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Column イラストエッセイ

家族というつっかえ棒で、なんとか私は立ち上がる【山本祐布子の「子どものいる風景」】

2018.01.30

この連載は……
イラストレーター・山本祐布子さんのエッセイ。ふたりのお子さんと暮らす、家族の日々を綴ります。

vol.24 家族

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さんさんと日差しが降り注ぐ、ある休日の寒い朝。

私はいつもどおりに朝は忙しい。洗濯に掃除、片付けに洗いもの、あくせくと動き回る私のそばには……

休みを思い切り満喫しようとしている二人の楽しそうな笑顔です。

「あーーー!今日は休みだーー!学校(保育園)に行かなくていいんだーーー!」
と幸せを噛み締めながらわかりやすく、だらだらとしています。

リビングの暖かい場所を占拠し、パジャマのまま、本を読んだりお絵描きをしたりしています。

予定のない日なんかこの人達は部屋の中からびくともいたしません。

無理やりどこかに出かけようと提案しても、

「やだー。ずっとお家にいたいー」と、反対です。私が買い物に出かけると言っても、

「行かない-。お留守番してるー」

これです。

二人は、ずーーーーっと、一緒です。平日に別れていた時間をまるで埋めるかのごとく、
二人は、ずーーーーっと、一緒です。

私が掃除をしている最中、ソファに座って大声でドラえもんの歌を歌っています。

次に私が通り過ぎる時は二人は小さな警察官、なにやら事件を探して大きなカバンを持って廊下をうろうろ。紙のトランシーバーで連絡をとりあっている様子。

次に私が台所で用事をしていると部屋からはなにやらこそこそと話している声。時々ぎゃははー! なんて笑い声まで聞こえてきます。そっとのぞくと、暖かい窓際のソファに二人並んで座って、ただただ、おしゃべりしている。まるでひなたぼっこをしている二匹の小猿。

机に並んで、ひたすら、絵を描いている。手紙を書いては、いちいち私やパパに届けにくる。

二人はずっと、一緒。私もその衛星のように、近くをうろうろ。
二人の話し声に、くすくすと笑ったりして。

もちろん、喧嘩もします。

テレビのリモコンの取り合いや、ぬいぐるみの取り合い、といったささいなこと。
叫び合い、泣きわめく。
涙をだらだら流しては、私にうったえてくる。

小さなリビングの中に、対角線に離れて二人は座る。
机に座った姉の目の前の紙には、
「さやちゃんのバカチン」
妹の数々の汚い悪口が、習いたてのきれいな字で書き殴られています。
あらあら。

何分かほっておくと、リビングから笑い声が。ふと見ると、またぴったりと寄り添って座り、テレビを見ています。

毎日、こんなことの繰り返しです。

姉妹、パパ、ママ。いつも、こんなことの繰り返し。小さな部屋の中で、楽しかったり、怒ったり、離れたり、くっついたり。毎日毎日、このメンバーってところは変わらない。

この一年で、大小含めて引っ越しは4回。入学、入園。新しい環境で目まぐるしく生活が変わっていった。人間関係、仕事、知らない場所、知らないこと、洗濯機も変わった、車も台所も変わった。

時々、めまいがする。もう、対応しきれないと、投げ出したくなる。ため息が、連発する。

だけど、いつも私のそばには、いつもの相変わらずのメンバーがいる。そこだけは、いつもいつも変わらない。

そして時々呆れて笑えてきます。
私たち、ずーーーと一緒だなあ。

家族というつっかえ棒で、なんとか私は立ち上がり、また、がんばれるのでありました。

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山本 祐布子(やまもと・ゆうこ)

イラストレーター。切り絵作品、ドローイング作品を中心に、雑誌、装丁はもちろん広告・エディトリアル・プロダクトと、ジャンルを超えた活動を行う。ブログやインスタグラムでは、2人の娘たちの姿や、日々の小さな出来事等を綴っている。夫の蒸留家修行を見守るため、2015年にドイツ滞在。現在は千葉在住。 yukoyamamoto.jp https://www.instagram.com/yukoyamamotomitosaya/



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