連載:山本祐布子の「子どものいる風景」 私が子どもたちの絵を描くようになった理由【山本祐布子の「子どものいる風景」】
この連載は……
イラストレーター・山本祐布子さんのエッセイ。ふたりのお子さんと暮らす、家族の日々を綴ります。
vol.27 子どもの絵
私が子どもたちの絵を描くようになったのは、長女を産んで間もなくの頃、イラストのお仕事にもなかなか専念できず、子育てに、赤ちゃんに、体も心も夢中になっていたころでした。
ベッドに寝転がっているみーちゃん。肌着にくるまれて、可愛い寝間着を来て、ご機嫌よく眠っている。その様子をどうやったら記憶に残しておけるかな。と。答えはすぐに出ました。私には、絵がある。
最初は、それまでの私らしく、来ている服の可愛さ、色や形、可愛い赤ちゃんの身の回りのもの。そんなことに気をとられていたように思います。なにせはじめての子育てですから、たくさんの可愛いものに、私もたくさん憧れていたから。
だけど、次第に子どもそのものの動きや可愛い腕のぷくぷく、大きなお尻。顔の表情。しでかすいたずらの面白さ。
「わ~! これ絵にしたら可愛いな」
と、子どもの成長とともに、私も描くことで新しい世界を切り開いていくきっかけをつかんでいきました。
なかなかスケッチのようにその場で描くことはむずかしいです。頭のすみにストックしておき、私のちょっとした誇張とともに絵にすると、その一つ一つの単純な線が、その時の子どもの様子をくっきりと捉えていくようで、楽しい作業でもありました。
それを自分のブログやウェブサイトの中の一つのカテゴリーとして並べてのせていると、だんだん周りの人から「子どもの絵が可愛いですよね!」と言われるように。
さらに、子どもに会うたびに、「似てるよねーー!」と楽しい笑いで盛り上がることが多くなってきました。
二人目のさーちゃんも生まれると、その描き分けが課題に(笑)
でも、こんなに似ているように見える二人でも、やっぱりそれぞれの特徴や形が絶妙に違っていて、同じ時期の様子を比べても、二人やっぱり、それぞれの個性が絵に現れて面白いのです。
そうこうしているうちに二人も大きくなって、今までにたくさんの「描きたい」瞬間がありましたが、忙しすぎてなかなか形にできないことのほうが多いのが今の現状。
でも、私の中で「描きたい」というアンテナがあると、不思議と子どもをもっと、面白がって、フォーカスして見ている自分がいることに気づきます。たとえ、絵にならなくても、そのアンテナをはっていれば、子どもってたくさんたくさん、数え切れないほどの面白い瞬間を見せてくれるのです。
このことがきっかけで、昨年こぐま社から『ママのて』という絵本を出版させていただきました。
私のこどもたちの絵を気に入ってくれた編集者の方から声をかけていただき、約一年も時間をかけて「目立たないけど、ずっと、時代が変わっても、良い絵本」にしましょうと何度も何度も描き直し、考え直し、話し合い、作った大切な絵本です。
私がはじめた小さな活動に、小さな芽が出たような出来事です。
そんな私は、またなにかのきっかけで形にならないものかと、子どもの動向を日々見張っているところです(笑)
「ママ!見て!」
「ママ!見て!」
この言葉を一日のうちに何度なげかけられ、何度私は頭のメモを開いて駆け寄ることでしょう。
なかなかヒットはあれども大ヒットにならず、苦戦しているところではありますが、最近大笑いした出来事を最後に。
さーちゃん最近は保育園でお昼寝するもので、なかなか夜に早く寝付けなくなってきています。
ベッドに入ったときのテンションの高さにお姉ちゃんも私も少々困り気味。
大騒ぎのさーちゃんに「うるさいからテンションさげて!」と言うと、「ちょっとまってね! テンションのネジさげるから」となにやらもぞもぞ。
見るとそのテンションのネジとやら、お尻に設置されいて、お尻をくりくりくりくり、ネジをしめているではないですか。みんなで大笑い。
面白いなあ。メモメモ。
しかし……、私の作風が変わってしまいそうですね。