働くママのウェブマガジン

Column 山本祐布子の「子どものいる風景」

我が娘からそのような言葉がでるだなんて…がんばれわたし!苦手なお弁当作り【山本祐布子の「子どものいる風景」】

2019.06.24

この連載は……
イラストレーター・山本祐布子さんのエッセイ。ふたりのお子さんと暮らす、家族の日々を綴ります。

vol.38 涙のお弁当

涙のお弁当

わたしはどうやら、お弁当を作るのが苦手なようである。
料理は好きだし、毎日家族や友人のために作って
美味しいと言われることが喜びでもあり、
毎日せっせと台所に立つわたしですが、
お弁当となると、どうも力を発揮できないということが、最近になってはっきりとしてきた。

長女が幼稚園の頃は、毎日お弁当を作っていました。
いわゆる冷凍食品や出来合いのものは、
使わない主義であったけど、それに負けないレパートリーもさっぱりなかったので、2日おきに入れる卵焼き、ゆで卵、
ピクルス、プチトマト(はおかずでは、ない)
茹でたブロッコリー、と、まるで工夫や挑戦と言った、料理の醍醐味が完全に失われてしまうのだ。

なぜかと考えると、それは、
「子供が、単独で、食べる」ものだからかな、
と、思う。
子供には、わかりにくいかな、これでは、食べにくいかな、多すぎるかな、
いつもの料理の何倍も、心配ごとが浮かんでしまう。頑張って作ったって、
美味しくないなんて言われたら、、、
大袈裟だけど、いつもびくびくしてしまう。
自信がなくなってしまうのです。

長女のみーちゃんは、何も言わなかった。
毎日かわりばえしないお弁当を、毎日空っぽにしてきてくれた。
これが、わたしのお弁当への鍛錬?!を鈍らせた。
半年間滞在したドイツでお世話になった幼稚園では、お昼の前に軽食としてお弁当をもたせることになっていた。
その時に作った私のお弁当といえば、パンの切れ端に、バナナ。それを幼稚園の頃に使っていたミフィーの
お弁当箱に詰めた姿は、我ながらあっぱれ、呆れ果てたのでありました。

だけど、妹のさやちゃんは違いました。お姉ちゃんのように優しくはなかった。
基本的に給食がでる保育園であったことは幸いではあるものの、遠足やちょっとしたお散歩には、
必ずお弁当を必要とする。時々しか作らないから、腕もあがらない。
そして、いつもだいたい帰りの車でダメ出しです。
「あのさー・今日のお弁当。少ない。」
「今日のお弁当さあ。。おんなじものばっか入ってて、つまんない」
そうかあ、ごめんよー。でも、いつも好き嫌いするから、いれられるものが、ないんだよ。
なんて、いつもごにょごにょと受け答えていました。
ある日、ちょっと自分では得意の、豚バラ肉を具材と一緒に巻いて焼き、切るとナルトのようにくるくるした絵柄になってかわいい、なんていうものを作って入れてみたんですよ。
帰りの車で、「美味しかったよー」なんて言葉を期待しつつ、「今日のお弁当、どうだった?食べられた?」なんて
言って私のほうから話をふると、、、
「げぼでそうだった、、、」

耳を疑いました。
我が娘から、そのような言葉がでるだなんて!!

本当に、こどもって残酷極まりないですよね。

一瞬下瞼に涙のような熱いものを感じた私。腹立たしいやら、感想を聞いてしまった私が馬鹿だった、
もう二度と、あなたにはお弁当は作らない。自分で作ったらいい。好きなんだったらお弁当いっぱいに、
プチトマトだけ詰め込んでやる。
私の心の中は怒りで煮えたぎり、プチトマトが詰め込まれたお弁当が頭に溢れかえり、もう、どうしようもなく、
、、、最悪な気持ちです。

親とはなんて、可哀想なのでしょう。

もうすぐやってくるおねえちゃんの運動会。また、そこにはお弁当という、試練が待っている。
トマトだけでいいだろなんて、言ってはいられませんよね。さあ、立ち直れ、私!

唐揚げに、卵焼き。おにぎりに、とうもろこしにスナップエンドウにプチトマト。これだけのものを作るだけなのに、
もう本当に、どんな料理会の準備よりも緊張して作りました。

結果はまあまあ大成功。木陰で地面にシートを敷き、お弁当を次々に開ける瞬間から、
「食べよー、食べよー」と、みんな、たくさん食べてくれました。デザートのメロンとチェリーには、保冷剤をつけていったから、冷たくて、ひんやり気持ちい。
缶ごと持ってきたクッキーを食べながら、ほっと胸をなでおろす私でありました。

相変わらず、お弁当の腕はいまいちですが、今度は娘と一緒に考えようと思います。
お弁当の本を広げながら、リクエストを聞いて新しい挑戦をして、失敗したって、子どものせいにしてやります。(笑)

がんばれわたし!

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山本 祐布子(やまもと・ゆうこ)

イラストレーター。切り絵作品、ドローイング作品を中心に、雑誌、装丁はもちろん広告・エディトリアル・プロダクトと、ジャンルを超えた活動を行う。ブログやインスタグラムでは、2人の娘たちの姿や、日々の小さな出来事等を綴っている。夫の蒸留家修行を見守るため、2015年にドイツ滞在。現在は千葉在住。 yukoyamamoto.jp https://www.instagram.com/yukoyamamotomitosaya/



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