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Column 子育てエッセイ

坂上みきの「君はどこから来たの?」・145歳の誕生日パーティに、息子がまさかの反応!?【坂上みきの「君はどこから来たの?」】

2017.09.15

ラジオパーソナリティ・坂上みきさんの人気連載!

ひょんなことからニュージーランドの男性と出会い、
紆余曲折を経て、息子が生まれた!
日々雑事に追われつつ、その感慨をかみしめる新米ママの
一喜一憂を大公開。

この連載は……

結婚後、大きな決心をして、子どもを授かるに至ったラジオパーソナリティ・坂上みきさんが、一人息子との触れ合いや友人たちとの会話を通して遭遇するさまざまな感情をストレートに伝えていきます!


誕生日が嬉しいのは親のほう?

先日、息子は5歳の誕生日を迎えた。

「もう5歳かぁ」「まだ5歳かぁ」。両方の思いが交錯するが、大きなケガも病気もなく、よくぞスクスク育ってくれました。誕生日のたびに、どこの親御さんもそんなこと思うんでしょうねぇ。

少しは聞き分けもよくなってきたので、初めて、誕生日をちゃんとしたレストランでお祝いすることにした。

日ごろから「晩ごはん何がいい?」と聞くと、「肉」と答える肉好きゆえ、シュラスコ料理を予約。目の前で肉を削いでくれるパフォーマンスに、「わぁー」と目を輝かせて喜んでくれるに違いない。

「お誕生日のサービスは、何かありますか?」とお店のかたに聞くと、「フルーツ盛りに、『Happy Birthday』のプレートが付きますよ」「じゃあ、それもつけてください」。

大の仲良しのテイちゃんとママにも来てもらって、凝りに凝った演出はないが、今、この時点で息子が喜んでくれそうなことは、「誕生日だし」と張り切って、やれることはやった、つもり。

もちろん、概ね楽しんでくれていたのだが、終盤に差し掛かって、突然、店のBGM、ラテンのダンスミュージックのヴォリュームがマックスに上がり、爆音の中、ブラジリアンなお兄さんたちが全員、手拍子を打ち始めると、店の奥から、お姉さんが、パイナップルをくりぬいた器に、色とりどりのフルーツテンコ盛り、さらにその上でパチパチと花火がスパークしているトレイを運んできた。

他のテーブルのお客さんたちも、「お、だれか誕生日なのね」と察し、ほほ笑みながら手拍子を打ちはじめてくださり、私たちの席は全員立ち上がり、一層大きな手拍子で「イエ~イ」と息子を煽り、店中が息子に注視しているその中で、奴は、自分の席でしれ~っと静かにうつむいたまま、周りのことなど目に入らぬ様子で、テイちゃんにプレゼントしてもらった、塗り絵に夢中になっていた。

「ほら! ほら! 花火、みて! みて!」どんなに煽っても煽っても、うつむいたまま、修行僧のように黙々と電車を塗りつぶす。

その様子に急速に大人たちはしぼみ、ヴォリュームもミニマムに下げられ、トレイのお姉さんもさっさとフルーツをテーブルに置いて、店の奥に引っ込んでしまった。

花火だけがパチパチとはぜている。何だか、バツの悪いこの空気。おいおいおいおい、思春期ならまだしも、5歳でこの反応って、なにゆえ?!

「そんなもんよ」男子を育てあげたママに聞くと、そう答えが返ってきた。もっと無邪気に目を輝かせ、きゃっきゃと喜んでくれると思っていた。これも成長!と捉えるべきなのか。ついていけてないわぁ。

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シュラスコ料理をいただくまではよかったんだがなぁ。5歳の気持ちが、わからない。

プレゼントに母の願いを込めて

誕生日の度に頭を悩ますのは、プレゼントである。

「何が欲しい?」と尋ねれば、一番興味のあるものを答えてくれる年齢になっているので、悩む必要もなくなってきてはいるが、誕生日だもの、日ごろ「買って」と言われて買うオモチャとは一線を画したい。後々まで思い出に残るものを、あるいは、後のために身に付く何かを。

それがキッカケで、将来仕事につながれば素敵じゃないか、などと自分に負荷をかけてしまうのが親心。っていうか、私の性格か。過剰な思いが、反発を生むことを、シュラスコで学んだはずではなかったのか。

1歳の誕生日は、グランドピアノ型のミニピアノ。辻井伸行さんが2歳の時、すでに「おもちゃのチャチャチャ」を完ぺきに弾いたことで知られるあのピアノ。動画で目にした折に感激し、1歳で与えればどうにかなるのではないか、と甘い夢を見た。今はどうか・・・。デタラメに音を鳴らしながら、「咲いたぁ、咲いたぁ」と「チューリップ」を歌っていたころはまだ可愛かったが、山下洋輔さんばりに、膝打ちや足打ちをしているマに、降りたまま上がってこない鍵盤も出てきて、お蔵入り。

2歳は、ストライダー。ペダルのない脚こぎ自転車。これでバランス感覚を養っておくと、もう少し大きくなって、ペダル付き自転車に乗る段には、さほど練習しなくても立ちどころに乗れるようになる、というものだ。イマドキの子供はみんな持ってる。これは、乗り倒した。ブレーキがない分、足の裏でズズズーと止めるので「靴の裏の減りが早いなぁ」などと思っても、口にはしない。

3歳は気合が入って、子供用ドラムセット! いつも通る近所の子供服屋さんのディスプレイがかっこよくて、マネした。バスドラムに星型のステッカーをぐるっと丸く貼り、中央にはローマ字で店の名前、のところを、息子の名前にして。

ハンズで、星型と名前のステッカーをオーダーした時には、ワクワクした。これには息子も大喜びで、しばらく叩きまくった。が、当然、家の中でそれをやられると、うるさい。

買い与えておきながら何なんですが、親が「うるさい、うるさい、うるさ~い」と連呼していると、気持ちも失せる。

そのうち、叩くのはそこそこに、アクションは大げさに、ダダダーンと手短に打ちつけたかと思うと、スティックを置き、おもむろに傍らにおいたペットボトルの水をぐびっと飲み、首から下げたタオルで、汗もかいていないのにぬぐうフリをする、ミュージシャンごっこ遊びにシフト。

「そこですかっ?!」と笑っちゃったが、ちょうど、「夢の島」の野外フェスに連れて行ったばかりだったので、3歳と言えど、観ているんだなぁ、観察してるんだなぁ、と感心したものだった。

4歳は、自転車。長く使えるようにと、ごくごく平均的な普通のデザインでやや大きめなものを買ったら、どうも気持ちが上がらないのと、練習中に転んで、重くて持ち上げられなかったことがトラウマとなり、自転車置き場に寝かせ中。

ストライダーをあれほど乗りこなしていたのに、ペダルが付いても、即乗れますよという「ストライダー神話」が息子には通用しなかったのか?と母としてもややショックで、自転車は頭の中から葬り去っていた。

なのに、5歳、またしても、自転車、リベ~ンジ!

お友達の持っているBMX(モトクロス競技用の自転車)を借りてちょっと試してみたら、何のことはない、スイ~と簡単に乗りこなせてしまったのだ。

タイヤが太くて安定感はあるし、カッコいいし、申しブンない。それを熱望されて、んなわけで、またしても自転車。

こうして振り返ってみると、「音楽と車輪もの」に彩られた誕生日プレゼント。子供が欲したモノというよりは、母の嗜好が色濃く反映されている。

楽器は、音楽家にならずとも、イヤイヤ練習しようとも、ある程度弾きこなせるようになっておくと、大人になってからでもその気になれば始められるし、それが、日々のストレス解消になったり、慰めになったり、新しい友達が増えたり、必ず、人生の豊かさにつながる。それは、ピアノとギターを少しだけかじった、母の実感。

車輪モノを乗りこなしてくれることは、車好きの母にとって願望にも近い。

自転車はあくまでもプレで、4輪への通過点。エコでもない「車」は時代に逆行すると言われがちだが、80年代に青春時代を過ごした母にとって、流線形への憧れ、オープンカーへの憧れは永遠である。

ベビーのころ、車に乗せると、ほとんど泣いていた。車を嫌いになってもらっては困る。あやしたり、音の鳴る物を握らせたりしても効果なし。

唯一、ポール・マッカトニー&ウィングスの『My Love』を母が歌うと、聴き入ってくれ、特にラストの「溜め」のところでは、金縛りにあったごとく母をガン見して、押し黙ったものだった。

物心ついてからは、トミカに夢中。よしよし。

マンションの駐車場に並ぶ車も、母の好みだけ選んで、あれは、ジャガー、そっちはアルファロメオと、指さしていると、そのうち、入り口の方から、ぶろろろろ~んとエンジンの重低音が聞こえてくるだけで、「あ、ポルシェのお姉さんが帰ってきた」と答えるようになった。ポルシェより、お姉さんに興味があるのかもしれないが。車輪教育である。
 
「いつか大きくなったら、僕が運転して、ママをお隣に乗せるの」なんて嬉しいことを言ってくれる。「大きくって、いつ?」「う~ん、小学生になったらかな?」。

その教育から?!

18歳の誕生日プレゼントは、車? いえいえ、そんな甘やかしはいたしません。「My Love」のCDかな。聴きながら助手席でうっとりするのが、夢である。

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大好きなミニカー。母、渾身のDIYの棚から、いつでも取り出し遊べるんだ。
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坂上みき(さかじょう・みき)

ナレーター、イベント司会、ラジオパーソナリティを務める傍ら、映画コラムやエッセイを執筆。東京マラソンでは、自己ベスト3時間58分で完走。
2006年に12歳下のニュージーランド人と結婚、2012年に男児出産。
現在は、日本テレビ「暇人ラヂオ」に出演、ラジオ日本「坂上みきのエンタメgo!go!」ではパーソナリティを務めるなどして活躍中。
「最近インスタを始めました! 子どもの撮った写真をアップしていきますので、ぜひフォローしてくださいね!」 @mikisakajo

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