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Column イラストエッセイ

整理します! 「みとちゃんとさやちゃんの宝物」たちのゆくえは……?【山本祐布子の「子どものいる風景」】

2018.11.30

この連載は……
イラストレーター・山本祐布子さんのエッセイ。ふたりのお子さんと暮らす、家族の日々を綴ります。

vol.33 捨てられない

yamamotoyuko20181128

今日はお客さんがやってくる。
リビングでご飯を作って、みんなが2階にあがってやってくる。。。。

子ども部屋にしている奥のベッドルームの扉をばたん!とわたしは閉める。

忘れてあけたままにしてお客さんが、「ここが子ども部屋ですか?」と聞いてくると、

「いえ、まあ、仮りなんでけどねえ。ごちゃごちゃでいやんなっちゃいます。。!」

などと、もごもごとしたことを言い、すいませんね。などと言ってまた扉をばたん。と閉める。

できれば見られたくない。見せたくない。

わたしたちの住居は、二年たった今もまだ改装が終わっていません。
子ども部屋というきちんとした部屋も今はなく、奥の部屋のかたすみのベッドの横、当初から置かれたままの机をふたつならべて、そこに子どもの持ち物を所在なく置いているという状況でして。

子どものものというのは、どうしてこんなにも、増殖していくのでしょう。

本に雑誌、ノートに鉛筆クレヨンにペン。ぬいぐるみにボードゲーム。落書きの紙の山。。。。。

日々の忙しい中で、そのすさまじい景色を見ては、(改装が終わったらきれいにしよう。。。)と目をそむけてきました。

そして、こどもたちは、次々に「自分たちの場所」というものを作りたがります。これも恐ろしい増殖現象。

小さな机をずるずるとひっぱってきてはそこに文房具を並べて廊下に勉強部屋を作る。
大きなダンボールが届いた日には、それに窓をつけて、仲間のぬいぐるみをを持ち込んで「みとちゃんとさやちゃんのお家」にする。

驚いたのは、晴れたある日、建物の軒下に机を並べ、画材道具を広げてそこで工作をしているではないですか!!みとちゃんにいたっては、トンカチとのこぎりで、そこに座るための椅子のようなものまで作りはじめて。。。。

とまあ、自由です。自由すぎます。おいついていけません。

この数年の間に、何千回「ここ片付けなさい!」と繰り返してきたことでしょう。
このむなしい私の警句も、この自由な人たちには、届いてはくれないのでしょうか。。。。涙

ある日。私に雷、電撃が落ちました(笑)

二階の改装をするためにいったん今あるものを一階に移動させなければならない。というミッションも私にはありました。そして、なにがなんでも、このごちゃごちゃしたものを、とにかく、目にしたくない! 下にただただ降ろせばごちゃごちゃが下に降りるだけ。

整理します。

こういうときの自分は、我ながらけっこう怖いのです。

引き出しをマルサのごとくすべて出し、奥にたまったこまごました「みとちゃんとさやちゃんの宝物」たちの要不要を瞬時に判断、燃やせるゴミ袋と不燃ごみ袋ふたつを掴み、その中にすばやく放り込んでいきます。

その勢いには、もはや娘たちも追いつくことはできません。こっそり捨てられては困るものを救い上げる姿も目に入りますが、もう、迷いを持ってはならぬと一心不乱に片付けます。

階段を登ったり降りたり、登ったり降りたり。息も切れ切れ頭には血がのぼり、話しかけたりできないくらいの様相です。

「燃やせるゴミ」というものは我が家では、ある程度の量ですと家の庭先にある焼却炉で燃やします。

むんずと掴んだそのゴミ袋から、焼却炉で燃える火の中に、トングでそのものたちを入れてゆきます。

ん?

あれ?

これは。。。。

トングでいったんつかんだものの、

見えてくる、懐かしいこどもたちの筆致の紙。

これ、やっぱりとっておこう。

その紙たちは、やがて束になっていきます。

やってきた猫が自分にしいてくれた座布団かと思い、その上に鎮座。
猫をどけて、少し泥がついてしまったお絵かきの紙たちをかかえて、私は家にもどりました。

そう、こういう時にこまるのは、「お絵かき」の作品たちです。ふたりともお絵かきが大好き、A4のコピー用紙に競うようにお絵かきをしては「見てみてー!」と見せてきてくれます。
それがたまりにたまってもうものすごい数に。。。。。!

小さい頃はなんだかわからないような乱れた線が可愛らしく、それがだんだん形になってきて、顔ができて、髪型ができて、背景ができて、、、、。
文字も、どんどんうまくなっていく様子がたまった紙の累積でわかります。

きっと、こういうささいなもの、捨ててしまったら、きっと後になって後悔するでしょう。

薬草園の備品で大量に残っていたクリアファイルに、一枚一枚作品をいれていくと、二人分で4冊にもなりました。

そうそう、こういう「場所」があれば、またここに、いれていけばいいですね。

たくさんのものたちだって、「帰る場所」を作れば、そこにもどせば必ずもとに戻る。
こういうことを、教えたいけど、どれだけわかってくれているのでしょうか。
まずは、我がふりなおすという言葉もありますし。
日々、気持ちのよいことを探り、気持ちがよくなかったら、どうしたらよいだろう。
そんなふうに感じながらいたいものです。

子ども部屋の計画はまだまだおあずけですが、すこし気持ちはすっきりしました。

お家作りの道は、まだまだ険しいようです。。。

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山本 祐布子(やまもと・ゆうこ)

イラストレーター。切り絵作品、ドローイング作品を中心に、雑誌、装丁はもちろん広告・エディトリアル・プロダクトと、ジャンルを超えた活動を行う。ブログやインスタグラムでは、2人の娘たちの姿や、日々の小さな出来事等を綴っている。夫の蒸留家修行を見守るため、2015年にドイツ滞在。現在は千葉在住。 yukoyamamoto.jp https://www.instagram.com/yukoyamamotomitosaya/



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