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Column 子育てエッセイ

坂上みきの「君はどこから来たの?」・18自分は母親失格。そんな気持ちを軽くしてくれる夫の口癖【坂上みきの「君はどこから来たの?」】

2017.10.26

ラジオパーソナリティ・坂上みきさんの人気連載!

ひょんなことからニュージーランドの男性と出会い、
紆余曲折を経て、息子が生まれた!
日々雑事に追われつつ、その感慨をかみしめる新米ママの
一喜一憂を大公開。

この連載は……

結婚後、大きな決心をして、子どもを授かるに至ったラジオパーソナリティ・坂上みきさんが、一人息子との触れ合いや友人たちとの会話を通して遭遇するさまざまな感情をストレートに伝えていきます!


世界一優しいニュージーランドの男たち!

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当たり前だけど、子供を授かるには夫の理解と協力が不可欠です。

結婚する前、一緒に暮らし始めたころ、「子供が欲しいのだけれど、協力してもらえませんか?」とお願いしてみたところ「いいよ」と、「これからラーメン食べに行くけど、一緒にどお?」に返事するのと同じようなテンションで、夫はさらりと快諾してくれた。

こっちが拍子抜けするくらいのサラっと感。

国民性の違いなのか? 性格によるものなのか? 人生観か? 家庭環境か?

男性によっては、不妊治療そのものに理解を示さない人もいるし、「よし!」とGOサインを出してくれても、いざ、病院の小部屋でポルノ雑誌片手に採取?! などと具体的に生々しく進んでいくと、「なんで、オレがそんなことをしなくちゃいけないんだよぉ」と拒む人も多いと聞く。

男性のその気持ち若干、わからないでもないが、夫婦の温度差を縮めないことには、何も始まらない。

幸いなことに「ヒュゥゥゥ~~~、なかなか興味深い雑誌が置いてあったよ」と言ってウィンクするような夫である。「うそっ、マジか! どんなのだった?」と聞いてしまう妻である。

そのあたりは、湿り気のある日本人男性と、ドライというか、深刻なこともユーモアに変えたがる外国人との違いがあるかもしれない。

妊娠中、夫が料理や皿洗いを率先してやってくれたのも、有難かった。妊娠中に限らず、結婚した当初から今もずっとそうなんだけどね。

ニュージーランドの男性は、「キウイ ハズバンド」という言葉があるくらい、家事全般にとても協力的で、マメなのだ。オスが子育てをするニュージーランドの国鳥「キウイ」になぞらえて、こう呼ばれる。

手伝ってますよ、という押しつけがましさなど微塵もなく、せっせとキッチンに立つ男たち。彼のお父さんもそうだった。

ディナーのあと片付けは僕の仕事だから、とお母さんはもちろんのこと、嫁たちにも一切手伝わせなかった。

ポール・ニューマン似の風貌で、若いころラグビーをやっていたから体もデカい。そんな体躯の男性がフンフンフンと鼻歌交じりで、楽しそうにお皿を拭いているのは、なかなか、かっこいい。

おかげで、その背中を見て育った4人の息子たちも全員、自然にそう振るまう。

結婚した直後に、ラジオ番組の収録で、写真集を出したばかりの叶姉妹にインタビューしたことがあった。

インタビューが終わって、雑談になり、姉の恭子さんから、「どちらの方と、ご結婚なさったの?」と聞かれ、「ニュージーランドです」と答えると、ぐるっと思いを巡らせる表情をした後に「優しいわよねぇ、あちらの方は。色んな意味で。うふふ♡」と意味深にほほ笑んだ。

色んな意味で、はよくわからないけれど、世界中の数多の男性を知る恭子様が「優しい」とおっしゃるなら、その優しさは、世界一だと思って間違いない?!

夫がくれる魔法の言葉

と、書き進めていくうちに、何だか夫自慢にしか聞こえないのではないか、「ちっ」と反感買われてるんじゃないかと、心配になってきた。

夫のサポートには感謝するが、「子育てをする」というのは、まさにライブ、生き物である。

おとな2人で、理性という名の抑制のもと、平和に穏やかに過ごしていた日々は一変し、激怒したり、叫んだり、泣きじゃくったり(大概 私だけが一人芝居のようにこうなってしまうのだが)、子供を巡って、あるいは、役割分担を巡って、ケンカが勃発することも、避けては通れない。

あんなに、料理が好きで自主的にキッチンに立っているくせに、酔ってケンカになると「毎日、料理を作るのは、一体、ダレですか!」と投げてくる。

「ハアン、誰が作ってくれって頼んだ? 外食がしたいんですけど」とこちらも、ウップン込めて、投げ返す。

「片付けるのも、ボクだよね」と来たら、「ほぉぉ、朝早く起きて、洗濯して、干して、畳んで、アイロンまでかけてるのは、誰でしょう? それは私です」と思わずミュージカル調になってしまい、あの議員さんがよぎって、ダメダメ、怒ってる自分に酔ったらダメ、と猛省。

朝、子供が起き出した途端、ゴングが鳴ってラウンドが開始される。リングに立って、子供と闘うのは、パパか? ママか? セコンドはどっちだ?

5歳、やんちゃ盛りの男の子を育てるのって、毎日がそんな気分だ。

早くしなさい、早くしなさい、早くしなさい。
食べて、食べて、食べて。
おしり出さない。お〇ン〇ン出さない。オナラ言わない。
聞いてる? 聞いてる? 聞いてる?

好きなDVDや、iPadに夢中な時は、耳元で叫んでも聞こえないくらい、男の子は全く聴く耳を持たない。男子を持つママに聞くと、皆そうだ、というから、ったく男子って奴は!と情けないやら、楽しいやら、可愛いやら。

イライラが募り、とうとう爆発して、息子にコンコンと説教している最中に、夫が横から同調し「そうだ、そうだ、だいたい君は・・・」と息子のダメなところをあげつらい、私の説教に乗っかってくるのも気に食わない。

セコンドが一緒にリングに上がってどうする? どちらかが、フォローしてあげないと、子供は逃げ場を失うではないか? なぜ、そんなこともわからないのか。

ふー。ママ友に愚痴ると「わかるー。うちも同じ。『叱るときはどっちかにしよう』と言ったばかりですよ」。ったく、大人の男子って奴も!

気が付けば、1日中ガミガミ怒鳴ってる。
そんな母親になるつもりなど、なかったのにな。

激高して、手当たり次第に、床や壁にモノを投げつけることもある。先週も、掌でダン!とテーブルを叩き、あまりの強さに自分の指先が、紫色に晴れ上がった。

感情を押さえきれず、わぁわぁ泣きながら「私、母親失格かもね」と吐露すると、夫は「ハハハ、全然、大丈夫。君なんてまだまだだよ。僕のお母さんは、4人も男子を育てたから、コーヒーカップの柄の部分は全部折れてたよ。テーブルを蹴とばして脚が2本折れ、滑り台のようになったテーブルから、夕食がザーッと滑り落ち、それを『喰え!』って4人で犬のように食べさせられたこともあるしね」と笑って語ってくれると、「母親」という名の荷が、すーっと軽くなる。

夫の口癖は、「It’s Life」。

私が落ち込んだり、悲しみのどん底にいる時、言葉少なにそれを受け止め、少し落ち着きを取り戻したころ、必ず「It’s Life」という言葉を添えてくれる。

「それが人生」(演歌か?)「それが人生だもの」(相田みつをか?)と日本語にするとちょっとニュアンスが違ってくるのだけれど、ともかく! すべてを受け入れればいいんだよと促す、夫が私にくれる魔法の言葉なのである。

こうして、思い起こすと、随分、助けられてきたなぁ。

あらら、結局また、夫自慢に戻ってしまいましたか。さーせん。

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坂上みき(さかじょう・みき)

ナレーター、イベント司会、ラジオパーソナリティを務める傍ら、映画コラムやエッセイを執筆。東京マラソンでは、自己ベスト3時間58分で完走。
2006年に12歳下のニュージーランド人と結婚、2012年に男児出産。
現在は、日本テレビ「暇人ラヂオ」に出演、ラジオ日本「坂上みきのエンタメgo!go!」ではパーソナリティを務めるなどして活躍中。
「最近インスタを始めました! 子どもの撮った写真をアップしていきますので、ぜひフォローしてくださいね!」 @mikisakajo

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