
連載:山本祐布子の「子どものいる風景」 山本祐布子の「子どものいる風景」 その湾曲した腕のラインまで、ふたりはそっくり
この連載は……
イラストレーター・山本祐布子さんのエッセイ。ふたりのお子さんと暮らす、家族の日々を綴ります。
vol.18 おやこのそっくりさん

ある週末、我が家に各方面からそれぞれ友人たちが遊びにやってきて、大賑わいでした。
その友人それぞれに子どもがついてくるのでそれはもうなんともいえない賑やかさ。
一つの空間に、数家族のおやこの姿が見ることができ、なんだかおやこって面白いものだなあ。。。
と、ばたばたと忙しく働きながら、ついついそれぞれの親子を観察、、、、。
2歳になって間もない可愛い可愛い男の子。お話をはじめ、パパやママに一生懸命、言葉にならない言葉で話しかけています。
庭を散歩に行こうと誘い、皆で歩いていたところ、その子は、なんとも神妙な面持ちで両腕を組み、少し背をかがめたような姿で歩いています。ふと、後ろのパパを見ると、全く同じ姿で歩いているではありませんか!
おやこだなあ。
ある朝、長女を学校へ送り出す慌ただしい朝。パパがいつも送り出す役で、朝ごはんを口に入れるやいなや、さあ歯磨きして、早く行きなさい!!
二人が並んで歯磨きをしています。窓をぼんやりと見つめ、シンクには、歯磨きを持たない方の手の指先をちょんとつけ、その湾曲した腕のラインまで、ふたりはそっくり。
おやこ、だなああ。
そんな無意識レベルの「おやこのそっくりさん」だけではありません。子どもたちは、親の素行の本当にささいなところも見てないようで見て、聞いて、それを自分自身の中にとりこんでしまいます。
面白いような、ちょっとこわいような。。
4歳になる次女を車から下ろそうとドアを開け、さあ降りといで。とシートベルトをとります。
次女は、半笑い風の顔で
「かんっぜんに、靴ぬげてますけど」
いやだなあ。わたし、こんな風にしてる時あるのかなあ。。
気をつけなきゃ。おやの言葉使い、子どもは見てます、聞いてます。
6歳の長女はこの場所に引っ越しをしてから、まるで植物の博士のようで、私の知らない植物まで名前を覚え、
「ああ、それは花の部分が有毒だから、気をつけて」などと言う時の表情や、
何気なくハーブの先っぽをちりっとちぎって、匂いを嗅ぐ姿は、まるでパパにそっくり。
こども二人と庭を散歩します。
長女は植物図鑑を小脇にかかえ、知らない植物を図鑑のページの中に探し出そうと真面目顔。
そのすぐ横で、次女はザクロの真っ赤な花をちぎっては、花粉をほっぺたにこすりつけてお化粧の真似。
ずっと一緒にいるのにこの違い。
おやとこ、なんだかこの交錯感。面白いな。
ふふふといつも笑いながら、そっくりさんどうし、仲良くやっていきましょう。