なんとか楽しんでくれたみたい。
5歳の子どもたち。生まれてから5年。もう、いろんなことをこうして感じています。理解しています。もっと、もっと、大人たちが呼びかけたら、それ以上のことを子どもたちは答えてくれるかもしれません。
子どもたちの未来が、愛の色でいっぱいでありますように。