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Column 山本祐布子の「子どものいる風景」

子どもとお金。「アイス屋さん」で初めてお金をもらう経験をした日【山本祐布子の「子どものいる風景」】

2019.05.24

この連載は……
イラストレーター・山本祐布子さんのエッセイ。ふたりのお子さんと暮らす、家族の日々を綴ります。

vol.37 子どもとお金のはなし

子どもとお金のはなし

昨今は世の中がキャッシュレス化して、お金に触れる機会が減ってきました。
今の子供はお金っていう物質的な概念も、なくなりつつなるなんて話も聞きます。
しかし、我が家のこどもたちは、違います。
お金が大好き。お金に興味を持ちまくりです。
言葉が荒いようですが、本当にそうですから、しょうがありません。

お年玉でいただいた小銭やお札。これを、事あるごとに貯金箱からじゃらじゃらと全部出し、お金の種類ごとに並べて数えます。しかも、何度も。何度も。お小遣いも今年からはじまり、月初めに小銭をパパからもらったら、お小遣い帳にしっかり書きつけます。
クロアチアから一ヶ月インターンとして来ていた若者カップルが、二人にコインをくれました。
クロアチアのコインは、動物や植物が描かれたものとしても可愛らしいコインで、目を輝かせて
受け取り、またそれを、宝物のように並べては、2つの顔をくっつけて眺めていました。

図書館でお金にまつわる本なんかを借り出したときには、わたしもさすがに、むむむ、この方たちは、本当にお金が好きなんだな。と。「お金の使い方」「銀行のひみつ」「クレジットカードのひみつ」。。。。むむむ???
おねえちゃんのみーちゃんは、雑誌ブルータスの「お金の答え」特集にパパが出たことから、この号を穴があくほど読み込んでいます。夜眠りにおちたみーちゃんの枕元には、最新号のお金特集のブルータスが・・・・おい!とつっこみたくなります。

ところで私たちの住む場所では、月に一度お客様にたくさん来ていただくイベントを行っていて、その中ではお酒を売ったり、お茶を売ったり、お庭を巡るツアーをしたりといろんな催しもやっていて、毎月子どもたちもなにかしらの「お店」を考えて、
作っていました。たとえば、あみだくじやさん、アイロンビーズやさん、占いごっこやさん、絵やさんなどなど。
だけど、それまでは、お金はいただいていませんでした。
次にやってくるイベントの日。みーちゃんは「アイス屋さんをする」と言います。そして、この時ばかりは、いよいよ、お金をもらうと言うのです。
ただ、わたしはこの日はたくさんの人のための食事を作らなくてはいけないし、絶対に手伝えないよ。自分で全部、できるの?
うんうん、できるできる。
うーん、ちょっと頼りないけど。。。。やる気はあるみたい。それがやっと、イベントの二日前ですから、ちょっと心配な私。

スーパーで好みのジュースを選びます。
私が必死で肉と格闘している隣で、ぶつぶつ言いながら同じテーブルでアイスの準備を始めるみーちゃん。
横目で見ていてもなんだかちょっと危なっかしい。。。。ゆっくり、ゆっくり、マイペースでアイスの型にジュースを入れていきます。30個分できたら、じゃあ、あとはお願いねー!と飛び出していってしまった。
イベント当日、私が必死で芋と格闘している隣で、アイスの型からアイスをはずす作業。固くてなかなか抜けません。
すこし手伝ってあげるとなんとか出せて、それを、一つ一つ、くっつかないように切ったワックスペーパーを巻き付けていきます。ひとつひとつ、ゆっくり、ゆっくり。私が走り回って戻ってくると、もうキッチンにみーちゃんの姿はありません。
冷凍庫を見ると、きれいにバットに並べたアイスが準備されています。おー、やったねえ。

イベントが始まり、いつものように、目がまわるような忙しさで時間が過ぎます。
みーちゃんは、いつの間にか、私の知らないうちにパパに手伝ってもらってアイス屋さんをやったみたいです。
どうやら、行列ができて、あっという間に賞味24個のアイスは、売り切れたそうです。
お金もいただいた模様。売り切れた時は、良い大人がまじでがっかりしていたことなどを後から聞きました。
稼いだお金は、妹と手伝ってくれたお友達にもあげたことも。
初めての「お仕事」でしたね。

イベントが終わり、みんな同じくくったくたでしたが、みーちゃんも同じくくったくた。たくさん遊んだからだけど、
でも、アイスの準備から売り切れまで、きっとみーちゃんなりにテンションを保ってやっていたに違いありません。
それが、彼女の責任でしたから。
布団に潜り込んだみーちゃんに、
「今日はがんばったね、えらかった」
と声をかけると、途端に目が閉じ、すやすやと眠ってしまった。

お金をもらうことは大変なことです。
でも、良い経験をしたのかな、と、思います。
アイスを買ってくれた人に感謝。

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山本 祐布子(やまもと・ゆうこ)

イラストレーター。切り絵作品、ドローイング作品を中心に、雑誌、装丁はもちろん広告・エディトリアル・プロダクトと、ジャンルを超えた活動を行う。ブログやインスタグラムでは、2人の娘たちの姿や、日々の小さな出来事等を綴っている。夫の蒸留家修行を見守るため、2015年にドイツ滞在。現在は千葉在住。 yukoyamamoto.jp https://www.instagram.com/yukoyamamotomitosaya/



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