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大きな大きな庭。新しい生活が始まりました
2017.04.24 by 山本 祐布子 山本 祐布子

連載:山本祐布子の「子どものいる風景」 山本祐布子の「子どものいる風景」 大きな大きな庭。新しい生活が始まりました

この連載は……
イラストレーター・山本祐布子さんのエッセイ。ふたりのお子さんと暮らす、家族の日々を綴ります。

vol.16 庭の家族

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朝から降り続いた激しい雨がやみ、風が木々を揺らし、鳥があちこちでさえずっています。
大きな大きな庭の東屋に、ぽつんと私は1人でいます。

ここは、以前町営の薬草植物園でした。ここを、縁あって主人の新事業を興すために借受け、東京での暮らしに終わりを告げてここ千葉の大多喜に移り住み、まだ一ヶ月もたっていません。

その間に、引っ越しがあり、娘たちの入園も入学もあり、慣れない町での暮らしもはじまり、たくさんの来客もあり、目まぐるしく日々が過ぎていきました。

朝ばたばたと娘たちを送り出すと、はたと。車の後ろにいつもいつも乗っていた、次女の姿がありません。

今送り出したのだから当たり前なのですが、今まで、なにがあってもずっと一緒だった子どもが、ここにいない。なんだか忘れ物をしてしまったようなどきっとした感情が、いまだ残っています。寂しいような。嬉しいような。

それとは裏腹に、我が家の子どもたちは新しい環境に柔軟です。学校でも保育園でもすぐに楽しむすべを得て、友達も見つけ、喜々として、今日あったことを話してくれます。

新しいランドセルももう早速ぴかぴかの教科書で重たいったら。

そしてこの家を、一番楽しんでいるのは子どもたちです。

花を好きなだけ摘み、ちょうちょをおいかけ、きれいな石を見つけ、かえるを見つけ、自転車で庭の中を走り回ります。ほっておくと晴れた空の下に出ていき、信じられないくらいの長い時間、庭で遊んでいます。

家族4人で庭にいただけ、の特別で当たり前の週末

とある週末の一日。

今日はパパがピザを焼いてくれる!! 朝から準備にとりかかります。

まずは市場に材料の調達。粉を捏ねたら寝かせている間に、山の向こうで月に一度しか開かないチーズ屋さんをめがけて車を走らせます。

庭に戻ってきたら、ハーブをたくさん摘みます。グリルに炭を起こすために、枝や枯れ草を集めてきます。子どもたちはめいっぱい、パパの手伝いをします。

太陽が少しづつ、傾いていきます。炭を囲み、山に囲まれ、木々の輪郭が濃くなってくる頃にやっと焼けた熱々のピザを頬張った時の美味しさといったら。

家族4人だけ、たった4人だけの一日。庭にいただけです。

これが私たちの特別な週末でもあり、これからの、当たり前の生活でもある。

この場所で、地面から出てきたものを食べ、山の空気をいっぱい吸って、これからここで子どもたち、そして私たちはどういう風に成長してゆけるのか。

とても楽しみです。



「子どものいる風景」これまでの連載一覧

山本 祐布子

山本 祐布子イラストレーター

切り絵作品、ドローイング作品を中心に、雑誌、装丁はもちろん広告・エディトリアル・プロダクトと、ジャンルを超えた活動を行う。ブログやインスタグラムでは、2人の娘たちの姿や、日々の小さな出来事等を綴っている。夫の蒸留家修行を見守るため、2015年にドイツ滞在。現在は千葉在住。 yukoyamamoto.jpinstagram.com/yukoyamamotomitosaya

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